香り豊かなトリュフがたっぷり、名物「フォアグラ棒つくね」は絶対食べたい、新スタイル焼鳥店『銀座 井』

2019年04月15日
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香り豊かなトリュフがたっぷり、名物「フォアグラ棒つくね」は絶対食べたい、新スタイル焼鳥店『銀座 井』
Summary
1.六本木で人気を呼んだ焼鳥店『井』が、銀座に移転オープン!
2.看板料理「フォアグラ棒つくね」はバージョンアップ。素材や火入れ、タレにこだわり、季節の野菜とコラボした新しいスタイルの焼鳥を堪能!
3.料理も充実! 高級ワインとのマリアージュも試したい

焼鳥を超えた焼鳥!バリエーション豊富な新スタイルの焼鳥

東京・銀座8丁目のビルの地下1階に、新しいスタイルの焼鳥が愉しめる店『銀座 井』がオープンした。

店主は井上晃一さん(写真下)。都内の数店で料理長を経験した後、ニューヨーク・マンハッタンの焼鳥店で料理長を務めたこともある料理人だ。

2013年に『六本木 井』を開業し、一躍人気店に。かねて銀座で店を出したいと考えていた井上さんの志を実現するべく、2018年10月、『井』を六本木から銀座に移転オープンすることになった。

店内はカウンター8席と個室が2室。ダークな色合いの壁に、金粉を使った躍動感あふれるペイントが施され、居心地のいい空間が広がる。営業中は音楽をかけず、店内は無音。「お客様同士の会話を大切にしたいんです」と井上さん。落ち着いた雰囲気でゆったりと食事ができるよう、配慮が行き届く。

看板料理は「フォアグラ棒つくね」! つくね、フォアグラ、トリュフの調和を堪能

メニューは「おまかせコース」1本。その日によって内容が変わるが、焼鳥が10種ほど、野菜串が3種ほど、サラダなどの一品料理が数種、箸休め、お食事、デザートの構成が基本。六本木時代に比べて品数が増えたが、焼鳥は1串のポーションを小さくした。

店の看板料理は「フォアグラ棒つくね」。

『六本木 井』で多くのお客の支持を集めたこの一品。ふわふわの鶏つくねを頬張ると、中からトロリと、濃厚な味わいのフォアグラペーストが溢れる。このつくね単体でも十分に愉しめるのだが、銀座移転を機にバージョンアップ。さらにリッチな姿になった。

つくねの上に、香り豊かなトリュフがたっぷり! シーズンによっては、オプションとして白トリュフをオーダーすることもできるという。

つくねとフォアグラ、トリュフの調和。贅沢なマリアージュだ。まろやかな味わいのディジョンマスタードを多めにぬって、大胆にかぶりつきたい。

季節の野菜との組み合わせを愉しむ! シンプルな串にも繊細な仕事が施される

焼鳥は、オーソドックスなものからこの店でしか味わえない個性的なものまで、一串一串丁寧に調理されている。

鶏は供する部位ごとに一番適した産地のものを厳選。この日は品質の高さで知られる『稲垣種鶏場』の純系名古屋コーチンを中心に、鹿児島、千葉などから仕入れた鶏が供された。火入れには「パワーが違う」という紀州の炭を使用。絶妙な温度調節と焼きの見極めは井上さんの腕の見せ所だ。

ではおまかせコースの一例から、おすすめの串を焼いていただこう。まずはこの店の個性のひとつである、季節の野菜を使った串から。

ペッパーのきいたスパイスソルトをまぶしたムネ肉で、岡山県産の黄ニラを巻いた串(写真上)。シャキシャキとした黄ニラの歯ごたえ。ペッパーもアクセントになり、さっぱりといただける1本。

春らしい、菜の花を使った串(写真上)。純系名古屋コーチンのモモ肉とムネ肉で菜の花を挟んである。炭火によって素材の味が引き出され、野菜の甘さをしっかりと感じる。『稲垣種鶏場』の鶏は「脂の味わいが上質。まるでバターのような香りです」と井上さん。その脂のおいしさを存分に堪能できる串。

セセリとタラの芽(写真上)。セセリは鶏の首肉の部分。だしに漬けて焼いてあり、タラの芽のほのかな苦みと、セセリの脂の味わいが合う。

シンプルな串にも繊細な仕事が施される。この日のハツ(写真上)は、千葉県産の水郷赤鶏(すいごうあかどり)を使用。やわらかさを意識して飾り包丁を入れ、絶妙な火入れで仕上げる。ハツ独特のコリッとした歯ごたえは残しつつ、噛み進めるともっちりやわらかい。「うちのハツはちょっと他と違いますよ」という井上さんの言葉に納得する味わいだ。

ドリンクに合わせてタレやソースをアレンジ

バリエーション豊富なタレやソースも、こちらの店の特徴。

焼き台のそばには、生醤油、醤油とみりんのタレ、赤ワインベースのタレ、だし焼き用のだし、“12種類の野菜のソース”を常備(写真上)。他にも、香味野菜や、フォン・ド・ヴォーを活かしたソース、パクチーソース、辛子味噌、XO醤を使ったソースなど10種ほどを準備している。どの素材にどのタレやソースを使うかは、お客が飲んでいるドリンクを見ながら井上さんがアドリブで決めていくという。

テッポウ(写真上)には、“ネギ塩ダレ”が合う。テッポウとは、鶏の食道。ネギ塩ダレはたっぷりの長ネギに、国産レモンの酸味とこしょうの辛みをきかせたさっぱりとした味わい。プリプリ食感のテッポウと相性がいい。

しかし、テッポウには“ネギ塩ダレ”、と決めているわけではない。赤ワインを飲んでいる方にはフォン・ド・ヴォーと醤油のソースで供することもある。

砂ギモ(写真上)は “12種類の野菜のソース”で。砂ギモは鹿児島県産の鶏のもの。香味野菜をメインに12種類の野菜で作ったソースは風味豊か。「砂ギモをタレで食べさせる店は珍しいかもしれません」と井上さん。ソースの風味で新鮮な砂ギモの味わいが引き立つ。

看板料理の「フォアグラ棒つくね」のほかに、こちらの店ではもう1種類のつくね「熟成野菜のつくね」(写真上)を供している。これは、つくねの素材の55%に野菜を使った、野菜メインの串だ。数種の野菜を寝かせてうまみを引き出し、鶏挽き肉などと合わせ、淡路島産タマネギと塩のみで調理したソースをかけて仕上げにキャビアをのせる。あっさりしたつくねとタマネギの甘みを感じるソースが合う。

野菜串も、一本一本に個性が

野菜串は旬を感じられる素材を提供。焼鳥同様、タレやソースなどを合わせて丁寧に調理される。この日の野菜串は……

小ジャガイモ(写真上・右)。ほろ苦いフキノトウとバターのソースで。タケノコ(同・左)は生醤油をぬって焼き、木の芽とおろしたてのワサビを添えている。熊本の赤ナス(同・右から二番目)は炭火で焼いてから“12種類の野菜のソース”に漬けてうまみを含ませた。ソースを吸ったナスはとろけるような食感。トッピングされているのはカツオ節ではなく鶏節だ。スナップエンドウ(同・左から二番目)は黄身酢と梅肉でいただく。

どの串も野菜の食感を活かした絶妙な火入れ。ソースやトッピングとの相性を愉しめる。

サラダや一品料理、箸休めも充実

焼鳥や野菜串の合い間に供される一品料理やサラダにも注目したい。山形県出身の井上さんは、故郷の伝統野菜や郷土料理なども積極的にメニューに加えている。

コースの最初に供されるのは「鶏白湯スープ」(写真上)。硬度0.2と超軟水の青森県白神山地の天然水を使って丸2日間炊いたスープは、トロリと濃厚。鶏のうまみがぎゅっと凝縮されている。

「鶏玉子」(写真上・左)は、生のササミと福島県産の卵を合わせて加熱した一品。滑らかな食感の、鶏と卵のムースのような味わい。

「鶏スープの冷製サラダ」(同・右)は、冷たい鶏スープにニンジンやダイコンなどの野菜と、フカヒレが入っている。焼鳥を食べる合い間にさっぱりした冷製スープと野菜を食べて小休止。フカヒレの食感がアクセントになって存在感のあるサラダだ。

サラダは他に、フルーツトマトのサラダや葉物のサラダなどのバリエーションがある。

「よだれ鶏」(写真上)は、言わずと知れた中国料理の定番メニュー。通常はムネ肉を使って調理するが、こちらでは低温調理でやわらかく仕上げた砂ギモとハツを使う。十数種類の調味料で作ったタレは、しっかりと辛みがあって本格派。添えられる野菜は季節ごとに変わり、この日は井上さんの故郷山形県の伝統野菜・小野川豆もやし、仙台セリ、パクチー。

出された瞬間、これは何だ? と不思議に思うこちらの一品。黒ゴマと数種のチーズを混ぜて焼いた「黒ゴマチーズ」(写真上)だ。ゴマの風味とチーズのコクでお酒がすすむ。おまかせコースの中盤あたりで、チーズの串は必ず供される。他に「醤油に漬け込んだモッツァレラ」などのバリエーションもある。

箸休めとして、季節のフルーツや柑橘でうまみと酸味を出したポン酢と、山形県庄内産のアサツキや鶏節を使った「大根おろしポン酢」(写真上・左)。野菜と、粘りのある納豆昆布を使った山形の郷土料理「野菜だし」(同・右)なども。

白ワインを飲んでいる方には「白レバーとフォアグラのムース」、マッシュポテトに燻製にしたチーズを合わせた「井上ポテト」など、一品料理のメニューは多い。お客の好みやオーダーされたドリンクに合わせて、井上さんが臨機応変に料理を作る。

コースを締めくくる食事は、「玉子かけご飯」、「そぼろ丼」、「赤ワインのフォン・ド・ヴォー スープカレー」、「山形県の手打ち更科そば」などからその日の1品を。デザートは「白ワインのムース」、「プリン」など。最後の一皿まで愉しめる盛りだくさんの内容だ。

焼鳥とワインのマリアージュを満喫

六本木から銀座への移転で、ドリンクのラインナップも大きく変えたという。ワインの取り扱い銘柄が増え、ハイクラスなワインをグラスで飲めるようになった。

特におすすめしているペアリングは、「フォアグラ棒つくね」と、「ジュヴレ・シャンベルタン コルボー」(写真上・左)。フランス・ブルゴーニュ地方の中でも銘醸地として知られる「ジュヴレ・シャンベルタン」の赤ワイン。ほんのりとキノコのような香りが感じられ、トリュフとの相性は抜群。

「熟成野菜のつくね」には「シャサーニュ・モンラッシェ ローラン・ピヨ」(同・右)。こちらもブルゴーニュ産のワインで、シャルドネ種100%の白。グラスで提供する店はあまりない高級ワインだ。

井上さんは、「最高の食材を使って自分の持っている技術を表現したい。部位ごとに、焼鳥の1串1串をお鮨のように堪能してもらいたい」と言う。

六本木店をクローズしてから銀座で開業するまで、想定していた以上に準備に時間がかかったが、『銀座 井』がオープンすると、六本木時代の常連客が次々に来店した。1年弱ほどの間、お客は『井』のオープンを待ち続けていたのだ。

新天地で新しいスタイルの焼鳥を追求する『銀座 井』。常連客に愛される焼鳥は、銀座でさらなる飛躍を遂げそうだ。


【メニュー】
コース 9,500円
▼ドリンク
ジュヴレ・シャンベルタン コルボー グラス 3,000円
シャサーニュ・モンラッシェ ローラン・ピヨ グラス 2,500円
※本記事に掲載された情報は掲載日時点のものです。また、価格はすべて税抜きです

焼鳥 銀座 井

住所
東京都中央区銀座8-7-20 belle銀座3ビルB1
電話番号
050-5487-7429
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営業時間
ディナー 18:00~23:00
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