日本の食と芸能の文化がつまった大人の社交場「料亭」。一見お断りの老舗料亭も多いが、「一度は料亭文化を嗜んでみたい」そう思ったことがある人も多いのではないだろうか。そんな花柳界の門が年に一度だけ開かれる。それが芸者衆の踊りと、新橋花柳界の料亭による、文化を遊ぶ催し「東をどり」だ。
今回dressing編集部では、5月19日(木)からの本番公演に先立ち、銀座三越で開催されたプレイベントのオープニングセレモニーに潜入。その様子をレポートしつつ「東をどり」の魅力に迫る。(銀座三越でのプレイベントは、終了しております)
東京銀座・初夏の風物詩として長年親しまれる「東をどり」
東京銀座の初夏の風物詩として今年で92回目を迎える「東をどり」は、そもそも大正14年に完成した新橋演舞場のこけら落としとしてスタート。
それまで広く公開されることがなかった芸者衆の粋で艶やかな踊りが評判を呼ぶこととなり、以来「東をどり」は新橋花柳界による芸の発表の場として定着していった。
84回目からは踊りに加え、幕間にいただく弁当や桟敷席ならではのお膳に新橋の料亭も参加。新橋演舞場を5月の4日間限定で大料亭と見立て、踊り・食・美酒が競演する一大イベントとして人気を呼び、現在まで親しまれてきている。
芸者衆による舞台の見所は、「東をどり」ならではの華やかなフィナーレ!
本番公演に先立ち行われた銀座三越のプレイベントでは、そろいの衣裳を身に纏った芸者衆4人が踊り手として登場し、銀座三越1階ロビーの特設ステージで踊りを披露。(銀座三越でのプレイベントは、終了しております)
今年の演目は、花柳流家元・花柳壽輔(はなやぎじゅすけ)氏総合演出による「新橋ふぁんたじあ」で、「芸の新橋」と賞される技術の高さと華やぎを堪能できる構成となっている。
見所は毎年恒例のフィナーレ。暗転の闇に響くしょう盤の音から頃合いを見計って灯が入ると背景は一転、料亭の大座敷の場。芸者衆が一番芸者らしい格好、そろいの引き着で並び、口上から客席を巻き込んで手締め、そして三味線から始まる踊りは、俗曲「さわぎ」の節に乗せた「東をどり」フィナーレの唄。途中、芸者衆が客席へ手ぬぐいを撒くシーンでは舞台と客席の一体感を楽しめる。
きめ細やかな所作や表情で叙情性豊かに魅せる踊りは、華やかでありながら繊細で艶やか。たちまち引き込まれるその世界は、一見の価値ありだ。
ここでしか味わえない!新橋の名料亭が競演した美食に舌鼓
芸者衆の踊りとあわせて注目したいのが、新橋の料亭(新喜楽・金田中・東京吉兆・松山・米村・やま祢・ふぐ料亭wanofu)が「東をどり」に限り手を合わせ、プライドをかけて競う「松花堂」と「鮨折」という名のお弁当。
「六料亭の松花堂」とは、松花堂弁当の生みの親である湯木貞一翁の孫、東京吉兆・湯木義夫氏が春から初夏の素材を使い、献立を立て、その献立を元に、六つの料亭が自店に伝わる特色を活かし、松花堂弁当を作る。
各料亭の解釈が加わり、蓋を開ければ全く異なる景色を持った松花堂弁当は、開けるまでどこの料亭のお弁当かわからない、というのもお楽しみのひとつ。
六料亭に加えて、ふぐ料亭wanofuも共同で手がけた「鮨折」2,000円も、煮炊きした具を混ぜ入詰めとなっており、贅を尽くした一品となっている。
年に一度、日本最高峰の料亭が織り成す、誇りと意気で違いを競う食の競演も、舞台とともに心ゆくまで堪能したい。
【本公演紹介】
第九十二回 東をどり
【演目】
■新橋ふぁんたじあ(総合演出 花柳壽輔)
一、「梅の春」 清元連中
二、「傘尽くし」長唄連中
三、「組曲かさづくし」清元 長唄 連中
四、恋の辻占 清元連中
五、口上、フィナーレ
【公演日程】
2016年5月19日(木)~22日(日)
【時間】
◆5月19日(木)20日(金)二部公演
・昼の席 12:30開場 13:00~14:30
・夕の席 15:20開場 15:50~17:20
◆5月21日(土)22日(日)三部公演
・壱の席 11:00開場 11:30~13:00
・弐の席 13:10開場 13:40~15:10
・参の席 15:20開場 15:50~17:20
【劇場】
新橋演舞場
【チケット購入はこちらから】
http://shop.gnavi.co.jp/azumawodori/
【東をどり 公式ページ】
http://www.azuma-odori.jp/