ふわっふわなオムレツは必食! モン・サン・ミッシェルの麓で世界の人を虜にする『ラ・メール・プラール』

2019年01月12日
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ふわっふわなオムレツは必食! モン・サン・ミッシェルの麓で世界の人を虜にする『ラ・メール・プラール』
Summary
1.在日フランス商工会議所100周年記念イベント! 最終回の舞台は『ラ・メール・プラール』
2.フランスを代表する世界遺産「モン・サン・ミッシェル」の地で約130年続くノルマンディー料理店
3.究極のふわふわ食感に大興奮! 創業当初から変わらない名物オムレツの誕生秘話

フランス料理の代表格が勢揃い! 今月のフレンチレストラン「Diners Centenaire」開催

在日フランス商工会議所が誕生して100周年を迎えるメモリアルイヤーを記念して、4月から開催しているイベント「100周年記念ディナー」。

イベント期間中、フランス料理の発展のために貢献してきたフランス人シェフたちが月に一度、またとない晩餐のためにスペシャルな献立を振る舞う。都内にいながらフランスのエスプリを感じられると、大盛況のディナーイベントもいよいよ最終回を迎えた第9回目は、2018年12月3日に『ラ・メール・プラール』で開催された。

世界一美しい孤島に渡る人々のお腹を満たす『ラ・メール・プラール』

パリ市内からバスに揺られることおよそ5時間。一度は行きたい観光地として人気の高い世界遺産「モン・サン・ミッシェル」(写真上)は、フランス北西部のブルターニュ半島、サン・マロ湾上に浮かぶ小島にそびえる。

城内を散策した観光客が向かうのは、グランド・リュと呼ばれる参道。土産物店や食堂が軒を連ねる石畳みの緩やかな坂道を登っていくと、ひと際賑わう真っ赤なファサードが見える。島随一のフレンチレストラン『ラ・メール・プラール』だ。

プラールおばさんの愛称で親しまれるマダム・アネット・プラールによって創業された同店は、時を経て2011年、東京丸の内・国際フォーラムに海外初出店を遂げた。開業から行列の絶えない、こちら丸の内店が装いを新たにリニューアルしたのは2018年6月のことである。

大きく変わったのは、入口部分。扉を開くとまず、本店のキッチンを彷彿させる大きな暖炉の絵がお客の目を引く。

続いて視界に飛び込むのは、パブロ・ピカソにココ・シャネル、マリリン・モンロー、各国の大統領など数々の著名人の写真やサインたち。本店さながらに装飾されたレセプションが、時空を超えて愛されてきた長い歴史を物語る。

リニューアルに伴い増設されたカフェスペースは、ゴシック様式の回廊に囲まれたモン・サン・ミッシェルの中庭を再現。たっぷりの植栽に包まれた空間を見上げれば、島の空の色を映す浅瀬の淡い色調の天井がお客を照らし、室内ながらも庭園で寛いでいるような錯覚を抱かせる。

ダイニングルームへ進むと、本店同様、銅製のフライパンがフロア中に吊るされている。「再現したのは、空間だけではありません。プラールおばさんが考案した700ものレシピから継承する名物料理や、創業当初から変わらないノルマンディー地方の伝統料理を堪能していただきたい」と、同店で支配人を務める松浦宏行さんは話す。

この日ゲスト・スピーカーを務めたのは、バカラ パシフィック株式会社の代表取締役社長兼フランス商工会議所の理事を務める義和 ヤン・ガイエさん。

「バカラ社のクリスタル製品が日本に普及した歴史は、1903年にまで遡ります。日本茶人であり古美術商だった晴海藤次郎氏が輸入したことからはじまりました。陶器や磁器が主流だった当時の日本料理界でクリスタル食器が使われるようになったのは、彼がバカラ社に注文した “晴海好み”と呼ばれる作品がきっかけと言われています」と、世界に冠たるクリスタルブランドと日本の深い関わりの紹介に、ゲストの注目を集めた。

時空を超えて継承し続ける伝統の味に和が潜む、今宵だけの特別料理

乾杯に注がれたのは、一番搾りのフレッシュな果汁のみを使用し、砂糖や添加物など一切加えずに作られたオリジナルのリンゴの微発泡酒「ラ・メール・プラール シードル・ブリュット」(写真上)。甘酸っぱい果実味とタンニンの渋みがツンと喉に沁み渡り、シュワっと口内で切なく弾ける。

いきなりデザート!? と目を疑うほど華やかなこの日のアミューズは、「~伝統的なサブレをお食事の前に~ サーモン、イズニーフロマージュブラン、赤い果実とミントオイル」(写真上)。

「創業から受け継がれるモン・サン・ミッシェル土産の定番スイーツ“ラ・メール・プラール・サブレ”(写真上)を、あえて前菜でアレンジしてみました。インパクトがあるでしょ」と話すのは、同店の料理長・安達正道さん。

ヨーグルトのようなさっぱりとした酸とクリーミーな口当たりのイズニー社製のフレッシュチーズに、発酵バターがダイレクトに香るサブレの甘み、サーモンの塩味が3層に重なったアミューズは、口に含めばなめらかな口どけとともにノルマンディーの恵みが一気に拡散する。

この日の前菜は、2種類の異なる調理法のチーズが盛り付けられた「ノルマンディー産フロマージュとサラダ」(写真上)。

ノルマンディー最古のチーズと言われる「ポン・レヴェック」は、クミンを効かせた焦がしバターにシェリービネガーのソースと絡めてひと口。表面を塩水で洗われたウォッシュタイプのチーズは、一般的なものより塩味がやさしく、控えめな香りと芳醇なソースの奥からスパイスの香りが複雑に主張する。

サラダにトッピングされているのは、「カマンベール・ド・ノルマンディー」の天ぷら。衣を破れば、中からゆったりと流れだすモチッとしたチーズと歯ごたえのよい野菜の食感がハーモニーを奏でる。

「スープ・ド・ポワソン」(写真上)は、ひと口啜ればその滋味深さに驚かされる。「水を一切使わず、ペルノーと白ワインだけで煮込むことで、コク深い味わいに仕上げています」。鮮魚に加えてエビやカニなど、余すことなくうまみを閉じこめた安達さん自慢のスープの、その地味なルックスから想像しがたい破壊力たるや…!

スープの余韻に浸っているところに、広島県『相原酒造』の日本酒「雨後の月」で風味づけられた「日本酒とライムのグラニテ」(写真上)が供された。

甘酒のようにもったりとした米の甘美と、氷に忍ばせたアロエとライムの清涼感に包まれて、魚介の残香が静かに消えるのを待っていると……。

なんと! お猪口に注がれたのは、広島県『金光酒造』の純米吟醸酒「賀茂金秀」(写真上)。

「どうして広島県産のお酒?」と不思議がるゲストに、安達さんはこう話す。「広島県・宮島の厳島神社とモン・サン・ミッシェルは、どちらも世界遺産であり、海に浮かんでいて潮の満ち引きに影響を受ける珍しい建造物であることから、観光友好都市として提携を結んでいるんですよ」。

ノルマンディーと日本の強固な絆が舌の上で結ばれていく様を意識しながら、丁寧に飲み干したくなる。

シードルに始まりワイン、日本酒と国境を超えたマリアージュにほろ酔う頃、シルバーのワゴンに乗ってメインディッシュの肉(写真上)が豪快に運ばれてくる。

この日は、牛肉・鴨胸肉(写真上)・仔羊肉の中から1つを選択。迷うところだが、ここはノルマンディー料理店。タイミングよく仕入れがある時は、ノルマンディー地方でしか食べられないモン・サン・ミッシェル周辺で海藻を食べて育った「プレサレ(=仔羊)」を逃す手はない!

肉汁に富んだシルキーなラムに寄り添うのは、日本料理をオマージュしたフレンチスタイルの茶碗蒸しと天ぷら(写真下)である。

カリフラワーのピューレにフォワグラを加えて卵で固めた茶碗蒸しは、すくうたびに銀杏や徳島県産の阿波尾鶏がゴロンと顔を出す。異なる食材の甘みを整えるのは、表面にアレンジされた蕪蒸し。天ぷらの衣には、パルメザンチーズが練り込まれている。ゴボウと春菊の旬の香が、湯気の向こうからエレガントに膨らむ。

創業から不変の味を貫く“名物料理”誕生の物語

トッタタトッタ、トッタタトタタタ…。

心待ちにしていた看板メニュー「ふわふわオムレツ」の登場を予感させる、軽快なリズム音が店内に響く。

音の主は、琥珀色に光る銅製の大きなボウル(写真上)。独特の泡立て方でキメ細やかに仕上げられた卵は、フライパンの上で優しく焼かれて片面を小麦色に染めて現れる。

およそ30cmもの特大オムレツにナイフを入れると、たちまち卵の泡が繊細に溢れだす。潰さぬよう、そうっと口に含む。奥ゆかしい卵の甘みから、微かな薫香が鼻腔を抜ける。

この日のために用意された特別なソース「ジロール茸、トランペット、セップ茸、シャンピニオン・ド・パリにトリュフを加えたクリームソース」が、シンプルな味わいを妖艶に彩る。

『ラ・メール・プラール』の代名詞ともいえる「ふわふわオムレツ」には、見た目のインパクトのほかに、興味深い歴史もある。橋のなかったその昔、遠浅の干潟に囲まれる島へ渡れるのは、干潮時のみ。本土から直線距離にしても6km超ある砂の上を、限られた時間で歩き着くには危険が伴った。修道院を訪れる巡礼者たちは命がけで渡っていたのである。

「疲れ切った修行僧のお腹と心を満たすには、栄養価の高くボリュームたっぷりの卵料理が一番!」。そう考えたプラールおばさんによって生まれた唯一無二のオムレツは、今なおモン・サン・ミッシェルへ訪れるお客の胃袋においしい想い出を刻み続ける。

お腹ははちきれそうでも、デザートとなれば話は別。スペシャルディナーのトリを飾るのは「ショコラヴァローナのテリーヌ オレンジマーマレード」(写真上)。

カカオの濃厚な甘みから微かにあふれるキャラメリゼしたアーモンドのほろ苦さとベリーとマーマレードの甘酸っぱさが、イベントの最後を儚く告げる。

日仏友好のイベントを終えて感じた、次なる100年への期待

フランス各地方からやってきたフランス人シェフたちは「来日した頃はまだ、フランス料理を受け入れてもらえる時代じゃなかった」と口を揃える。日本人にとっての未知の味は、和の食材や文化と化学反応しながら、時間をかけて馴染み深いものとなった。在日フランス商工会議所100周年記念イベントを通じて参加者は、素晴らしい味とともに、そんな歴史を堪能したはずだ。

フランス人が営む割烹料理店、西洋人が握るすしと聞くとどう感じるだろう。無謀とも思えた日本人の活躍は現実となり、ミシュランの星に輝く者もいる。日本にフランス料理を根付かせた先人の功績の先に、日本人の感性が本場でどんな進化を描くのか――。次の100年にはそんな楽しみがある。

▼在日フランス商工会議所 100周年特別企画
https://diners-centenaire.jp/

ラ・メール・プラール

住所
東京都千代田区丸の内3-5-1 東京国際フォーラム1F
電話番号
050-3171-7167
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
営業時間
11:30~22:00
(L.O.21:00)
定休日
年中無休
ぐるなび
http://r.gnavi.co.jp/r456dczk0000/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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