連載 第6話:『なかの中華!Sai』オーナーシェフ 宮田俊介さんが通う店
料理人から料理人へ、バトンを受け継いでとっておきの一軒を追う連載【腕利き料理人が通ううまい店】。
四谷三丁目のフレンチ・イタリアンレストラン『Due Ligne(ドゥエ リーニュ)』の瀬野景介さんからバトンを受け継いだのは、
中野『なかの中華!Sai 』のオーナーシェフ宮田俊介さん。スープたっぷりの熱々小籠包、肉が驚くほどやわらかいよだれ鶏など、ここに来たら必食! と思わせる料理が多く、ランチの人気ぶりも評判だ。その宮田さんがプライベートで通う店のひとつが、深夜まで気軽に楽しめるフレンチビストロだそう。仕事帰りに癒やしを求めていく食空間とは。
ここからは、宮田さん自らに語っていただきます!
飲食店がひしめく路地にふと現れる空間。路地裏を通う黒猫が見つめる先にひっそり佇む
![](https://rimage.gnst.jp/www.gnavi.co.jp/dressing/image/article/33/21733/column_5a33071556938c22b5e1be7a286b39fb.jpg)
JR高円寺駅から歩いて2~3分。居酒屋やバーを通り過ぎ、小道を入るとビルの下にちょっとした空間が現れます。そのビルの1階、手前から2軒目にあるのが『ABRAXAS』。ギリシャ語でアブラクサスと読む。どうやらエジプト神話にでてくる神のひとつで、呪文のアブラカタブラの語源だとか。ここは清水哲也シェフとその奥様麻衣さんのふたりで切り盛りされているフレンチビストロ。カウンター4席とテーブルが3卓、入り口左手には半個室のようなテーブルも2卓あり、ほどよく落ち着ける大きさ。僕にとってはオアシスのような空間です。
初めて訪れたのは3年前くらい。共通のお客様から「いい店がある」と話は聞いていたんです。高円寺・中野の食べ歩き本がきっかけです、うちが掲載されたとき『アブラクサス』の記事が大きく載っていたのを見て、背中を押されました。
![](https://rimage.gnst.jp/www.gnavi.co.jp/dressing/image/article/33/21733/column_c4730d868c0e1c2d0a917b08c6b266ef.jpg)
来て、食べて、それはもう感動しました。おいしい、そして居心地がいい。このあたりは居酒屋やバーは多いのですが、深夜までゆっくり食事を楽しめるところが案外少ないんです。だから、ここは本当に貴重なお店。
さて、前置きはこのへんにして、早速『アブラクサス』のマイベスト3の料理を紹介します!
第3位:「季節のグリーンサラダ」ひとつ、ひとつ、野菜の味が際立つ
![](https://rimage.gnst.jp/www.gnavi.co.jp/dressing/image/article/33/21733/column_d6a4e2f67adae2d325a44e5062d11f9e.jpg)
トマト、オクラ、とうもろこし、スナップえんどう、ブロッコリー、タマネギ、ルッコラなどさまざまな野菜がひとつにまとめられたサラダ。素材は季節ごとに変わります。一見ふつうの盛り合わせのように見えますが、これが違うんです。
![](https://rimage.gnst.jp/www.gnavi.co.jp/dressing/image/article/33/21733/column_5d493f9b2e9dce4c47e187c863a6ae9e.jpg)
▲さまざまな野菜を、いちばんおいしい状態に仕上げていく
注文が入ってから野菜を一つひとつていねいに仕込んでいるのでしょう。味わいに統一感がありながら、個々に甘み、苦み、酸味、うまみを感じられ、食感も引き立っています。
「多少時間はかかってしまうのですが、いちばんおいしいところを食べていただきたい。ものによってゆで時間もまちまちですし、ゆでておくと青臭みが出るものもありますから」と清水シェフ。その揺るがない姿勢がファンを増やしていると感じます。
![](https://rimage.gnst.jp/www.gnavi.co.jp/dressing/image/article/33/21733/column_1b1cce8191714f702db0874f5de024ed.jpg)
オリジナルのドレッシングにはわさびを使っているというのを、今回初めて知りました。そして個別にドレッシングをからめてから盛り合わせているので、野菜の味にメリハリが出ているのだと思います。酸味がとがってなくてわさびの辛みは控えめ、野菜の味を引き立てる名脇役ですね。
第2位:「熊本赤牛のカイノミステーキと木の子のガーリックライス」 たまらない組み合わせ!
![](https://rimage.gnst.jp/www.gnavi.co.jp/dressing/image/article/33/21733/column_45598e95a0a9cf2cb517f7eb4d5fa665.jpg)
この見事な肉の火入れ。中はほんのり火が通ったピンク色のレア状態です。ここのカイノミはあか牛なので、脂は強くなくあっさり。下はキノコがたっぷり入ったガーリックライスで今日はとうもろこし入り。先日来たときは、春のふきのとうが入っていてそれもうまかった…。
![](https://rimage.gnst.jp/www.gnavi.co.jp/dressing/image/article/33/21733/column_b621e8473ec7901cea2c4e2875458564.jpg)
▲表面を焼きかためたあと、カイノミの脂とガーリックバターでアロゼ
![](https://rimage.gnst.jp/www.gnavi.co.jp/dressing/image/article/33/21733/column_9928e30f35424be1a6b8e533a3ccb3d0.jpg)
▲キノコはしっかり炒めてオイルに風味を移し、ご飯に浸透させる
これはもう男飯感覚で、ガーリックライスに肉を一切れのせて頰張ります。ん、うまい! とうもろこしがプチッと弾けて甘く、キノコ&ガーリックの味が浸透したご飯はパラパラとほどけ、肉汁とおいしくなじみます。肉の上に、酸味のあるソースのようなものがかけられていますね、これは何ですか?
![](https://rimage.gnst.jp/www.gnavi.co.jp/dressing/image/article/33/21733/column_0866526357aaa729d8170862d50c69e1.jpg)
「ゆずドレッシングでマリネしたエシャロットです。肉とガーリックライスなので、酸味をアクセントに」と清水シェフ。なるほど、こってりしすぎず、次のひと口へと軽く進ませてくれます。肉にはやはり赤ワイン。ソムリエの麻衣さんが選んでくださったのは「Chateau d'Osmond Cru Artisan2014」。ここは厳選されたビオワインが揃っているのも魅力です。
第1位:「グリエールチーズたっぷりえびグラタン」 人生で出逢ったなかで最強!
![](https://rimage.gnst.jp/www.gnavi.co.jp/dressing/image/article/33/21733/column_21ff82e201cbb7256af04b28e31e37a9.jpg)
夏にグラタン? と驚く方もいるかもしれません。以前は冬季限定だったんですが、僕の「今日はえびグラタンないんですか?」のひと言から、通年にしてくださったメニューらしいです(清水さん、ありがとうございます!)。
![](https://rimage.gnst.jp/www.gnavi.co.jp/dressing/image/article/33/21733/column_9b1a7698a1288cb6516d897a3f9a0b1e.jpg)
▲ペンネはホワイトソースをからめてやわらかめに。チーズはたっぷりと!
![](https://rimage.gnst.jp/www.gnavi.co.jp/dressing/image/article/33/21733/column_cdf5f5927f98b63bb04cae0330c11fe3.jpg)
正直言ってしまうと、グラタンってなかなか外では食べないんです。家庭料理ですし、重い気がして。でも『アブラクサス』に通っているうちに気になってきて、食べてみたらそれはもう、うまくてびっくり。ベシャメルはさらっとしていてペンネとなじみよく、えびのうまみ、グリエールチーズのコク、パン粉のサクッとした食感が調和して最高! 今までの人生で食べたグラタンのナンバーワンになりました。そうです、以来毎回食べています。
![](https://rimage.gnst.jp/www.gnavi.co.jp/dressing/image/article/33/21733/column_8f1a6d953c063cc6c26a5d0764eab60a.jpg)
「グラタンには白かな」と、麻衣さんがワインを合わせてくれます。「Domaine Chataignier Durand SAINT-VERAN 2016」ほんのり甘みと酸を醸し、グラタンにぴったりの味わいです。
![](https://rimage.gnst.jp/www.gnavi.co.jp/dressing/image/article/33/21733/column_9d4fd90676d2f019c16c542e765a9419.jpg)
熱々なんだけど、さらっと軽く食べられちゃう。塩のあて方も絶妙で勉強になります。撮影だということを忘れて黙々と食べてしまいました。つい2週間前も食べたんですけどね(笑)
![](https://rimage.gnst.jp/www.gnavi.co.jp/dressing/image/article/33/21733/column_3a037ca9d820925a7d43093225688515.jpg)
料理のクオリティの高さ、居心地のよさを紡ぎ出す清水ご夫妻。街に愛されるビストロです。今日は(も)ありがとうございました。間違いなく、おいしかった! また食べにきます!
【編集後記】
撮影に緊張気味だった宮田さんが、清水シェフの料理によって素敵な笑顔になっていく。肩の力を抜いて楽しめるフレンチビストロが「オアシス」になっていることを間近に見ました。また、日本人に親しんでほしいと和食材をさりげなく使われているシェフの心意気、その味にスタッフ一同感激です!
撮影:千々岩友美
【メニュー】
季節のグリーンサラダ 1,200円
熊本赤牛のカイノミステーキと木の子のガーリックライス 3,900円(2人前)
グリエールチーズたっぷりえびグラタン 1,800円
ワイン(グラス) 680円~ *紹介のワイン2種は各1,000円
※価格はすべて税込
※『dressing』プレミアム読者限定のご来店時特典あり※
『アブラクサス』清水さんに、ご来店時特典をご用意いただきました。
特典をゲットして、宮田俊介さんが絶賛する『アブラクサス』の味を堪能しましょう!
※取材時にいただきましたご来店時特典は、2018年8月3日まで有効です。
ご来店時特典は…! (続きは「今すぐ続きを読む」へ)
Bistrot a Vins ABRAXAS(ビストロ ア ヴァン アブラクサス)[閉店]
- 営業時間
- 19:00~25:00
- 定休日
- 水曜
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
![](https://rimage.gnst.jp/www.gnavi.co.jp/dressing/image/article/33/21733/shop_0c4b20ca19cb55a18125a96845932672.jpg)
この記事にはまだ続きがあります
今すぐ続きを読む
プレミアム記事をすべて読むには、ぐるなびプレミアム会員登録が必要です