私は食べ物を無駄にすることに、かなり抵抗がある。買ってきた食材を無駄なく使い切れたら嬉しいし、捨てざるをえなくなってしまった時はとても悲しい。なので、ブルックリンにできたレストラン「ソーシー」のコンセプトを聞いたときは、こういうレストランがもっと増えたらいいなと思った。
ケータリングから生まれた発想
ソーシーがオープンしたのは15年9月。オーナーシェフは、ポーランドで生まれ育ったプシェメック・アドルフだ。アドルフは自ら始めたケータリング会社「ソーシー・バイ・ネイチャー」のために広いキッチンが必要になり、場所を探していた。元々レストランだったスペースを抑えたとき、アドルフの頭をよぎったのは、大量にまとめ買いした食材をいつも使い切れずにいる問題だった。そこで、ケータリングビジネスであまった食材を有効活用すべく、ソーシーをオープンしたのである。アドルフは数週間かけて、「捨てるもの」「堆肥にできるもの」「リサイクルできるもの」の区別の仕方をスタッフに教え、今ではゴミとして捨てるのは1週間に1袋になったというから驚きだ。
レストランのメニューはそうした事情からコンスタントに変わるが、特に人気の高い料理は、コーヒーとカカオをまぶしたブリスケ、モロッコのスパイスをきかせてレモンとデーツを添えたチキン、プリッツェルロールにブラックビーンズでつくったパテをはさんだベジバーガーという。
私はベジバーガーを食べてみたが、今まで食べたことのあるベジバーガーの中でトップ3に入ると思えるくらい美味しかった。しかも結構どっしりとしたボリュームがあり、これ1つでおなかいっぱいになる。
壁に貼られたメニューでも、「無駄ゼロ」をアピールしている。
場所はブルックリンのクリントンヒルで、アドルフはソーシーから歩いて10分のところに住む。アドルフはこのエリアについて、「新しいことにトライする革新的スピリットがあり、異なる事業モデルをつくろうとしている自分のようなビジネスをサポートしてくれる」と話してくれた。
アドルフは牛、鶏、豚、野菜や果物、キノコを育てる農家に生まれ、家畜の屠殺方法に加え、食べ物を生み出してくれる大地に敬意を示すことの大切さを学びながら育ったという。アメリカに来て初めて流通にのった食べ物を口にし、あまり美味しいと思えず、家畜の屠殺方法にも疑問をもったというアドルフ。その後、オーガニックフードが広がり、エシカルな酪農家とも出会った。アドルフが「ファーム・トゥ・テーブル」をソーシーのモットーとする背景には、彼のそうした生い立ちが関係している。
Saucy by Nature
- 電話番号
- +1 718-789-1868
- 営業時間
- 月~金 17:00~22:00、土・日 10:00~15:00
- 公式サイト
- http://saucybynature.com
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
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