名物「かずこの餃子」にありつけるか? 住所非公開・看板なしの『銀座ルーム』の餃子が超絶ウマい理由

餃子で巡る世界の旅in東京 #25

2017年10月05日
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名物「かずこの餃子」にありつけるか? 住所非公開・看板なしの『銀座ルーム』の餃子が超絶ウマい理由
Summary
1.銀座6丁目の会員制バー『銀座ルーム』は、「餃子」が絶品すぎの隠れ家だった!
2.餃子を作り始めたきっかけは、“お母様のリハビリ”! だからうまい
3.会員制にも理由が!“kazuquoママ”の前では等身大でいよう

どうも、料理芸人のクック井上。です!

突然ですが、銀座に「餃子が絶品」の会員制バーがあるのをご存じでしょうか? ピンと来たあなたは餃子ツウ。しかし、訪店した事のある方はほんの一握りかもしれません。なんと言っても、住所も電話番号も非公開のお店ですから。

僕が、このお店の存在を知った時は、「場所が銀座」ということ以外、情報がありませんでした。しかし! 先日、知り合いの伝手(つて)で、なんとかかんとかお店に辿り着いたのです! 

今回はそんな、辿り着きたくてもなかなか辿り着けない、銀座の会員制バーの餃子を紹介します。あなたもこれを読めば、お店に辿り着ける! かもしれない。

やってきたのは、2012年に銀座6丁目にオープンした『銀座ルーム』。先にも書いた通り、残念ながら場所は教えられません。お店の場所のヒントは、看板すら掲げられていないこの扉だけ……。

もちろん、建物の入口にも、店名は一切、記されていません。まさに、大人の街・銀座の隠れ家! 今日で2回目の僕は、お店の場所を知っている幸せを噛みしめながら、扉を開くとします。

「いらっしゃいませ~♪」と出迎えてくれたのは、ママのkazuquo(かずこ)さん。赤色のベストがよくお似合いです! 

kazuquoママは、今までに作業療法士・住宅メーカー勤務・PR会社の経営など、多種多様な仕事に就いてこられた、人生経験が豊富な方。初めて『銀座ルーム』に来た時に度肝を抜かれたのですが、kazuquoママの話術が絶品、プロ中のプロ!

そんなkazuquoママを業界が放っておくわけがなく、現在、ラジオのニュース情報番組にゲストコメンテーターとして出演したり、エッセイ本を執筆したりと、様々な舞台でご活躍中です。あっ、kazuquoママのお話はまた後でするとして、まずはお目当ての餃子、ご紹介したいと思います!

上質な豚肉を使用! 絶品「かずこの餃子」

kazuquoママ、「かずこの餃子」の焼きを1枚お願いします!

と、奥の厨房からチリチリいい音が聞こえてきました。来ましたよ、来ましたよ、なかなか食べられないと噂の「かずこの餃子」が!

よいしょー! まぁ、なんて美しい羽根つき餃子でしょう! 流石は銀座、夜の蝶にも餃子にも羽根は必須ですね!

さて、飲み物は何にしようか。餃子といえばビールか…、なんて考えていたら、kazuquoママがすでに白いボトルを持ってるぅ~(笑) いつも餃子の時はビールを飲む僕ですが、今日は会員制のバーに合わせて、豪華に泡と洒落こむとします♪

うん、ここは町中華のカウンターではなく、会員制バーのカウンター。泡がよく似合います。

それでは、噂の「かずこの餃子」いただきまーす!

な、なんだ、この高級感! フワァ~っと、ほんのりと、花椒(ホアジャオ)のいい香りがするぅ~!

餡の豚肉は、こだわりの国産豚肉のみを使用。肉の甘みやうまみが贅沢すぎるほど感じられます。そこにシャキっとした食感のキャベツと、ニラが入っています。味のバランスだけでなく、お店の雰囲気やお客さんのことも考えてか、ニンニクは使用していません。

うん、こんなにも豚肉の味が際立っているなら、確かにニンニク不要! 肉の味わいを、野菜の食感が引き立てる、高級感と上品さが漂う餃子です。

肉餃子って重たくなりがちですが、「かずこの餃子」は、うまみはあるけど変に脂っこくなくて、kazuquoママの軽快なトークと同様、口当たりが軽くてパクパク食べられますよ。本当に止まんない。なんだろうか、この高級感の向こう側にあるホッとする感じは。

あっ、ラー油多めがオススメ。実はこちら、「かずこの辣油」という自家製のもので、これがまた高級な香りがフワッ。焦がしネギを使って、辛さだけではなく甘みやうまみが感じられる、韓国と中国の唐辛子を混ぜてるんですって!

そう、ここは銀座の会員制バー、全てに抜かりがありません。

「餃子をおいしくするポイントは、よーく肉を練ること! 練りが足りないと、水分が多くて、びしゃびしゃとした餃子になるわよ。挽き肉の区切り目がなくなるほど、しっかりとね!」とkazuquoママからのアドバイス。ドラムスティックのような太い菜箸でしっかりと混ぜるんですって。

お肉にはネギ油などを加え、練り終わったら一晩、グッスリと冷蔵庫で寝かせています。しっかり熟成させてから、塩で揉んで脱水させたキャベツを入れて餡は完成とのこと。脱水させると、キャベツの食感が際立ちますね!

ところで、この「かずこの餃子」、おいくらだと思いますか? さぁ、How マッチ?

答えは、“さすが銀座!”というべきお値段でして……、10個で2,300円也!

「高い!コスパ低い!」

と思ったそこのあなた、kazuquoママからお言葉が御座います。

「銀座なんだから安くする必要ないでしょ? それに、私と楽しくお話する時間もついているのに、なんで激安にしなきゃいけないのよ~! そんなのリ~ム~(無理)」

とのことです。

「餃子、10個で2,300円」というのは餃子本体だけの値段と思うことなかれ! そう、大人の街・銀座で飲んで遊んでるということをお忘れなく。銀座の会員制バーで“コスパ”みたいな言葉を思い浮かべること自体、ナンセンス中のナンセンス! そういう感覚で銀座に来ちゃった方は、ちょっと歩いて、新橋へGOです。

あと、最初にも書いた通り、kazuquoママの話術は絶品。プロ中のプロであり、トークの魔術師。そして、そんじょそこらの占い師より、人を見抜く眼力がハンパない。美味しい餃子を食べながら、そんなkazuquoママのトークショーを楽しめると思ったら、本当に全然高くありません。

ちなみに5個で1,300円なので、10個食べたほうがお得。あっ、お得って表現も違うか。駄目だな、僕もまだまだ銀座の遊びにデビューしたばかり、庶民の部分が見え隠れ。でも、せっかく銀座で遊ぶ時くらいは、こういう感覚を捨てたいものです。

一番人気は焼き餃子、だけど常連さんは水餃子派が多い!

焼き餃子だけでなく、水餃子もあるということで、ぜひ水餃子もいただきましょう!

まぁ! こちらも焼き餃子に劣らず美しい餃子! 餡は焼き餃子と同じだそうですが、水餃子のほうがより餡が詰まっていて、焼き餃子よりも肉のジューシーさが感じられます。トッピングされているパクチーとの相性も抜群。そして、皮は焼き餃子とは異なるそうで、モッチモチ!

「水餃子の皮は、うどんの製麺所に作ってもらっているの。うどんと同じグルテンの量だからより弾力があるし、大判で分厚いの。それでいて餡をたっぷり詰めるから、意外と包むのにテクニックがいるのよ」とkazuquoママ。

元々は、水餃子からスタートしたという『銀座ルーム』の餃子。ある時、お客さんに「この水餃子、焼いてみたら?」と言われたのがきっかけで、試しに焼いたところ、レギュラーメニューになり、焼き餃子の人気にも火が付いたんだそう。

ちなみに、常連さんは水餃子派が多いんですって。僕はまだまだ常連の仲間入りはできていませんが、個人的には僅差で、水餃子に軍配を上げたいと思います。

まさに親孝行餃子! 餃子に隠された親子の関係

ところで、なぜ銀座のバーで餃子を作っているのでしょうか?

「母が病気にかかり介護することになって…。そうしたら母が夜に寝ている間に稼がなくちゃならないでしょ、じゃあ夜の商売しかない!って。実は昔、母は銀座のホステスだったの。70歳を過ぎてから、銀座に返り咲くってのもステキかなと思って♪」とkazuquoママ。

そこで銀座でバーを開くことを決意。そして、お母様の病気を治すためにも、お母様に何か達成感を味わってもらおうと考え、餃子を作るのをお手伝いしてもらうことを思いついたのだとか。

▲餃子を包む手作業がリハビリになるのではと思いついたとのこと

それで、某有名な小説のモデルにもなった中国出身の母親を持つご友人にお願いして、水餃子のレシピを教わって、それをkazuquoママのお母さんが包むようになった。

そしてオープンした『銀座ルーム』の看板メニューが餃子になったというわけ。この餃子には美味しい餡だけじゃなく、お母様への愛、そしてそれを支えてくれた友人からの愛が詰まっているんです。

こうした、お母様とkazuquoママの物語は、kazuquoママのエッセイ本『東京銀座六丁目 僕と母さんの餃子狂詩曲』(集英社クリエイティブ)に詳しく書かれています。ぜひ読んでみて下さい。な、なんと、「かずこの餃子」のレシピも掲載されていますよ!

「えっ、載せちゃっていいんですか?」と聞いたら、「大丈夫よ、同じ味になんてなるわけないんだから。銀座で食べてこその“かずこの餃子”よ!」とkazuquoママ。

最後に、なぜ会員制なのでしょうか?

「会員制とはいえ、偉い人を求めているわけではないんです。そうではなくて、お客様同士の出逢いが健全であるように“キープする”のが自分の役割だと思っているから、一見さんをお断りにしているの。だから『銀座ルーム』に来ることがあったら、あなたの等身大の姿を見せてください!」とkazuquoママ。

そう、ここでは自分を大きく見せたり偉く見せたりしたって無駄! 全部kazuquoママはお見通しで御座います。たまに「○○に所属している」「○○をやったことがある」「○○と知り合いだ」みたいなことを自慢する人っていますよね? そんなのはどうでもいいとのこと。そういう人は「ハウス!」って言葉で追い出されるらしいですよ(笑) 

要は“本音でお付き合いできる方、いらっしゃい!”ってことです。で、本音で腹を割って裸のお付き合いをしたら、ここでまた素敵なご縁ができるってわけです。しかし、ここで大人のルールがあります。

「ここで見聞きした話は棺桶までもっていくのがルール。SNSに載せたりしたら、取り締まりますからねっ!」とkazuquoママ。そりゃそうだ、本音で腹を割って裸のお付き合いをしているのに、そんな野暮なことしちゃいけません。銀座で遊ぶ資格なし。

▲「かずこの餃子」はお持ち帰りも可能

kazuquoママの前で取り繕ってもダメ。等身大の姿を見せなければ、すぐ見破られてしまいます。カウンターに座って一言二言しゃべっただけでわかりますよ、その間合いが。

今回、僕は「かずこの餃子」を紹介するつもりだったのですが、少し結論は違います。もちろん餃子は美味しい、こだわりもハンパないからその味を味わって欲しい。しかし、それだけじゃない。ここに辿り着いて、この『銀座ルーム』の空気・雰囲気・風情を味わって欲しいんです。銀座って、値段が高くて敷居が高いってイメージで、庶民は少しビビるじゃないですか? 確かに、他の街より値段が高いし敷居が高い。でも実は、銀座は人情の街です。『銀座ルーム』は成り立ちも含め、人情、そして人の繋がりで出来ています。そしてここでは毎夜毎夜、人情に溢れ、新たな人の繋がりが生まれています。

「かずこの餃子」をつまみに、カウンター越しのkazuquoママが出してくれるお酒と、その鋭くもあたたかいトークに酔いしれて下さい。餃子もトークも、クセになりますよ。

再度、ここで遊べる資格は…、「一見さんお断りなので紹介筋を辿って下さい!」「等身大の姿を見せてください!」「野暮じゃない人!」ってとこでしょうか? ぜひ、銀座や餃子に詳しい人を頼って、『銀座ルーム』に辿り着いて、銀座の空気と、絶品「かずこの餃子」を味わってみて下さいね!

【メニュー】
かずこの餃子5個 1,300円
かずこの餃子10個 2,300円
かずこの餃子(家庭用) 30個入り 2,500円
※価格は税抜

銀座ルーム

住所
非公開
営業時間
21時~
定休日

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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Yayoi Ozawa
フリーライター