三軒茶屋『ブリッカ』のイタリアンが最高すぎ! ”日本産”のスゴさに開眼される貴重な一軒

三軒茶屋の閑静な通りにひっそりと佇むイタリアンレストラン『Bricca(ブリッカ)』をご紹介。同店はイタリアの空気感や日本各地の生産者の心まで感じられる、あたたかな雰囲気。常に、生産者と同じ目線に立ち、人と人との絆を育み、楽しい食事の空間を演出する。オーナーシェフは現地を訪れては生産者と語らい、土地ごとの文化や郷土料理を吸収。その新鮮なエッセンスを料理に落とし込んでいる、地元の愛されレストランだ。

松本玲子

Summary
1.地元民の愛されイタリアン、三軒茶屋『Bricca(ブリッカ)』
2.2010年生まれのワインをとりどりに用意
3.常にワイナリーや生産者の目線に立ち、より楽しい食事空間を提案

イタリアの空気感や日本各地の生産者の心まで感じられる、あたたかな雰囲気のイタリア料理店『Bricca』

2020年10月に10周年を迎えた、三軒茶屋のレストラン『Bricca(ブリッカ)』。駅前の喧騒を抜けた閑静な通りにひっそりと佇む同店は、近隣の住民に愛されるイタリア料理店だ。

カウンター5席、テーブル10席からなるコンパクトな空間いっぱいに、あたたかな雰囲気が漂っている。

オーナーシェフの金田真芳さんは、表参道『フェリチタ』(現在は閉店)などを経て2010年に独立。『Bricca』オープン前にはイタリアに渡り、1カ月かけてワイナリーをまわり、ワインへの造詣を深めたという。

「生産者と同じ目線に立てたら、より楽しい食事の空間を演出できると思ったんです」と明かす金田さん自身、ワインが大好き。今でも、折に触れて現地を訪れては生産者と語らい、土地ごとの文化や郷土料理を吸収して帰ってきては、新鮮なエッセンスを料理に落とし込んでいる。

もちろん、国内の生産者に対するリスペクトも忘れない。日本育ちのすばらしい食材があるから、さらに料理が楽しいのだと、各地の生産者を訪ねた際のエピソードもさまざまに披露してくれる。

メニューは、コース、アラカルトともに用意があり利用の割合は半々だが、「今ある一番おいしいものを食べたいからおまかせでコースにしてよ」という常連客の声も多いのだとか。開店当時からの馴染み客はもちろん、現在は近隣のお客も増加。

おいしい料理とワイン、そして金田さんの笑顔に癒されたくて、一人でふらりと訪れる人も少なくない。コンパクトなサイズの店ゆえ、静かな雰囲気で落ち着いて食事ができるので、大切な人との絆を深めたいときにもぴったりだ。

『Bricca』の定番! 魚を楽しめるやさしい味のテリーヌ

料理は、イタリア各地の郷土料理がメインだが、日本のすばらしい食材の魅力を堪能してほしいと、とりわけ季節の素材を活かした料理に力を入れている。

その中からまずは、「秋サバと里芋のテリーヌ」(写真上)をご紹介。パンチェッタを巻いて蒸し焼きにしたテリーヌは、里芋の粘り気が活きたねっとりした口当たり。使う素材は季節によって変えているが、ゼラチンを使わずに固めるべく、芋や米などのでんぷん質のものは必ず使うのだとか。

上にかかっているのは、玉ねぎを叩いて作ったオレガノ風味のドレッシング。さっぱり爽やかな味わいが、濃厚なテリーヌと好相性。付け合わせは日によって変わるが、この日登場したのは、パプリカ、キャベツ、ブロッコリー、ナス、セミドライトマトのマリネ。テリーヌと交互に食べ進めるのも楽しい。

こちらの料理に合わせたワインは、「オスラーヴィエ 2009 ラディコン」。密度がきめ細かくなめらかで、テリーヌの食感とも相性のよいワインだ。

みずみずしいトレビスとマッシュルームとともに、チーズの豊かなコクとフルーツの豊潤さを楽しめるサラダ

新鮮な野菜をたっぷり食べたいなら、「イチジクとトレビス マッシュルームのサラダゴルゴンゾーラとバルサミコ」(写真上)はいかが?

こんもりと盛られたトレビスとマッシュルームの上に削りかけられているのは、ハチミツ、シナモン、ナツメグをブレンドして凍らせたゴルゴンゾーラ。ゴルゴンゾーラはやわらかなチーズだが、凍らせることで粉雪のようにふわりとふりかけられる。しばし鑑賞を楽しんだ後に全体を混ぜると、いい具合に溶けたチーズが、サラダにかけていた白バルサミコやオリーブオイルとも融合して、豊かなコクが生まれる。

プレートのトッピングは黒バルサミコ、端に添えてあるのは黒イチジク。「ゴルゴンゾーラは、まったり・ねっとりとしたフルーツと相性がいいんです」と金田さんが教えてくれるが、イチジクの代わりに洋ナシなどを使うこともあるのだとか。

ふんわり食感の熊肉のポルペッティと滋味豊富な豆が織りなすやさしい味の煮込み料理

肉料理からは、鳥取から仕入れたジビエが主役の「熊肉のポルペッティといろいろ豆のバルベーラ煮込み」(写真上)。

ミンチして香辛料を加えた熊肉は、できるだけふんわりとしたミンチに仕上げるためにスプーンですくって“ぽてっ、ぽてっ”と鍋に落として炊き上げ、豆はオーブンで火入れ。使っている豆はすべて、北海道・十勝の『村上農場』のものだが、同農場育ちの食材に惚れ込んだ金田さんは、『Bricca』でソムリエを務める森田雅人さんとともにたびたび現地に足を運んでいるほか、農場スタッフが同店に遊びにくることもあるほど仲良しだ。

ローズマリーやセージを効かせ、ふわっとした食感に仕上げたポルペッティ(イタリア風肉団子)と生命力たっぷりの豆が、トマトソースによってひとつにまとめられた一皿は、「イタリアではこんな家庭料理が出てくるんだろうな……」と想像させるようなほっとする味だ。

モルタデッラとモッツァレラのうまみを詰め込んだラヴィオリに濃厚ソースをまとった至福の一皿

こちらは、テーブルが秋トリュフの豊かな香りいっぱいになる「モルタデッラとモッツアレラのラヴィオリ 秋トリュフ」(写真上)。

小麦粉と卵で伸ばした生地に、刻んだモルタデッラハムとモッツァレラチーズを詰め込んだラヴィオリは、トルテリーニとアニョロッティの2種類。バター、セージ、鶏のだしで作ったソースをたっぷりと絡めた状態でお客の目の前に登場した後、金田さんが目の前で秋トリュフを削りかけてくれる。

スプーンですくって口に運ぶと、ハムやバター、鶏だしのうまみが口の中いっぱいに広がると同時に、トリュフの香りが心地よく鼻を抜けていく。

飲み心地がよく余韻まで楽しめるワインぞろい! 2010年生まれのワインも豊富に用意

どの一品もおいしいワインとのマリアージュを楽しみたくなることは間違いないが、10周年を迎えたばかりの『Bricca』で食事を楽しむなら、ぜひ、同店の生まれ年、2010年のワインを試してみてほしい。

ワインは基本的に、熟成を重ねるとおいしくなるが、森田さんがセレクトしたものはとくに、ストレスフリーで食事に寄り添ってくれるものばかり。

写真上のワインはすべて2010年生まれの一本で、左から順に、「ラ・クエルチョーラ」(生産者:マッサ ヴェッキア)、「レ・トラーメ」(レ ボンチエ)、「ドルチェット・ダルバ」(バルトロ マルカレッロ)、「ヤーコット」(ラディコン)、「サッサイア」(ラ ビアンカーラ)。金田さんも森田さんもお気に入りのワインたちだ。

「新しいワインも常に取り入れてはいますが、トレンドが移ろいやすい東京であっても、自分たちが信じてきた生産者との絆は変わらず大事にしていきたい」と森田さん。

ワイナリーや生産者への愛情あふれる『Bricca』でなら、いつでもあたたかい気持ちで食事を楽しみ、おいしいものを食べられることへの感謝の気持ちを大切にできるはず。

【メニュー】
・秋サバと里芋のテリーヌ 1,250円
・イチジクとトレビス マッシュルームのサラダゴルゴンゾーラとバルサミコ 2,000円
・熊肉のポルペッティといろいろ豆のバルベーラ煮込み 2,000円
・モルタデッラとモッツアレラのラヴィオリ 秋トリュフ 3,600円
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。また、価格はすべて税別です。

撮影:佐々木雅久

Bricca

住所
東京都世田谷区三軒茶屋1-7-12
電話番号
050-5486-8248
営業時間
火~木
ランチ 11:30~13:00
(L.O.13:00)

月~土
ディナー 18:00~22:00
(L.O.22:00)
定休日:日曜日
祝日の月曜日はお休みをいただく場合がございます。
ぐるなび
ぐるなびページhttps://r.gnavi.co.jp/napcpxd00000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
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