キャビアを身近に味わう時代がやってきた!フランス貴族の家系オーナーが作ったパリ発「キャビアビストロ」

2019年03月15日
カテゴリ
レストラン・ショップ
  • レストラン
  • 赤坂
  • フレンチ
  • ビストロ
  • 初上陸
キャビアを身近に味わう時代がやってきた!フランス貴族の家系オーナーが作ったパリ発「キャビアビストロ」
Summary
1.フランス・パリで人気のキャビアメゾンが初の世界進出。第1号店が赤坂に誕生
2.1,280円から試せる!? 自社ブランド『ブタリ』のキャビアを身近に味わう!
3.キャビアだけじゃない! クラシックなセンス抜群のビストロ料理も魅力

“キャビア”を身近に味わう時代がやってきた!

キャビアと聞くと、フランス料理店で食べる高級食材のイメージが強いが、近年、割烹料理店や小洒落た中国料理店、新進気鋭の寿司店でも見かけることは珍しくない。

しかしながら、一般的には前菜や生魚の上に遠慮がちに乗っている程度であろう。「どんな味?」と聞かれて答えられるほどの量を食べるには、相応の値が張るから躊躇してしまうはず。

そんな「キャビアをより身近に」という想いのもと、フランス貴族の家柄に生まれたシャルル・ド・サン・ヴァンサン氏が『MAISON BOUTARY(メゾン ブタリ)』というキャビアメゾンを立ち上げたのは2012年。高品質のキャビアを探し求めていたオーナーが、ブルガリア共和国の南部・ロドピ山脈の麓の湖でキャビア作りを行っているキャビアファームと出逢い、『BOUTARY』のためのキャビア作りを委託。その後、フランス・パリ6区にキャビアレストラン『Restaurant BOUTARY(ブタリ)』をオープンし、パリで2店舗を展開する人気店に成長させた。

「オーナーのシャルル氏が生まれたフランスに代々続く貴族の家系は、食文化と密接な関わりを持ちながら繁栄してきたと言われています。フランス人にとって嗜好品である“キャビア”は、すぐに手の届く食材とは言い難いですが、フランス料理と切り離せないもの。その歴史や文化を継承するためにも、もっと身近に食べられる機会を作り、世界に広めたいというオーナーの想いから『ブタリ』は生まれました」。

そう説明する菊地慧さん(写真上・右)は、日本第1号店となる『フレンチビストロ&キャビアバー BOUTARY(ブタリ)』のマネージャー。柔らかい声のトーンが心地よく、高級食材にちょっと身構えていた気持ちをほどいてくれる。

高校卒業後、横浜にあるフレンチレストランから料理の世界に入り、神楽坂『ラ・トゥーエル』、銀座『ラ・トゥール』、銀座『エスキス』、銀座『アジル』、本場フランスなど名だたるレストランで研鑽を積んだ同店の料理長、郡司一磨さん(同・左)と息をぴったり合わせて、キャビアをより身近に肩肘張らずに体験できる空間を演出する。

勝負の舞台に選ばれた場所は、東京・赤坂。駅前にそびえる大手テレビ局の裏路地を進むと、パリ本店の象徴として再現された赤い外観が目を引く。

2階建ての店内には、オープンキッチンの眺望とアラカルト料理を酒肴に軽く呑めるバースタイルのカウンター(写真上)と、豪華なシャンデリアに照らされながらゆったりと寛げるテーブル席(写真下)が揃う。

シチュエーションに合うモノトーンの空間で、お客はキャビアとの出逢いに身をゆだねる。

他では体験できない“ブタリ流”キャビアの楽しみ方

同店でキャビアをいただくには、大きく3つの選択肢がある。一つは、スプーン一杯の量をリーズナブルに試せる「キャビア・テイスティング」(1,280円~)。次に、がっつり食べたい方や好みの品種を味わいたい方向けに、10gから50gまで選べるスタイル。

そして、初めて訪れる方にオススメしたいのが、パリ本店でも人気の食べ方「キャビロテック(30g)」(写真上)だ。箱を開けると、小ぶりの缶が3つ並んでいる。そこには品種の表記など何もない。いわゆるブラインド・テイスティングである。「A~Cの順番に召し上がってみてください」。菊地さんはお客に一言伝えて、説明が書かれてある黒い封筒(写真下)を渡す。

こんなにも風味が違うなんて……! 高級料理を食べ慣れたフーディーたちも、初めての経験に思わず唸る。だが、驚くのは品種の違いだけじゃない。

例えば、市場で主流の品種のひとつ「バエリ」(写真上)は、口に含むと舌の上でプチッと弾ける感覚はなく、ねっとりと舌に絡まって体温で自然にとけていく。その瞬間、ナッツペーストのようなクリーミーでフルーティーな風味が口中に広がり、発酵バターのように濃厚な卵のうまみの余韻を残す。

キャビアそのものの味を理解したところで、菊地さんはさらに続ける。「キャビアの収穫は年に2回、春と秋に行います。『ブタリ』では、チョウザメを自然の気候に委ねて育て、加熱処理を行わず、最低限の塩のみを加え、キャビア本来の味わいを楽しめるように仕上げています」。

パリ本店の味を再現した、至高のキャビア料理

「シェフのお任せディナーフルコース」の前菜の2品目に運ばれてくる真っ白な球体。器を開けると……

ポテトの上に薫香を纏ったキャビアが豪快に顔を出す。ここに、レモンで香り付けした濃厚クリームを注げば、温菜「スペシャリテ・ド・ブタリ」(写真上)が完成する。

「スペシャリテには“スターレット”という品種を合わせています」と郡司さん。合わせるキャビアは日によって変わり、取材時は世界最小のチョウザメからとれる品種「スターレット」を使用。よく見ると、前述した「バエリ」よりも色が濃く、小粒なのがうかがえる。

まずは、キャビアをひと口。ペーストかと錯覚させるほど口当たりのなめらかな「スターレット」は、人肌の温度に仕立てることで一層とろみを携えて、口内に爽やかなミネラル香を残す。ポテトと合わせて食べれば、ホクホクとした食感の奥でキャビアの塩味と北海道産キタアカリの甘みがエレガントに調和する。贅沢でありながら、ジャガバターのような味わいがどこか懐かしく、口へと運ぶたびに緊張がほぐれていく。

看板食材を使わずとも魅了する、豪華絢爛なビジネスランチ

純白の燻製クリームとホウレンソウのピューレ、レアに火入れされたサーモンが鮮やかな「サーモンのミキュイと、そのラヴィオリ」(写真上)は、平日のランチタイムを見目麗しく彩る。

“そのラヴィオリ”とは、サーモンのハラスや尾をリエットにして包んだもの。2色のソース、キャラメリゼにして甘みを纏ったピンクペッパーやナッツ、酸のきいたラヴィゴットなどが散りばめられた五味と絡めれば、ボリュームのある身も食べ飽きない。平日の昼食に1,800円という価格は決して安くはないが、週に一度くらいご褒美をあげたっていいじゃない!

おいしさを追求するあまり再構築した伝統の味

鶏肉と野菜を赤ワインで煮込んだフランスの田舎料理「コック・オー・ヴァン」(写真上)は、骨付きの鶏モモ肉で作るのが一般的。だが、郡司さんは骨から外してロール状に身を丸め、一度蒸して形を整えてから65度の低温で3時間ほどじっくりと煮込む。

丹念に火入れされた鶏肉は、歯を押し返す弾力からうまみが滲み、ソースと重なって滋味が溢れる。寄り添う2色のビーツはコンソメとバターで丁寧に煮込まれていて、脇役にも隙を見せない。

「低温で煮込むことで、うまみがソースに流れすぎず、ジューシーに仕上がるんですよ。まさに、良いとこ取りですね」。郡司さんは常にベストな調理法へと視点を注ぎ、伝統に敬意をもって一番おいしい状態へと再構築していく。

知っているようで、ほとんど知らなかったキャビアの世界。菊地さんの穏やかできめ細かな心配りが、高級食材のイメージを一新させて雑念なしに料理と向き合わせてくれる。そのホスピタリティはお客と『ブタリ』の距離だけでなく、キャビアとの距離をも縮めてしまう。誰よりも彼女の魅力に気づいていたのは、ほかならぬオーナー自身なのだろう。パリ発の店が日本の赤坂に誕生したのは、必然だったのだ。



【メニュー】
キャビア
・キャビア・テイスティング 1,280円~
・キャビアロテック30g スタンダード(バエリ、スターレット、オシェトラ) 8,990円、プレスティージュ(スターレット、オシェトラ、ベルーガ)12,900円
・バエリ 2,560円(10g)、7,680円(30g)、12,800円(50g)
ランチ
・前菜+メイン 1,800円
・前菜+メイン+デザート 2,600円
ディナー
・シェフお任せショートコース 5,800円
・シェフお任せフルコース 7,500円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです、また、価格はすべて税抜です

BOUTARY(ブタリ)

住所
〒107-0052 東京都港区赤坂5-1-29 富士屋ビル1F
電話番号
050-5487-8840
営業時間
月~土 ランチ:11:45~15:00(L.O.14:00) 月~土 ディナー:18:00~24:00((コースL.O. 21:00) (アラカルトL.O. 23:00)※土曜日はアラカルトL.O22:00)
定休日
毎週日曜日 祝日 ※クリスマス期間(12/21~12/24)は2部制営業(クリスマスコースのみ) 年末年始休業12/28~1/5(1/6ディナーより新年営業スタートいたします)
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/4drpjude0000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。