フレンチの名店『HOMMAGE』荒井昇シェフの新店は正統派ビストロ!『noura』が瞬く間に人気店に

2018年12月07日
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フレンチの名店『HOMMAGE』荒井昇シェフの新店は正統派ビストロ!『noura』が瞬く間に人気店に
Summary
1.『HOMMAGE』荒井シェフが名付けた新店の名は『noura』。その意味は?
2.原点回帰のビストロ料理に人気殺到
3.ふたつの店は家族のような存在だった

nouraの名前の意味はまさかの!

2018年8月にオープンしたビストロが、あっという間に人気店となっている。店の名前は『noura』、文字で書くとさほど気にならないが、発音するとノウラ……、語尾はあげるのかさげるのか、何か意味があるのか? どうも引っかかる。

東京メトロ銀座線の浅草駅から浅草寺を抜けて老舗料亭が並ぶ通りを進み、住宅地に入るあたりに店があるのだが、あれ?ここは『ミシュランガイド東京 2019』でも継続で二つ星に輝いた超人気フランス料理店『HOMMAGE(オマージュ)』だ。まさか『noura』の意味は“『HOMMAGE』の裏”、ということなのか?

そのまさかだった。『noura』は『HOMMAGE』の荒井昇シェフ(写真上・右)の新店だったのである。

2000年フランスから帰国後オープンした『HOMMAGE』が17年経ち、厨房が手狭になったので仕込みができる場所を探していた。すると偶然にも隣が空き、こんな良い条件はない!と、もうひとつ店を作ることにした。『HOMMAGE』が創作フランス料理なので次はオープン時に出していたオーセンティック(正統派)な料理を食べてもらいたいと、浅草の街に溶け込むようなビストロ料理を提供する。シェフを誰にお願いしようかと考えたところ、真っ先に頭に浮かんだのが20年前にフランスで一緒に修業した松本義夫さん(同・左)だった。学芸大学駅から徒歩3分のところで店を構えていた松本さんを口説き落とし、『noura』のシェフとして迎えた。

シンプルで清潔感のある内装は荒井シェフがすべて考えた。「コート掛けはAmazonで買いました(笑)」と荒井シェフ。普遍的、時代に捉われないというコンセプト通りに白を基調にした食器やリネンは、松本シェフの料理をさらに魅力的に映し出す。

『HOMMAGE』が確立したからできた原点回帰の王道ビストロ料理

ディナーメニューは2つのコースとコースから抜粋したアラカルトがあり、前菜、メイン、デザートそれぞれ3~4種類ほど用意がある。(写真はすべてアラカルトの量)
松本シェフの得意とするのはクラシカルなフランス料理。中でもスモークサーモンは自身も好きな食材だ。

「レンズ豆のサラダを詰めた自家製スモークサーモン」はレンズ豆、青リンゴ、ニンジン、エシャロットをヴィネグレットソースで和えたサラダ仕立てを自家製のスモークサーモンで包み、ハーブを入れたクリームをのせた。
レンズ豆はフランスのサン=フルール産「ランティーユ ブロンド サンフルール」を使うなど、シンプルな料理だけに食材選びにはとことんこだわる。

「オニオングラタンスープ」(写真上)もクラシカルなレシピを忠実に再現している。
熱々のスープの中には、とろっとろのチーズとバゲット。フーフー言いながらいただけば心も体もポカポカ。自然と笑みがこぼれる。

じっくりと2時間かけて飴色に炒めたタマネギをたっぷり使い、チーズはグリュイエールと確かにクラシカルには間違いないのだが、松本シェフの創り出す味わいには“ゆるさ”がある。タマネギのコクも甘みも十分にあるのだがクドさはない。濃厚さを感じる一歩手前。だからスルスルっといただける。

絶対に定番メニューにする!と言う荒井シェフの熱い要望で「ステックフリット」(写真上)も王道スタイル。フリットもベルギー『ルトサ』のポテトを使い、拍子切りで辺の部分はカリッと中はホクホクに揚げる正統派を貫いている。

味付けにはあらゆる塩を試してこれだ!と決めた「精製塩」をほんの少し。飾り気のない味わいこそがこの料理にとって最もふさわしい。

150~200gのオーストラリア産ブラックアンガス牛は強火でサッと焼くだけ。これがいちばんおいしいのだと言う。たったそれだけで、このやわらかさと肉のうまみを逃さないよう表面に薄くカリッとした膜を作ることができる松本シェフのテクニックが見事だ。

テーブルに置かれるのはフランス『ペルシュロン』のディジョンマスタード。辛さも塩気も控えめでまろやかな酸味をもち、空気を含んだかのようにクリーミーでなめらかな舌触りはこの肉の最強のパートナーである。

こちらを訪れたならぜひ「魯肉飯(ルーローファン)」(写真上)を。

荒井シェフが台湾で食べて気に入り、『HOMMAGE』の賄いメシにしていた。はじめは台湾の醤油や八角を使い現地の味を再現していたが、試行錯誤して『noura』のシメの逸品になった。豚の肩肉と豚足を合わせることでゼラチン質豊か。卵の白身はしっかり、黄身は半熟と完璧! 小さい丼なのでお腹がいっぱいでもオーダーするべきだ。

地元愛と家族愛に支えられる『noura』

『noura』と『HOMAAGE』、かたやクラシカルで、かたやモダン。料理の見た目は正反対だが、味の本質は同じなのだ。それができたのは松本シェフが20年前に荒井シェフと苦楽を共にした家族のような存在だったからなのだろう。

ふたつの店が隣同士であることのメリットは非常に大きい。どちらかの店が忙しい時はスタッフがすぐ助っ人として対応できるし、『noura』に荒井シェフの馴染み客が来店している時は顔を出すこともできる。

人情味ある浅草の地で、家族のような温かい雰囲気と料理に店内はいつも笑顔であふれている。

撮影:八木竜馬

【メニュー】
ランチコース 2,000円
ディナーコース 2,800円、3,800円
<アラカルト>
オニオングラタンスープ 1,000円
ルーローファン 500円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です。

noura(ノウラ)

住所
〒111-0032 東京都台東区浅草4-10-6
電話番号
03-6458-1255
(※予約は当日、翌日分の席のみ受け付け)
営業時間
11:30~15:00(L.O.14:00)、18:00~23:00(L.O.21:00、日・祝日はL.O.20:00)
定休日
月曜、火曜不定休

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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