注目の若手女性シェフによる、一軒家フレンチレストラン『Restaurant Umi』【恵比寿】

2018年09月20日
カテゴリ
レストラン・ショップ
  • レストラン
  • 恵比寿
  • フレンチ
注目の若手女性シェフによる、一軒家フレンチレストラン『Restaurant Umi』【恵比寿】
Summary
1.パリの『Restaurant Sola』でスーシェフを任され、2017年のRED U-35で「岸朝子賞」を受賞した藤木千夏シェフの店
2.日本の四季の食材を主役にした、日本を感じるフレンチコース
3.白粥とコンソメスープから、旬が散りばめられた色とりどりの皿へ。心と体にしみこむ味とおもてなし

ゆらぐ水面を思わせる「Umi」の文字。若き女性シェフが織り成す日本のフレンチ

パリの『Restaurant Sola(レストラン・ソラ)』でスーシェフを担い、2017年の「RED U-35」(若き才能を発掘する、日本最大級の料理人コンペティション)で「岸朝子賞」を受賞。帰国後、アジア探訪を経て、次の舞台が期待されていた藤木千夏シェフが、2018年6月、自身のレストランをいよいよ出店した。

JR恵比寿駅・東京メトロ日比谷線恵比寿駅の恵比寿ガーデンプレイス口から歩いて3~4分、閑静な住宅街に『Restaurant Umi(レストラン・ウミ)』はある。地図を確認していないと、通り過ぎてしまいそうな穏やかな佇まいの扉。

▲扉の上にそっと「Umi」の文字。波打つようなロゴは、藤木シェフ自らデザインした。

店名の「Umi」は、スーシェフを務めた『Restaurant Sola』への敬意と、生まれ育った町に広がる有明海を思い描いて名付けられた。

まるで友人宅を訪れるように扉を開くと、こぢんまりとした空間が現れる。
入って左側に8席、右はガラス戸を引けば個室にもなる4席。壁やシートは白とグリーンでまとめられ、すっきりと落ち着く。天井は細いパイプが交差し、光の反射がおもしろい。スペイン人のデザイナーが、友人であるシェフをイメージして造った空間だ。

ガラス張りの奥にキッチンがあり、小気味よく動く藤木シェフが見える。

シェフの故郷は、福岡県の有明海から徒歩数分。魚介や米、野菜の物々交換が家同士の自然なコミュニケーションだった小さな町。そこから都心へ、海外へ。数々の経験を経て、どんなレストランを目指しているのか。

「パリから帰国し、5月にアジア各国をひとり旅して、さまざまな飲食店、食材を見てきました。台湾、シンガポール、香港など、どこもすべて違って刺激的。なかでも女性料理人に注目してまわったのですが、共通していえることは、“国を感じる”ということ。私も日本を感じるレストランにしたいと思いました」と藤木シェフ。

外国人にはこの店でなければ味わえない料理・空気感を、日本人にはあたたかさとホッとする場を。
『Restaurant Umi』では、初めに白粥とコンソメスープが供される。お米はシェフの祖父母が作っているもの。胃を温めて、消化を促し、身体に料理を楽しむ準備をしてもらう、フレンチレストランであるが、“日本のおもてなし”がここにはある。

日本の旬を一皿に。味わいで季節を感じるコース

『Restaurant Umi』のディナーコースは2つ。いずれも、先の粥と一汁(コンソメスープ)からはじまり、季節の食材を使った料理で構成される。そのなかから美しい3皿をピックアップ。

ある日のアペリティフのひと皿「アジ、なすのマリネ」(写真上)。焼きナスのマリネの上に、軽く燻されたアジのマリネが重なり、マイルドな酸味が特徴の柑橘・ヘベズと一番だしで作るジュレがかかる。黒いのは、ナスを炭化させたソース。燻製の香りをほんのり感じつつ、ナスのやさしい味の中で魚の脂がとろけ、柑橘はさりげなく、ソースの独特の苦みが味を引き締める。おいしさを確かめたくて、すぐにもうひと口と進んでしまう。

次なるはグリーンのひと皿「島根県の白いか、オクラとズッキーニ」(写真上)。魚介はシェフの地元・有明海や五島列島、築地を並行して仕入れ、季節の食材を合わせながらソースにつなげていく。ほどよい火入れのイカは、歯がすっと入っていくやわらかさで、甘みと弾力が後からやってくる。

薄いグリーンは、イカのえんぺら(三角形のひれや、胴の縁にあるひれのこと)とゲソでとっただしにズッキーニのエキスを合わせ、エスプーマで口どけのよいソース。濃いグリーンは、バジルのピストソース。スライスされたズッキーニはみずみずしく、オクラはコリっとして、食感のコントラストも楽しい。

デザートも季節のフルーツをメインとした「自家製ヨーグルトアイスと山梨サンタローザ」(写真上)。山梨県産のサンタローザは、プラム(すもも)でさわやかさを放ちつつ、すっと消えていく自然な酸味が心地よい。赤いソースもサンタローザで作ったものだ。自家製ヨーグルトアイスは口溶けよく、胃が休まるのを感じる。

日本の豊かな四季の食材を主役にした、“日本”を感じるフレンチコース

席には、小箱に入った箸が添えられ、肩肘はらず自由に食すことができる工夫も。さりげなく「Umi」の字が刻まれた箸は持ち帰りもでき、ゲストに喜ばれているという。

「私自身まだ知らない日本の食材はたくさん。実際に産地を訪ねて知った季節の食材を使った料理で、四季を伝えていきたい」と藤木シェフ。シェフの歩みはどこへ進んでいくのか。今後も注目していきたい一店だ。


撮影:千々岩友美


【メニュー】
紹介の料理3点は、いずれもディナーコース(8,500円または12,000円)から
※価格はすべて税別、別途サービスチャージ10%

Restaurant Umi (レストラン ウミ)

住所
〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿4-19-7
電話番号
050-3460-9248
営業時間
月・水~日・祝日 ディナー:18:00~21:00(不定休日がある場合がございます。)
定休日
毎週火曜日 ※(不定休日あり)
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/g0j1t4pm0000/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

関連記事

美しき盛りつけと爽やかな香り!オーストラリアで大人気のモダン・タイ・レストランが日本に初出店
美しき盛りつけと爽やかな香り!オーストラリアで大人気のモダン・タイ・レストランが日本に初出店

1.オーストラリアで長年人気のモダン・タイ料理レストランが2017年8月、恵比寿にオープン 2.直輸入のフレッシュハーブや旬素材を多用して、現地の味をそのままに提供 3.さまざまな料理を並べてシェア。自分に合ったバランスで食べていくのが『Longrain』スタイル

須永久美
ライター
まさに「魚好き」のためのイタリアン!魚に魅せられたシェフが手掛ける注目店『S(エッセ)』【恵比寿】
まさに「魚好き」のためのイタリアン!魚に魅せられたシェフが手掛ける注目店『S(エッセ)』【恵比寿】

1.東京・恵比寿に魚好きのための隠れ家イタリアン『S(エッセ)』がオープン 2.魚料理がおいしいと評判の千駄ヶ谷『マンジャペッシェ』出身シェフが腕を振るう 3.常時10種類以上の旬の魚介を楽しめるフルコースが魅力的

松本玲子
ライター/音楽家/ナレーター
これぞ職人技! スープたっぷり熱々小籠包が絶品の『なかの中華!Sai』【腕利き料理人が通ううまい店】

【腕利き料理人が通ううまい店】世の食いしん坊たちを魅了する腕利き料理人こそ、選ばれし生粋の食いしん坊。好奇心を刺激しに、疲れた身体を癒しに通う店には、間違いない味と心意気がある。料理人から料理人へ、バトンを受け継いでとっておきの一軒を追う。

須永久美
ライター