【レシピ】夏こそ野菜の揚げ物が一番! 食欲を増進させる“野菜の素揚げ料理”の極意おしえます

暑くて食欲がダウンしている時こそ、ヤケドしそうに熱々の揚げ物が食欲をぐっと増進させてくれます。揚げ物が好きで、料理本『家で揚げるともっとおいしい』(リトルモア)まで出してしまった料理家・坂田阿希子さんに、「揚げ物の中で一番好き」という野菜の素揚げ料理を教えていただきましょう。

2021年08月17日
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【レシピ】夏こそ野菜の揚げ物が一番! 食欲を増進させる“野菜の素揚げ料理”の極意おしえます

「一番好きな揚げ物は、野菜の素揚げです」

「“揚げる”というのは、油で熱することで、素材の表面から水分が蒸発して、そこに油が入っていくという調理法。だから、野菜を素揚げにすると、水分が抜けて味が濃くなるんです。色は鮮やかになり、油のコクが加わって、うまみや甘みが出てくる。しかも不思議と、えぐみのような、余分な味は抜けています。野菜によって食感も香りも違うから、私は季節ごとに、いろんな野菜を揚げています。揚げていくうちに素材の様子が変化するのを眺めるのも大好き」

▲『家で揚げるともっとおいしい』の中で紹介されている「揚げパセリのシーザーサラダ」

「素揚げは水気をしっかりふきとり、野菜の性質さえ知っていれば実はそんなにはねないから怖くないし、こんなにシンプルでこんなに美味しくなる料理法って、『揚げる』以外にないのでは。大げさに考えず、まずは手持ちの小さめのフライパンか鍋に、少しの油を入れて、季節の野菜をいろいろ揚げてみましょう」

【おすすめ1】インゲンの素揚げ タマネギドレッシングあえ

「料理の素揚げで一番好きなのは、揚げると劇的に変わるインゲンです。『インゲンの素揚げ タマネギドレッシングあえ』は、熱々のインゲンにドレッシングがよくしみて、美味しいんです。ほかにも揚げたインゲンとネギとザーサイをあえればご飯に合うおかずになりますし、肉や魚を合わせれば、まさにごちそうです」

【材料】(2~3人分)

インゲン…250g

<タマネギドレッシング>
A(すりおろしたタマネギ1/2個、フレンチマスタード小さじ1、米酢大さじ1、塩小さじ2/3)
 オリーブオイル…大さじ3
 白こしょう…少々

<揚げ油>
サラダ油…適量

【作り方】

① インゲンはへたを取る。

② Aを合わせてよく混ぜ、オリーブオイルを少しずつ注いで混ぜ、最後に白こしょうを振る。

③ 揚げ油を170℃~180℃に熱し、インゲンを素揚げする。

▲色が鮮やかになり、薄皮がふくらんできたら美味しくなったサインなので、引き上げる。

④網に上げて油をしっかりと切り、ボウルに熱々を入れてドレッシングとあえる。

【おすすめ2】芽キャベツのごろっと揚げ

「芽キャベツは糖度が高い野菜ですので、揚げると水分が抜けて、香り、苦み、甘みがわーっと出てきます」

【材料】(3~4人分)

芽キャベツ…20個
塩…適量
レモン…1/4個

<揚げ油>
サラダ油…適量

【作り方】

① 芽キャベツは汚れた部分を取り、へたに十字の切り込みを入れる。

② 揚げ油を180℃に熱し、芽キャベツを黒っぽくなるまでじっくり揚げる。

▲写真のように焦げ過ぎかな、と思うくらいまでこんがり揚げるとぐっと甘くなる。

③ 器に盛り、塩をふる。レモンを添える。

【おすすめ3】揚げジャガイモのサクサクサラダ

「細切りのジャガイモを水でさらしてでんぷんを落とし、サクサクの揚げ上がりを目指します。それをシャキシャキの生野菜と混ぜ合わせると、最高に美味しくなります! 必ず、食べる直前にあえましょう」

【材料】(2~3人分)

ジャガイモ(メークイン)…2個
鶏ささみ…2本
セロリ…1/2本
パプリカ…1/8個
白ワイン…大さじ1
オリーブオイル…少々
塩…適量
白ワインビネガー…小さじ1
香菜…適宜

<揚げ油>
サラダ油…適量

【作り方】

① ささみは筋を取り除く。鍋にささみがしっかりつかるくらいの水と白ワインを入れて沸かし、ささみを入れたら火を止めてふたをして20~30分おく。取り出して細く裂く。

② ジャガイモはごく細切りにして水にさらし、2~3回水を変える。

③ セロリとパプリカはそれぞれごく細切りにする。

④ 揚げ油を180℃に熱し、水気を切ったジャガイモを入れる。

▲ときどき箸でほぐしながら全体が色づくまで揚げる。

⑤ ボウルに①と③を入れ、オリーブオイル、塩、ビネガーの順であえる。最後にジャガイモと香菜を加えてひと混ぜし、盛り付ける。

【おすすめ4】ひらひら揚げゴボウとカレーうどん

「ピーラーでごく薄く削ったゴボウは一瞬でサクサクに揚がり、香りも立ちます。これはスパイシーなカレーうどんの汁に、絶対合うはず! と考えてこの組み合わせにしました。汁はさらさらにして、ゴボウとうどんをからめながら召し上がれ」

【材料】(2~3人分)

ゴボウ…2本

A タマネギ2個、ショウガ大1かけ(おろすか、フードプロセッサーで細かくしておく)

バター…大さじ2
カレー粉…大さじ3
薄力粉…大さじ2(ふるっておく)
だし…5カップ

B 醤油大さじ5~ 塩小さじ1 砂糖小さじ4 牛乳2カップ

生クリーム…1/2カップ~
稲庭うどん…200g

<揚げ油>
サラダ油…適量

【作り方】

① 鍋にバターを熱し、Aを加えて20分ほどじっくり炒める。全体にあめ色になってきたらカレー粉を加えて炒め、さらに薄力粉も加えて炒め合わせる。

② ①にだしを少しずつ加えて煮立て、Bを加える。

③ 味を見て生クリームを好みの量加える。

④ ゴボウは皮をよく洗い、ピーラーでリボン状に削る。水に5分ほどさらして、しっかりと水気を切る。

⑤ 揚げ油を180℃に熱し、ゴボウを入れる。
*水分が抜けてきて薄く色づくまで揚げる。

⑥ うどんは茹でて水気を切り、器に盛る。③のカレースープを注ぎ、⑤のゴボウをたっぷりのせる。

油はねは、水気をふいておけばほぼ大丈夫! 怖がらすチャレンジして

「よく『揚げ物は油がはねるから怖くて苦手』という声を聞きますが、実は、きちんと水気をふいて揚げればだいたいの素材は、そんなに油はねはしないものなんです。ししとうやピーマンのように中が空洞になっているものは、丸ごと揚げると中の空気が膨張して弾けることがあるのですが、竹串で刺すなどして空気を抜いておけば大丈夫。どうしても油はねが心配だったら、油に入れたら蓋をして、音がしなくなったところで蓋を開けて、蒸気を逃がすという方法もありますよ


▼料理家プロフィール

坂田阿希子(さかた・あきこ)

繊細かつ豪快な料理が大人気の料理家。代官山の洋食店『KUCHIBUE』店主。著書『あまくないからおいしいお菓子』(家の光協会)、『じゃがいもブック』(東京書籍)、『このひと皿で五感がめざめる、パワースープ』(文化出版局)、『サカタフルーツパーラー』(グラフィック社)など多数。大の揚げもの好きで、2021年6月『家で揚げるともっと美味しい』(リトルモア)を出版(写真上右)。

撮影/長野陽一
取材協力/リトルモア
記事執筆協力/桑原恵美子

※この記事は、『家で揚げるともっとおいしい』(坂田阿希子著/リトルモア)をもとに編集部で再構成しました。