じっくり焼き上げた「塩麹ローストポーク」が絶品! 発酵食を活かす「隠れ家レストラン」がすごすぎた

2018年02月19日
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じっくり焼き上げた「塩麹ローストポーク」が絶品! 発酵食を活かす「隠れ家レストラン」がすごすぎた
Summary
1.東京・狛江で創業116年の老舗酒店『籠屋 秋元商店』がレストランをオープン
2.料理のテーマは”発酵”。麹や酒粕を使ったヘルシーかつ満足感のあるメニューがそろう
3.クラフトブルワリー併設。料理と共にオリジナルのクラフトビールを堪能しよう

東京・狛江の住宅街の一角にブルワリー&レストランがオープン

小田急電鉄小田原線の狛江駅からバスで約10分。静かな住宅街のただなかに、シックな外観と凛と立つ一本の木が目印のレストランがオープンした。

その名も『籠屋 たすく』。目印は、ガラス窓越しに見える醸造タンクだ。
同店は狛江市内で初となるクラフトブルワリーを併設しており、店内で出来立てのクラフトビールを楽しむことができる。

エントランスをくぐると、右手に『籠屋ブルワリー』の醸造施設があり、その奥左手にレストランの入り口が見える。

レストランは1階と2階で構成。中庭をのぞむガラス張りの店内は、さながらスタイリッシュなカフェのようでもある。しかしながら『籠屋 たすく』を経営するのは隣接する老舗の酒店『籠屋 秋元商店』。老舗酒店ならではの豊富なアルコールのラインナップとともに「発酵」をテーマにした本格的な料理を味わうことができる。

ボリューム満点なのにとってもヘルシー! 大満足のランチセット

ランチタイムのセットメニュー(写真上)は、肉または魚のメインディッシュに加え、前菜の3種盛りと玄米ご飯、サラダ、デザート、ドリンクが付く。

この日の前菜は、味噌と塩酒粕で味付けした「鱈とじゃがいものキッシュ」、自家製豆乳マヨネーズを使った「カボチャのサラダ」、そして「豆腐とワカメの醤油麹和え」の3品。
メインの魚料理はほんのりとディルが香る「鮭の塩麹ハーブ焼き」、デザートには「酒粕のパウンドケーキ」と、ボリューミーかつ発酵調味料をふんだんに取り入れたヘルシーな品々が並ぶ。

これだけのボリュームがありながらもパクパクと食べ進められる理由は、同店で使用する発酵調味料にある。

発酵調味料は一から手作り。 ブルワリー併設だからこそ作れる、オンリーワンの調味料

たとえば写真右下は、醤油麹(写真上)や塩麹の元となる生の麹。同店では、併設ブルワリー内に設置されている酵母の培養設備と酒米、麹菌を使って、麹を一から手作りしている。
鮮度や保存状態によっておのずと生きた菌の活性度合いが異なってくる生麹を、ベストな状態で加工・調理しているのだ。

また、写真左下の白いペーストは、昨今話題の万能調味料・塩酒粕。水や酒などで溶いてゆるい液状にした酒粕に、塩を加えて味を調えたものだが、こちらでは奈良県の『油長酒造』の銘酒「風の森」の真っ白な酒粕を使用。上品な香りと風味のよさは格別だ。

『籠屋 たすく』では余計な油や不自然な化学調味料を一切使用せず、これらの発酵調味料をふんだんに使用したメニューをそろえている。

自家製ビールとの相性もバツグン! 発酵調味料により素材のおいしさが引き立つ前菜

自家製クラフトビールを味わいながらつまみたいのが、和洋折衷の創作料理約20品がオンリストする前菜。好みのセレクトで3種盛り合わせにすることもできる。

塩酒粕で味付けしたコクのある「冷製のラタトゥユ」(写真右)食感がやわらかく根菜のうまみを感じられる「醤油麹のきんぴらごぼう」(写真左)、クミンなどのスパイスをアクセントにした「塩麹でもんだ白菜のコールスロー」(写真上)など、クラフトビールとの相性もばっちり。おのずと杯が進んでしまう。

こちらはぜひオーダーしてほしい「自家製ピザ」(写真上)。トッピングとして自家製の鶏ハム、チーズ、バジルが乗っており、ピザとしては比較的あっさりめ。その分、生地の豊かな風味が際立ち、味わい深い一品だ。

おいしさのポイントは、生地の発酵過程にある。というのも、この生地には自然酒造りで知られる福島県・郡山市の酒蔵『仁井田本家』の酒粕から起こした酵母が使われているのだ。

酒粕には必須アミノ酸や各種ビタミン郡、食物繊維などが豊富に含まれており、栄養満点。そしてそんな酒粕の豊かな風味を活かすため、生地の原材料には全粒粉を使用している。そのため、みっしりとした歯ごたえと香ばしい風味満点の生地となっている。

名物のポルケッタは低温でじっくり焼成し、うまみを引き出す

こちらは名物の「塩麹に漬けた豚バラとハーブのポルケッタ」(写真上)。

ポルケッタとは、イタリア版ロースト・ポークのこと。豚バラの塊肉にタイムやセージ、ローズマリー、ニンニクなどを巻き込み、塩麹に一晩漬け込んだ後100℃で約4時間ロースト。提供前に再度グリルし、トマトマリネと一緒にいただく。

麹の焦げた芳ばしく甘い香りはなんとも食欲をそそる。低温でじっくりと火を施すことで余分な脂が抜け落ち、外側はカリカリ、中身はジューシーに仕上がっている。

のんべえにはたまらない! 豊富にそろうアルコールメニューも魅力のひとつ

いずれの料理にも共通するのが、ヘルシーながらもお酒に合うということ。ついもう一杯飲みたくなるメニューばかりだが、そこはご安心を。同店ではそんなのんべえを受け止めるアルコールのラインナップが揃う。

例えば日本酒であれば、長野県『佐久の花酒造』の「佐久乃花」や山形県『長沼合名会社』の「惣邑」、「小桜」。そのほか奄美大島『山田酒造』の黒糖焼酎「長雲」や、甲州ワインの有名ワイナリー『勝沼醸造』の「アルガブランカ」各種やリキュール、ウィスキーなども豊富にそろう。

そしてクラフトビールは全11種類を用意。「箕面ビール スタウト」やスコットランドの「パンクIPA」のほか、『籠屋ブルワリー』の5銘柄をラインナップ。樽がなくなるごとに新しく入れ替わるので、その時のおすすめを尋ねてみるのも楽しい。

現在『籠屋ブルワリー』を代表する3銘柄(写真上)。
左から、さわやかな香りとみずみずしい飲み口が特徴のゴールデンエール「2nd Touch」、契約農家から仕入れた狛江産ホップを使用する力強いアンバーエール「KOMAE HOP 2017 Type-II」。そして香ばしくもすっきりと淡麗な後味が人気の黒ビール「ダークブラウン」。

どれも丁寧に作られており、飲み飽きないフレッシュな味わい。家族や仲間と飲み比べを楽しむのも良い。

食事が済んだら、レストラン隣の老舗酒店『秋元商店 籠屋』ものぞいてみよう

同店の隣に並ぶのが、狛江の地で創業116年を誇る経営元の『籠屋 秋元商店』。地元の人々だけでなく、遠方からも蔵元や酒好きが訪れることで知られる有名酒店だ。

2階には、蔵元直送の地酒がずらり。レストランで提供している酒も取り扱っているので、気に行った銘柄が見つかったら立ち寄ってみよう。

「全国の銘酒をより多くの人に知っていただきたいのと同時に、発酵食品の可能性についてもさらに研究を重ねていきたいですね」と語るのは、オーナーの秋元慈一さん(写真左)とシェフの亀井貴之さん(写真右)。二人とも東京農業大学 醸造科学科の出身で、10代の頃から発酵について学んできた、“発酵食のスペシャリスト”だ。

いまやブームを超えてその魅力が定着しつつある発酵食。遠くてもわざわざ訪れたくなる『籠屋 たすく』に、あなたもきっとトリコになるはずだ。

撮影:岡本寿

【メニュー】
ランチメニュー(肉又は魚) 1,500円(税込)
クラフトビール レギュラー(270ml)450円~ スペシャル(約400ml)760円~ 
鶏レバーのムース(自家製パンを添えて) 580円
前菜3種盛り 980円
塩麹に漬けた豚バラとハーブのボルケッタ 1,280円
自家製ピザ 880円
八丁味噌のハヤシライス 980円
※ランチメニュー以外、価格は税抜

籠屋 たすく

住所
〒201-0016 東京都狛江市駒井町3-34-4 駒井バス停近く
電話番号
03-5761-8101
営業時間
火~日 11:30~22:00(L.O.21:30)
定休日
月曜
公式サイト
http://www.houzan.com/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
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