イタリア現地そのもの!トリッパや黄金色リゾット、各地の郷土料理が絶品 恵比寿『イル バロンドーロ』

Yayoi Shinya

Summary
1.恵比寿の名イタリアン『イル ボッカローネ』のシェフが独立、裏道に小さなトラットリアをオープン
2.徹底した引き算で素材の味を活かしきる、イタリアのマンマから教わった知恵
3.深夜0時を過ぎても本格的なパスタや肉料理が食べられる、稀有な店

伝説のイタリアンで13年間料理長を務め上げたシェフが独立

1989年というバブル絶頂期にオープンし、その後も東京の”イタ飯”ブームを牽引した重要なイタリア料理店がある。恵比寿の『IL BOCCALONE(イル ボッカローネ)』。いつ行ってもワイワイガヤガヤと賑やか、楽しい雰囲気で食べて飲んで、マンマの味を味わい、イタリアという名の魔法をかけてもらうことができる店だ。

この『イル ボッカローネ』で19年間勤務し、そのうち13年間は料理長として腕を振るっていた岩田正記シェフが満を持して独立。話題のレストランが散在する恵比寿の裏道に、小さな店を構えた。

その名は、『イル バロンドーロ』。かつてイタリアで習得した各地の郷土料理に加え、炭火で豪快に焼く肉料理を売りにする。

オーナーの厚意が可能にしたイタリアでの修業、26歳でのシェフ就任

岩田さんは、福岡県出身。料理人を目指し20歳で上京し、すぐに『イル ボッカローネ』に入店した。そこで連日繰り広げられる生き生きとしたレストランの活気に魅せられ、働くこと5年。気がつくと、行ったこともないイタリアが大好きになっていたという。
本場のイタリアでも修業したいと思っていたところ、当時のオーナーの厚意で行かせてもらえることに。スタッフの期待やプレッシャーを感じながら、旅立った。

それから1年半のあいだに、イタリア北部から南部までの多くの店で修業。イタリアのマンマたちがシンプルかつ豪快に作る料理に魅せられる。そこにはそれまで悩んでいたような難しい足し算はなく、素材の味を生かす引き算の料理があった。
帰国後、26歳の若き岩田さんはシェフに就任。その後の『イル ボッカローネ』を名実ともに支えることとなる。

絶品トリッパや黄金色のリゾット、イタリア各地の郷土料理が夜中まで食べられる

10年ほどシェフとして活躍するなか、いつかは独立をと考えていた岩田さん。恵比寿しか知らないが、恵比寿のことだけはよく知っていた彼は、物件選びに実に2年以上もの時間を費やした。

そして、ついにオープンした『イル バロンドーロ』。店内2箇所のカウンターに加え、2~4名が座れるテーブル席を3つ配置。

ひとり客でもグループでも家族づれでも、様々なゲストに使いやすい。壁にはイタリアの田舎町のレストランにあるような飾り皿が点在し、店内を彩る。

キッチンはハーフオープンになっており、様々な角度から中を垣間見ることができる。特に炭火のグリラーは見やすい場所にあり、自分のオーダーした肉が火入れされるのを間近で見られるのは、この上ないワクワク感をもたらす。

「ハチノス(トリッパ)とギアラのトマト煮込み」(写真上)は、フィレンツェのトリッパ専門レストランのシェフ直伝。3時間以上も煮込まれたトリッパとギアラはトロトロだが、さらりとしたトマト風味で食べ飽きない。

本場では汁がなくなるほど煮詰めるが、それでは日本人の味覚に重すぎると判断し、軽めに仕上げている。

岩田さんが大好きなサッカーチーム、ユヴェントスFCの愛称”ビアンコネーロ(白と黒)”。これを料理に落とし込んだ「ラルド(豚背脂のハム)と黒トリュフのスパゲッティ」(写真上)は、白色ベースのパスタにたっぷりと黒トリュフがかけられている。

ラルドの深いうまみと塩気、パルミジャーノとペコリーノという2種類のチーズ、トリュフの芳醇な香りにローズマリーが爽やかさを添える。

岩田さんがイチオシする一品は、その名も「黄金のリゾット」(写真上)。ツヤツヤの黄色い見た目から多くのゲストに「卵ですか」と聞かれるが、実はサフランとパルミジャーノチーズによる色。

ルネサンス後期の1,500年代からあるといわれるミラノの名物料理で、濃厚なチーズ風味にワインが止まらなくなるおいしさだ。

こだわって取り寄せる長崎・壱岐島(いきのしま)の壱岐牛を焼いた「炭火焼 壱岐牛イチボ」。面を美しくグリルされ、炭火の遠赤外線効果で中はやわらかいまま。

肉質のしなやかさ、甘さが十二分に味わえる調理法といえる。

多様な使い方ができる、地元に愛される店でありたい

「一人でも、友達同士でも、家族連れでも。一品だけでも、たくさん食べても。早い時間でも、0時過ぎでも、多くの人に料理を楽しんでもらいたいと思います。様々な使い方ができる店でありたいし、落ち着いてほっとできる空間でありたい」と岩田さんは語る。また、近隣のお客さんの隠れ家でありたいので、インターネットサイトなどにはほとんど載せていないとのこと。

彼の引き出しにはありとあらゆる料理が、食材の旬に合わせて詰め込まれている。これから季節の移ろいに合わせ、多くの料理が提供されるだろう。旬をシンプルなスタイルで食べたい、そんな根源的な願いを叶えてくれる小さなトラットリア。知る人ぞ知る店のままでいてほしい、そんなわがままは通らないだろうか。

【メニュー】
チェリートマトのブルスケッタ 900円
牛ハチノスとギアラのトマト煮込み 1,200円
ラルド(豚背脂のハム)と黒トリュフのスパゲッティ 1,700円
ブカティーニ・アマトリチャーナ 1,400円
黄金のリゾット 1,800円
炭火焼 仔羊 2,200円 壱岐牛サーロイン 4,800円 他
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です。

イルバロンドーロ(IL BALLOND’ORO)

住所
東京都渋谷区恵比寿1-24-10 1F
電話番号
03-5422-8977
営業時間
18:00~翌2:00
最終入店:翌1:00
定休日:水曜日
ぐるなび
ぐるなびページhttps://r.gnavi.co.jp/sffdkgnz0000/
公式サイト
公式ページhttps://www.facebook.com/IL-Ballondoro-%E3%82%A4%E3%83%AB-%E3%83%90%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%AD-285321425600648/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。