豚モツを知り尽くした焼きとんの店主に身を委ねる、破格のおまかせコース【腕利き料理人が通ううまい店】

【腕利き料理人が通ううまい店】世の食いしん坊たちを魅了する腕利き料理人こそ、選ばれし生粋の食いしん坊。好奇心を刺激しに、疲れた身体を癒しに通う店には、間違いない味と心意気がある。料理人から料理人へ、バトンを受け継いでとっておきの一軒を追う。

2018年08月08日
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豚モツを知り尽くした焼きとんの店主に身を委ねる、破格のおまかせコース【腕利き料理人が通ううまい店】
Summary
1.揺るぎない技術力で地元に長く親しまれるフレンチビストロ『アブラクサス』清水哲也シェフが通う店
2.“焼きとん”の名店がたどり着いた、フリーダムなモツ料理空間
3.豚モツのおいしさを引き出す目利きと技。さらに引き立たせていくハーブやフラワーに五感を奪われる

連載 第7話:『ABRAXAS(アブラクサス)』オーナーシェフ 清水哲也さんが通う店

料理人から料理人へ、バトンを受け継いでとっておきの一軒を追う連載【腕利き料理人が通ううまい店】。

なかの中華! Sai』の宮田俊介さんからバトンを受け継いだのは、高円寺のフレンチビストロ『アブラクサス』のオーナーシェフ清水哲也さん。ファンを虜にするグリエールチーズたっぷりのエビグラタンや、〆に食べたくなるカイノミステーキ&キノコガーリックライスなど、馴染みやすく奥深い味で地元に愛される『アブラクサス』。清水さんが自身の休日にふらっと寄りたくなるという店のひとつが、フレンチビストロのような焼きとん屋だという。いったいどんなメニューが出てくるのだろう。

ここからは、清水さん自らに語っていただきます!

住宅街にふと現れるエントランス。グリーンの奥に空間がパッと開ける

JR中野駅から線路沿いを環七通り方面へ、7~8分歩いて少し奥まった路地に、スポットライトが灯る木の扉が現れます。中に入るとグリーンがアーチのようになっていて、大きめのL字カウンターとゆとりのあるテーブル席。

ここが今回ご紹介する店『久遠の空』です。

まずは、お決まりのモツ焼きで一杯

店主は、モツのおいしさを自在に表現することで有名な遠山隆昌さん。もうだいぶ前ですが、遠山さんがうちの店に来てくださったのが縁のはじまりです。

僕が初めて訪れたのは、もつ焼き専門だった『久遠』の頃。火入れがすばらしく、いろいろな部位が楽しめて連日にぎわっていました。数年前、惜しまれながら数ある店舗をこの『久遠の空』に集約。居心地のよい空間で、リラックスしたい休日に妻と訪れています。

僕らは決まっておまかせコース。何も考えず、肩の力を抜いて身を委ねられる信頼感と期待感が、日々の緊張をほぐしてくれます。まずはもつ焼きから。

今日は「カシラ」と「ハラミ」が出てきました。表面が香ばしく見事な焼き加減、カシラはほどよい弾力があって噛むほどに肉汁が広がり、ハラミからは濃縮した肉のうまみが感じられます。口あたりのよい「自家製ショウガ酵素のハイボール」がよく合う。おいしい時間のはじまりです。

『久遠の空』ならではの自家製薬膳カクテル。ハーブ使いが鮮やか

次の料理を待つ間に、この夏のおすすめカクテルを出してくださいました。ハーブがこぼれんばかりにトッピングされた、その名も「スーパーグリーンモンスター」(写真上)です。

「ジンにカカオニブやシナモン、フェンネル、生コショウ、トウガラシなどを漬けた自家製の薬膳酒がベース。フレッシュハーブたっぷりのモヒート風です」と遠山さん。さわやかな癒しの香りを放ち、飲むとピリリと情熱的な辛さがきます。まさに夏!ですね!

では、おまかせコースの中から、マイベスト3の料理を紹介します!

第3位:「豚レバーと季節の果実パテ」『パーラー江古田』の全粒粉レーズン酵母のクルミカンパーニュ

ずっしりと厚みのあるパテに、桃、パッションフルーツ、そして白く可憐な花レモンマートルをトッピング。ハーブやエディブルフラワーが飾られて、仕上がりがとても華やか。シトラス系のフレッシュな香りが漂ってきます。

▲パテの上にフルーツを重ねて、仕上げに摘みたてのハーブ(レモンマートル)をトッピング

パテにフルーツやハーブを少しずつ絡めていただきます。レモンマートルの清涼感を感じながら、果実の酸味や甘みが肉のうまみと重なって…おいしい。肉がギュッと詰まっているのに軽やかな後口で、クルミのカンパーニュともよく合います。

「フルーツは、ブドウや手作りのドライフルーツなど、季節のものでアレンジします。レモンマートルはレモンの香りはするけど苦みはなくてさわやか。花は、見た目や香りはもちろん、味も料理のアクセントになるので気に入っています」と遠山さん。モツのおいしさを引き立てるハーブやフラワー。華やかな演出に目がいきがちですが、遊び心の中に味のバランスが計算されています。

第2位:「本日のspicyカレー」いぶりがっこと梅干しのアクセント

『久遠の空』の〆は、カレーがお決まり。使う食材やスパイスの調合は、遠山さんのその日のフィーリングで、「ワインを選ぶ感覚と同じ。体がその日欲している味を表現する」とのこと。これが絶妙なんです。

▲ホールスパイスを炒めてから、仕込んでいたカレーをなじませ一食ずつ仕上げる

この間食べた「豚タンと和風野菜のキーマ」も食感や風味の組み合わせがよかったけど、今日のはカツオやサバなど魚がベースになっていて山椒がピリッとくる、また違ったおいしさ。今日のカレーは特に名前がないようですが(笑)、だしのうまみにスパイスが重なっている感じがスリランカカレーを思わせます。

添えてあるのは、みじん切りのいぶりがっこと、叩いた梅干し、スターアニスの花。塩気、酸味、発酵食品ならではの厚みが、またアクセントになって味わいが広がります。スパイスがしっかりきいているんですけどスッと消えて、お腹いっぱいでもペロッと食べちゃうんですよね。

第1位:「豚セルベルの天ぷら」マイクロリーフと漆黒のパンジー、ネロsalt

セルベルとは、フランス語で「脳みそ」。その名の通り、これは豚の脳みその天ぷらです。驚く方もいるかもしれませんが、脳みそはフランスではポピュラーな食材なので、僕にとってはどこか懐かしさを覚える味なのです。

▲よく洗って衣にくぐらせ、手早く揚げていく

調理するには鮮度が大事なので、入荷していたらとてもラッキー。ていねいに洗って、さっと揚げてくれます。大きいのが大脳、となりに脊髄と小脳。では小脳から…う~ん、とろけます!

「豚の脳は60%が脂質。いい脂なので、舌にのせるとベタつかずサラッとほどけていきます。白子と似ているというとイメージしやすいかもしれません」と遠山さん。
そうですね、臭みがなく、実は食べやすい。添えてあるブルーチーズとごぼうのソースがアクセントになって、脂もすっと消えていきます。ネロは漆黒のパンジーのことで、その抽出液で作った紫色の塩はほんのり甘い香りがします。添えてある素材によって、セルベルなど食べ慣れている部位の味わいが変化していく、演出の楽しさとおもしろさにいつも刺激を受けます。

目利きから火入れまで、豚モツを熟知した遠山さんの料理は何を食べても「うんうん」と、うなずいてしまうおいしさ。仕入れによって今日だけのとっておきが出てくる楽しみもあるから、『久遠の空』ではおまかせコースがいちばん。フレッシュな香り、見た目、そして何より豚のよさを引き出す技術があるから安心して身を委ねられます。同世代、互いに食を楽しく追求していきたいですね。今日もおいしかったです!ごちそうさまでした!

【編集後記】
鮮やかな手さばきで、モツの特長を引き出していく遠山さん。その隣で絶大な信頼感をもって味わう、清水さんのリラックスした笑顔がおいしさを物語っていました。大人数で楽しめる「豚さん内臓一頭、丸ごと食べちゃうコース」も人気とのことで、スタッフ一同モツへの好奇心は増すばかり。串焼きの濃く深い味わいに感動し、みな無口になって噛み締めていました。

撮影:千々岩友美

【メニュー】
豚セルベルの天ぷら 1,500円
豚レバーと季節の果実パテ 1,400円(バゲット別400円)
本日のspicyカレー 1,200円
*上記3品(小ポーション)や串焼きを含むおまかせコース 4,000~4,500円/1人
自家製ショウガ酵素のハイボール 755円
スーパーグリーンモンスター 1,500円
※価格はすべて税込

※『dressing』プレミアム読者限定のご来店時特典あり※

『久遠の空』遠山さんに、ご来店時特典をご用意いただきました。
特典をゲットして、清水哲也さんが絶賛する『久遠の空』の味を堪能しましょう!



※取材時にいただきましたご来店時特典は、2018年9月30日まで有効です。

ご来店時特典は…

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