【神楽坂】本場フォカッチャの美味にハマる! 熱狂的ファン続出の『フォカッチェリア アルタムーラ』

神楽坂駅からも江戸川橋駅からも徒歩5分ほどのところに店を構えるフォカッチャ専門店『フォカッチェリア アルタムーラ』。イタリア・プーリア州にある“パンの街”として知られるアルタムーラで修業を積んだパン職人が開いたフォカッチェリアです。リエビト・マードレというヨーグルトから作る種で発酵させて作るフォカッチャは必食! その美味しさにハマること間違いなしです。

桑原恵美子

本場のフォカッチャはこんなに美味しい! 神楽坂の『フォカッチェリア アルタムーラ』

イタリアンの店で、焼きたての自家製のフォカッチャが出てくるとうれしいもの。オリーブの香りとほのかな塩味、独特の食感が後を引き、注意しないと食べ過ぎてしまうことも……。けれどもイタリアには、日本で知られている以外にも、さまざまなフォカッチャが存在するという。

いったいどんなものなのか。

パンの街として知られるイタリア・プーリア州のアルタムーラで修業したパン職人が開いたという、本格的なフォカッチャの専門店『フォカッチェリア アルタムーラ』を訪ねてみた。

『フォカッチェリア アルタムーラ』(写真上)があるのは、東西線の神楽坂駅からも、有楽町線の江戸川橋駅からも徒歩5分ほどの場所。鮮やかな黄色の扉が目をひく店構えで、店前にとめてある黄色い自転車で、近隣へデリバリーもしている(2,500円以上、晴れの日限定)。

入口を入って右側はカラフルな椅子が並べられた、いかにも居心地のよさそうなイートインスペース(写真上)。コロナ以前は、夜はバールのような雰囲気で使われていて、フォカッチャを肴にお酒を楽しむ人たちで賑わっていたという。ちなみに、こちらのスペースにはイタリア直輸入の調味料も並べられていて、購入も可能だ。

入口左側にはキッチンと、フォカッチャが並べられた冷蔵ケース。

朝一番に訪れると、さまざまなハーブを焼きこんだフォカッチャや小ぶりのフォカッチーニが次々に並べられていく(写真上)。

フォカッチャだけではなく、イタリアで人気の白パン「チャバタ」(写真上)、生地で具を包み込んだピッツア「カルツォーネ」、シンプルなトマト風味の「ピッツア」、「雑穀のフォカッチャ」(写真下)などもあり、どれもこれも本当においしそうで見ているだけでワクワクする。

イタリアのパンだけでこんなに種類があるとは驚きだ。

料理修業に行ったイタリアの街で、パンに魅せられた職人が生み出すワザ!

この店のオーナーでフォカッチャ職人の山本誠さん(写真上)は、もともとはフレンチの料理人。初めてのヨーロッパ旅行で、たまたま訪れたイタリアのプーリア州にあるアルタムーラという街がすっかり気に入ってしまい、移住して料理の修業を始めた。その時は知らなかったそうだが、実はアルタムーラはイタリアでも有名な“パンの街”。人口約7万人の小さな街に200軒以上のパン屋があり、薪で焼く1400年代から続くパン屋がいまだに営業しているほど。アメリカの大手資本のハンバーガー店が店を開いたが、1年もたたないうちに撤退したというエピソードもあるそうだ。

山本さんは現地での生活に慣れ親しむうち、どんどんイタリアのパンのおいしさ、奥深さに魅せられていく。とくに彼の心を魅了したのが、プーリア州を含む南イタリア地方独特のフォカッチャ。料理の修業を1年終えた後、現地の『レ・バゲッテ(le baguette))というパン屋に弟子入りし、1年間みっちりパン作りを学んで帰国した。

日本に帰国して自分の店を持つことになった時、「ふつうの料理店ではつまらない。イタリアの生活になじんだものをやりたい」と考え、フォカッチャの専門店を開くことを決意。2013年に『フォカッチェリア アルタムーラ』をオープンした。思い切った賭けのように思えるが、山本さんに不安はまったくなかった。
「僕がイタリアで食べて感動したあの味を再現できれば、必ず多くの人に喜んでもらえると思いました。味には絶対の自信がありましたから、そこは揺るがなかったですね」(山本さん)。

神楽坂に店を出したのは、以前の勤め先が新宿で土地勘があったこと、外国人が多く住んでいること、そして大きな商業施設がなく個人商店の多い街に出したいという条件に合ったため。「2つの駅のちょうど中間地点で、どちらからも少し距離がある点が少し心配だったのですが、開いてみたら両方の駅からもお客さまが来てくださるので、結果的に成功でした」(山本さん)。

発見! フォカッチャは“はしっこ”がおいしい!

山本さんが作るのは、プーリア州を含む南イタリア地方のフォカッチャで、リエビト・マードレというヨーグルトから作る種で発酵させ、日本のうなぎのタレと同じようにその生地を継ぎ足して作っている。

山本さんのおすすめは、フレッシュトマトとオリーブ、赤玉ネギのフォカッチャ。赤玉ネギはなんと、イタリアから空輸しているもの。

よく知っているフォカッチャは厚みがあり、もちもちした食感だが、山本さんが作るフォカッチャはそれに比べると薄めで、生地もきめ細かい。イースト酵母を使わず自然の力を使って膨らませるので、小麦やジャガイモそのものの豊かな甘みを感じる。アンチョビやオリーブの塩味がまた、いいアクセント。一番の感動は、ふちの部分のカリッとした食感と香ばしさ! 生地にジャガイモを混ぜているから味わえる独特の食感で、ふちの部分だけをずっと食べ続けていたいほど美味。「イタリアでは、お店でフォカッチャを買う時にふちの部分を指定する人も多いんですよ」(山本さん)というが、その気持ちがわかる。

サンドイッチ、パニーニなどの調理パンも絶品! ワインに合う!

もうひとつのおすすめは、「雑穀のフォカッチャ」(写真上)。ライ麦粉をベースにヒマワリの種やゴマ、亜麻仁(あまに)油を加えハーブをトッピングしている。これでサンドイッチを作ってもらった。

生ハム、モッツァレラチーズ、トマト、ルッコラをはさんだ「雑穀のフォカッチャのパニーニ」(写真上)。見た目から固めの食感をイメージしていたが、意外に軽い食感で、ふんわりやわらかい。ライ麦パン特有の穀物そのものといった濃厚な甘みがあり、プチプチとした変化に富んだ食感がある。パンだけでもおいしいが、具との相性も最高。これは、猛烈にお酒が欲しくなるパニーニだ。「フォカッチャにはビールが合うといわれていますが、この雑穀のフォカッチャには、赤ワインが合うんですよ」(山本さん)。

店内の商品はすべてテイクアウトでき、サンドイッチやパニーニ、ホットサンド「ドッピア」なども、作りたてを持ち帰ることができる。

とくにおすすめは、直径40cmほどの丸い大きな型で焼いているブリオッシュに具をはさんみ、切り分けた「サンドイッチ」(写真上)。修業をしていた店で大人気のサンドイッチだという。

フレンチの料理人として活躍していた山本さんだが、フォカッチャはシンプルなだけに奥が深く、「1年間では完全には学びきれていないと思っています。帰国後もずっと、試行錯誤しながら学び続けています」(山本さん)。最近は常連客の中にも、フォカッチャをカットして買う時に「はしっこの部分」と注文する人が増えてきており、そんな時は「プーリア風のフォカッチャのおいしさがわかってもらえているな」と、嬉しい気持ちになるとのこと。

山本さんのフォカッチャ談義に耳を傾けながら、ワイン片手に焼きたてのフォカッチャをほおばっていると、まるでアルタムーラのパン屋さんにいる気分になる。気軽に海外旅行ができない今こそ、この店を訪れてイタリア旅行気分に浸ってみてはいかがだろう。

【メニュー】
フォカッチャ(1ピース) 280円
雑穀のフォカッチャのパニーニ 660円
グラスワイン 500円~

雑穀のフォカッチャ(1ピース) 280円
ハーブ入りフォカッチーニ 130円~
カルツォーネ 400円
ピッツア(1/4カット) 330円
フルーツパイ 300円
チャバタ 220円

▼テイクアウト
フォカッチャ 280円
パニーニ 600円
ドッピア 580円
サンドイッチ 420円

※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込みです。

フォカッチェリア アルタムーラ

住所
東京都新宿区山吹町5番地
電話番号
03-6265-3842
営業時間
月曜から木曜 9:30~15:00/金曜・土曜 9:30~22:30 
定休日:日曜
公式サイト
公式ページhttp://www.altamura.jp/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。