肉汁を吸ったバンズまで旨い!備長炭でミディアムレアに焼いた尾崎牛パティのバーガーにパリジャンが夢中

いまや世界は狭くなり、パリで起きている情報はすぐに手に入れることができる、、、と思いがちだけど、やはりパリに暮らしその空気を吸った人だけが感じられる「今」がある。パリでレストランのコンサルタントをし、日常の暮らしがあるからこそ見えてくるもの。そんな本当の最先端のパリの食事情を伝えていただく。

2015年10月02日
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肉汁を吸ったバンズまで旨い!備長炭でミディアムレアに焼いた尾崎牛パティのバーガーにパリジャンが夢中
Summary
・日本が誇る和牛、尾崎牛がバーガーに
・備長炭でミディアムレアに焼き上げたパティ
・16区「PAGES」の手島竜司シェフ考案

バーガーは、もはやパリの日常

パリでニューヨーク風のバーガーが安定の人気を誇るようになって久しい。
今日のパリはニューヨーク・ブルックリンに熱狂している、といっても過言ではないだろう。
高級デパートの「ボン・マルシェ」ではブルックリンをテーマとしたフェアを行っており、ブルックリン風のバーガーやサラダを提供している。いまや、パリ19区のベルヴィルをパリのブルックリンだ、と評するジャーナリストも現れているくらいだ。
たしかに、パリジャンの定番のごはん、ステックアッシェ(牛挽肉のハンバーグ)、ステックタルタル(タルタルステーキ)を、Aller-Retour(アレー・ルトゥール=表面をさっと焼くこと)で食べる人も多いのだから、パリでバーガーが流行るのもむべなるかな。今やパリの飲食店での定番となって、バーガー専門店でなくともカフェやビストロでもバーガーを至るところで見かけるようになった。

バーガー以前のパリ、、、

以前はバーガーといえば、「McDonald's」(フランス人はマクド、と略す)か、「Quick」。また、フランスにはケバブというサンドイッチがあり、フリット(フライドポテト)付き5ユーロほどで売られている。これも大人にも子供にも人気の食べ物。日本ではドネルサンドという名で呼ばれている。鶏肉を串に刺してカリッと焼けた部分を刀のように長いナイフで削ぎ落として、お好みのソースをかけてパンに挟んで食べる。お腹が空いたみんなの味方。いつでも気軽に食べられるチープなファーストフードだけだった。

クオリティバーガーの登場

ところが、パリでここ数年流行りのバーガーは、こういった今までのバーガーのイメージを打ち崩す、いわゆるクオリティバーガーといわれるものだ。
大人のパリジャンたちが、時に行列を作り、ワクワクしながら待って食べるバーガー。
これまでのバーガーよりも少しお高めの値段設定で、素材にこだわっていたり、ソースやバンズ(パティ=お肉を挟むためのパン)が自家製だったりといった、こだわりのあるバーガーを提供するお店が、ここ数年パリに続々と現れたのだ。
一部のお店では、パリで最も有名な熟成肉屋である2軒、星付きレストラン御用達の「ユーゴ・デノワイエ」*や、「ピエール・ガニエール」や「ジョエル・ロブション」を個人顧客に持ち、以前は小売しかしなかったスノッブでシックな長期熟成肉屋「イヴ=マリー・ル=ブルドネック」**から仕入れた肉を使用している。

滴り落ちる肉汁を吸ったバンズまで旨い

そんなパリで、クレイジーな試みをするお店が現れた。
その店が使う肉、なんと、尾崎牛。
日本でも希少でなかなか手に入らない、宮崎県の尾崎宗春さんが育てた、高級な和牛を、あろうことかバーガーにしてしまったのだ。
なんと勿体無いことを、などとは仰らず、まずはぜひお味見を。たかがバーガーとあなどれない。備長炭の炭火でミディアムレアに焼かれた尾崎牛のパティは、肉質がよく、風味豊かで、ジューシー。かぶりついたそばから滴り落ちる肉汁を逃さぬようバンズで必死に受け止めつつ、夢中でほおばる。至福の時に、しばし酔いしれる。そして心から思う。なんという素晴らしい試みをしてくれたことか。
こんな試みをするなんて、きっとシェフは美味しいものがよっぽど大好きな人に違いない。

食を通してパリの「今」を表現

そう、やはりそうなのだ。このバーガーを考案してくれたのは、手島竜司シェフ。凱旋門からほど近い、パリ16区のガストロノミックレストラン「PAGES」(パージュ)のシェフである。
手島シェフは、数々の星付きレストランで料理の修業をしただけでなく、「ユーゴ・デノワイエ」や「テロワール・ダブニール」といった素晴らしい食材の手に入る仕入先でも修業し、フランスで手に入る最高の素材を研究し尽くしている料理人。ワインやカクテルやウイスキーにも非常に造詣が深い、探究心の強い料理人である。美味しいものに賭ける情熱は人一倍だ。
彼がPAGESの隣にオープンしたレストラン・ワインバー「116」(ソンセーズ)は、『パリの今を表現する』ことをテーマにしており、ナチュラルワインと和牛バーガーと、炭火焼グリル、その他のタパスが気軽に楽しめるお店となっている。

気軽なお店を、と予約を取らずに始めたにもかかわらず、行列のできる人気店となってしまった今は、予約制となっている。お食事の際は、事前のご予約をどうぞお忘れなく。

*ユーゴ・デノワイエのお肉使用のバーガーが食べられるのは…「B&M」、「Mamie Burger」
**イヴ=マリー・ル=ブルドネックのお肉使用のバーガーが食べられるのは…「Blend」、「The Beef Club」

日本語可 英語可

写真・Hiromasa SASAKI(メインカットのみ)

116(ソンセーズ)

住所
2, rue Auguste Vacquerie Paris 75116
電話番号
33-1-47-20-10-45
営業時間
12:30~14:30、18:00~24:00
定休日
定休日 土、日
公式サイト
https://www.facebook.com/116pages

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。