モデル、女優、デザイナー...女子のカリスマが集まるインスタで話題のケニックカレーとは?

【連載】幸食のすゝめ #017  食べることは大好きだが、美食家とは呼ばれたくない。僕らは街に食に幸せの居場所を探す。身体の一つひとつは、あの時のひと皿、忘れられない友と交わした、大切な一杯でできている。そんな幸食をお薦めしたい。

2016年05月09日
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モデル、女優、デザイナー...女子のカリスマが集まるインスタで話題のケニックカレーとは?
Summary
1.プロダクトレーベル「kanvas」ディレクターによる噂のカレー店
2.スパイスから手作りの無水キーマカレー!
3.千葉県産無農薬有機栽培パクチーメガ盛りトッピングも

幸食のすゝめ#017、カレーの匂いには幸いが住む、渋谷道玄坂。

「今度、ニューヨークいつから行くの?」、「来週ひとつオーディション受けるから、その結果次第かなぁ」。
カウンターの中と外で、SKTと呼ばれる店のスタッフと客の女のコが話している。話しの内容から、どうやら2人とも女優らしい。ほかにも、モデルらしい綺麗なコや、若い女性たちの姿が目立つ。ここケニックカレーは、常連のモデルや女優、デザイナーなど、女子たちのカリスマが投稿したインスタグラムなどのSNSを通じて、全国からファンが集まる昼間だけのカレー屋だ。

大学を卒業した後、ファッションデザイナーを目指した店主のケニック氏は、そのまま文化服装学院の二部に入学。ちょうどファストファッションが台頭し、ファッションの二極化が進む中、いつか服作りへの興味を失っていく。将来について迷走しながら電気量販店で派遣社員。途中、バックパックで台湾に一カ月野宿したこともあった。そんな中、3.11が起きる。ケニック氏の母方は陸前高田。子どもの頃に見てきた風景が、そっくりそのまま無くなっていた。

多くのクリエイターたちが支援を始める中、何もできない自分が悔しかった。その時、折れそうな心に勇気を与えてくれたのも陸前高田のあの風景だった。前に進むしかない、一念発起して、プロダクトレーベル「kanvas」をスタート。
最初に手がけたのは、当時なかなか欲しいものがなかったiPhoneケース。仲間のアーティストに発注しデザインしたiPhoneケースは話題を呼び、やがて大手のセレクトショップからも発注が入るようになった。

そんなある日「スケボーのデッキ、どうすか?」と知り合いからデザインの依頼。でも、やったことがないスケボーなんて、デザインできない。だったら、自分のコアって何だろう?

大塚の一軒家に住んでいた頃、学生の頃から作っていたカレーを出すといろんな人たちが集まってきた。
「店より旨いよ、コレ」、評判は口コミで広がり、いつか「知る人ぞ知るカレー」としてケータリングなどの誘いも入るようになった。試しにセレクトショップの展示会期間に2週間限定で出したカレー屋は毎日完売した。
「やっぱり、カレーだ。自分には食しかないだろ」。
こうして、長く携わってきた「食」を背景に、実際に営業しながら気付いたことをモノづくりにフィードバックしていくユニークなカレー屋、『Kenickcurry』がオープンした。『BAR FOXY』の昼間を間借りして、最初は土・日・月・火でスタート、この4月からは水曜以外毎日営業している。

一切の水を使わないヘルシーなのに美味しいカレー

店の売りは、スパイスから手作りし、国産豚挽肉と野菜のみで仕上げた「ケニックカレー(無水キーマカレー)」。学生の頃から試行錯誤を重ねて作り続けてきた自慢のカレーだ。炙りチーズか、クリームチーズ、絹ごし豆腐、半熟卵のどれか1品、トッピングが無料で付く。豆腐を頼むと、なんとパック1個分がオン。

食べると、カリカリしたトッピングやスパイスと一体になって止まらない美味しさ。ケニック氏らしいユーモアとセンスが横溢している。そのセンスは本業にもフィードバックし、食器の片付け時に思いついた「騙し絵」を意味する「Trompe L’oeil Mug」は、2つのマグを重ねたデザイン。このカップを使うだけで、生活に優しい句読点が生まれる。

文化が生まれる場所はパクチーとカレーの匂いがする

道玄坂ドンキの隣、東急本店向かいの雑居ビルの前に立つ看板には「no paxi,no life」の文字。千葉から取り寄せた有機無農薬パクチーがメガ盛りになり、炙りチーズと半熟卵まで付く「ケニックパクチーズスペシャル」は売切必至の人気メニューだ。

もう1つの人気者、魯肉飯は台湾での野宿時代、屋台で習った本場の味。カレーとのあいがけは思わず笑顔になってしまう。

将来はカレー屋を開くのではなく、飲食やギャラリーが併設された大きな空間を持ちたい。友人たちが出会い、新しい化学反応を生んでいく場所。食を究め器を作った魯山人とは逆のベクトルで、日夜カレーを作りながら軽やかに食の領域をサーフするケニック氏。文化の明日は、スパイスの香りと共にやって来るのかもしれない。カレーの匂いには、幸いが住んでいる。

※ケニック氏によるプロダクトレーベル「kanvas」はこちら→ http://www.kanvasproducts.net/

<メニュー>
ケニックカレー(無水キーマ)950円、台湾魯肉飯(ルーロー飯)950円(毎月第2週&4週のみ)
ケニックカレー&魯肉飯1,300円、ケニックチーズスペシャル1,100円、ケニックパクチーズスペシャル1,300円
バターチキンカレー1,100円(毎月第1週&3週のみ)
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込です。

※森一起さんのスペシャルな記事『幸食秘宝館・武蔵小山、グルメランキング上位には載らないホントウの名店3軒を巡る』はこちら

Kenickcurry (ケニックカレー)

住所
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2-25-7 5F(BAR FOXY)
営業時間
11:30~15:00(L.O.14:45)、土・日16:00(L.O.15:45)
定休日
定休日 水曜
公式サイト
http://kenickcurry.hatenablog.com/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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