「牛ザブトンの炭火焼き」が絶品!居心地最高のビストロ・駒大『コンフル』

【腕利き料理人が通ううまい店】世の食いしん坊たちを魅了する腕利き料理人こそ、選ばれし生粋の食いしん坊。好奇心を刺激しに、疲れた身体を癒しに通う店には、間違いない味と心意気がある。料理人から料理人へ、バトンを受け継いでとっておきの一軒を追う。

須永久美

Summary
1.“焼きとん”の名店がたどり着いた、豚モツをとことんおいしく食べ尽くす『久遠の空』遠山隆昌さんが通う店
2.チームワークが生み出す味の妙、味をふくらませるワイン、適度な会話。本当の居心地のよさがここに
3.定番人気の肉料理から心惹かれる季節のメニューまで。気候や味に合わせた酒のチョイスも秀逸

連載 第8話:『久遠の空』店主 遠山隆昌さんが通う店

料理人から料理人へ、バトンを受け継いでとっておきの一軒を追う連載【腕利き料理人が通ううまい店】。

フレンチビストロ『アブラクサス』の清水哲也さんからバトンを受け継いだのは、中野『久遠の空』の店主、遠山隆昌さん。豚モツを知り尽くす遠山さんの料理は、絶妙な火通りの串焼きからハーブやエディブルフラワーが散りばめられたひと皿まで変幻自在。その味に魅了され、地方から訪れるゲストも多い。そんな遠山さんのオフの楽しみは、居心地最高のビストロだという。これまでさまざまな飲食店を展開してきた遠山さんが求める居心地のよい食空間とは。

ここからは、遠山さん自らに語っていただきます!

小径に面した素朴な入り口。中は天井高く、カウンターの奥にゆとりあるテーブル席が並ぶ

東急田園都市線の駒沢大学駅を出て、玉川通りから小径へ。数軒の住宅に続いた白壁の先に、今回ご紹介する店『bistro-confl.(ビストロ・コンフル)』はあります。

扉上のガラス窓に「CONFL」の文字を確認しつつ店内へ。外の素朴な雰囲気から一転して、天井高くゆったりとした空間が広がり、カウンターの奥では女性シェフ陣がテキパキと働いています。この瞬間から気持ちがいい。ひと言でいうと「居心地のよさ」でしょうか、店に入ると自然な流れで「ふうーっ」って肩の力が抜ける感じなんです。

厨房で腕をふるうのは、メインシェフの井原摩耶さん、畠山一海さん、調理補助の石戸谷まどかさん。フロアでサービスを取り仕切るのがオーナーの倉田俊輔さん。『ビストロ・コンフル』のキーワードは、この4人のチームワークです。

今から1~2年前、倉田さんがうちの店に訪れたのが縁のはじまり。その後知り合いのBBQで再会し、ビストロ好きな僕は、早速店へと足を運びました。本当に居心地がよくて。夜はもちろんですが、ランチも週に1回くらい来ています。

ワクワクしながら今宵の料理を待つ。チームワークが織りなす美味とは

『ビストロ・コンフル』のメニューは定番と季節のものがあります。その日のおすすめが黒板に書かれていて、どれも気になるしおいしそうだから決めるのは難題…。そこで僕は、「今日はこれが食べたい!」と思った1~2個を選んでオーナーに伝えます。すると厨房のシェフたちが、それらを盛り込んだ“一連のコース仕立て”で出してくれる。これが、チームワークのポイントその1です。笑

では、その黒板メニューの中から、マイベスト3の料理を紹介します!

第3位:「馬肉のタルタルステーキ フレンチフライを添えて」

「タルタルステーキ」は『コンフル』の定番料理。僕もほぼ毎回食べています。馬肉はやわらかく、すっと脂が溶けてなめらか。ソースのさわやかな後味が残ります。フレンチフライの揚げたて熱々、サクッホクッとした食感でリセットして、またタルタルをひと口いく。止まらない、おいしいループです。

肉なんだけど、穂紫蘇がさりげなくきいていて食べ疲れない。ガーリックの香りが食欲を刺激します。

▲シェリーヴィネガー漬けにした穂紫蘇のほのかな香り、うまみ、酸味がアクセント。

「ガーリックオイルを少しだけ加えています。香りは料理の大事な要素。ガーリックは味に奥行きも与えてくれます」と井原さん。洗練されつつ複雑な味わいには、考え抜かれた隠し味があります。

料理に合わせて倉田さんが出してくれたのは、ピノ・ノワールが多めというシャンパン「RICHARD CHEURLIN Brut-Carte d’Or」。暑い日にぴったりの泡。コクがあって肉に合います。

第2位:「つぶ貝のソテー」

次は、季節のメニューから一品。貝ときのこのソテーです。シンプルに見えて、味の広がりがすごい。

▲貝の食感、きのこの風味を引き出し、できたてを素早くサーブ

つぶ貝はふわっとやわらかで、うまみがしっかり感じられる丁度よい火入れ。

茶色いのがきのこで、ジロール茸、日本語ではアンズ茸という香りの強い品種を合わせています。影の主役が下に敷いてあるじゃがいものペースト。そこにグリーンのエスカルゴバターが重なって、何層にも味が広がっていきます。倉田さん、ワインをお願いします!

出てきたのは「FERNAND & LAURENT PILLOT Bourgogne Pinot Noir」。

「魚介だと白ワインを合わせるものが多いですが、香りの強いきのこに引っ張られてしまうので、ほんのり酸味のある赤ワインを。冷えすぎない12℃くらいがよく合います」と倉田さん。きのこと対峙することなく、独特の香りをほどよく和らげて、貝のうまみを引き立てます。

「新メニューができるとみんなで試食して意見交換するのですが、オーナーの引き算のバランスがすばらしくて」と井原さん。この互いの信頼、リスペクトが、チームワークのポイントその2ですね。スタッフ全員で料理の味をしっかりわかっているから、こちらも身をゆだねられて楽しめているのだと今日あらためて感じました。

第1位:「牛ザブトンの炭火焼き」

ザブトンとは肩肉の部分のことで、これも『コンフル』の定番料理のひとつです。断面のすばらしいこと。火入れのよさがひと目でわかります。

▲肉は炭火でじっくり焼き上げ、野菜は鋳物の鍋で蒸し焼きに

肉は歯切れよく、噛むほどに肉汁があふれます。豚もいいけど、牛もうまいなぁ…。添えてある野菜は、それぞれ特長が引き出されていて、肉に負けないおいしさです。

「神奈川の『今井農園』から朝採れ野菜を入荷しています。ていねいに育てられていて、香りもいいんです。フランス料理ではエチュベというんですが、うちでは圧力のかかる鋳物の鍋を使い、ほんの少しの塩とオイルをかけ、あとは野菜がもつ水分だけで蒸し焼きにしています」と井原さん。

いいものをおいしく。当たり前のことですが、プロとしての信念を感じます。店にいると、スタッフたちはつかず離れず、話しかけてほしい時だけを見計らったように会話が生まれていく。ひとり客が多いのも頷けます。このほどよい空気感が、チームワークのポイントその3です。

タイミングよく倉田さんが赤ワインを出してくれました。
「I Padri 2005 La Stoppa」。質感がしっかりしていて、赤身肉に合います。「これはイタリア、エミリア・ロマーニャ州のワインです。女性の生産者で、こだわりをもってつくっていらっしゃる方。フランス以外にも料理に合わせたワインを取り揃えているので、迷ったときはぜひ声をかけて」と倉田さん。僕はいつも倉田さんにおまかせ、間違いなしのマリアージュです!

▲左から、畠山さん、倉田さん、遠山さん、井原さん、石戸谷さん。

外食は、おいしさはもちろん求めるけど、心の満足を得たい。『ビストロ・コンフル』には、チームワークが生み出す信頼の味と居心地のよさがあります。倉田さん、井原さん、みなさん、今日もごちそうさまでした! また(すぐ)来ます!


【編集後記】
料理にも空間にも、そこはかとないやさしさが感じられた『ビストロ・コンフル』。それらは、遠山さんがキーワードと語るチームワークが醸し出しているのでしょう。
遠山さんが毎回コンプリートするという「3週間替わりのランチ」(3種)も気になるところ。プロが通う店には、おいしくて気持ちよく笑顔になれる、外食の本質がありました。

撮影:千々岩友美

【メニュー】
馬肉のタルタルステーキ フレンチフライを添えて 1,500円
つぶ貝のソテー 1,800円
牛ザブトンの炭火焼き 2,900円
※上記はすべて通常ポーション(2人前)の価格。1人前も用意できます
グラスワイン 900円〜
※価格はすべて税込

※『dressing』プレミアム読者限定のご来店時特典あり※

『ビストロ・コンフル』オーナー倉田さんに、ご来店時特典をご用意いただきました。
特典をゲットして、遠山隆昌さんが絶賛する『コンフル』の味を堪能しましょう!



※取材時にいただきましたご来店時特典は、2018年9月30日まで有効です。

ご来店時特典は…! (続きは「今すぐ続きを読む」へ)

ビストロコンフル(bistro‐confl.)

住所
東京都世田谷区上馬4-3-15 1F
電話番号
050-5487-6956
営業時間
ランチ 11:30~15:00
(L.O.14:00)
ディナー 18:00~24:00
(L.O.22:00)
定休日:火曜日
ぐるなび
ぐるなびページhttps://r.gnavi.co.jp/r0kjtue20000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。

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