これぞ大人の地下空間! 表参道に誕生した魅惑のフレンチ&ワインバー『L´Evol(レヴォル)』

2018年04月27日
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これぞ大人の地下空間! 表参道に誕生した魅惑のフレンチ&ワインバー『L´Evol(レヴォル)』
Summary
1.表参道に誕生した「地下空間」は、大人が通いたくなる場所
2.“天才的”火入れのスペシャリスト・高木和也シェフが創りあげる料理
3.たくさんの「想い」を大切に、料理と店を進化させ続ける

神宮前3丁目、地下にできた大人が通いたくなる空間

表参道に記憶に残る店が誕生した。『L´Evol(レヴォル)』、この響きが良く覚えやすい店名は「Evolution」が語源だ。偉大な先人たちに尊敬の念を抱き、自分たちにしかできない料理を創りあげた。絶えず進化し続けるために常に己を見つめ直し、ひとつでもより良くできることはないかと考えている。これはかなり期待できるに違いない!と扉を開けた。

この店はふたつの違った顔でゲストをもてなしてくれる。まずは地下一階。ワインバーとしてはもちろん食前や食後にも利用可能な、海外でよく見られる“大人の社交場”である。

オーセンティックでありながらモダン、随所に木の温もりを取り入れたワインバー。とても地下とは思えない空間だ。銀座、有楽町、西麻布など都内の有名店を渡り歩いた細野博明オーナーソムリエが、“どこでワインと料理をサーブしたいか”で決めた場所である。

バーだけの食事メニューもあり、特にチーズプロフェッショナル(C.P.A.)が選ぶ10種類ほどのチーズのラインナップが素晴らしい。4月から始まった「10名限定の週末ランチ」は、グラスシャンパンに「おすすめの前菜」「特製パテバーガー」「選べる3種類のフランス産チーズ」のワンプレートが付く。大人たちがゆっくりと過ごすことができると早くも人気だ。

そして、ワインバーからさらに地下へ降りるとまったくの別空間、40席からなるメインダイニングが広がる。

温かみのある料理の色が映えるようにと無機質でシンプルを基調にし、テーブルにはシワひとつない真っ白なクロスをかけた。壁のピンク色は細野さんがイメージする「フランスカラー」。マットな黒とピンクのコントラストがテーマだと語る。

ホールを担う4人すべてがソムリエというのもこの店の特徴だ。フランス料理のグランド・メゾンやイタリアンの出身、自然派を意味するナチュール、国産やレアものなど、ソムリエによってワインの得意分野が異なるので、品揃えがおもしろい。今は高木和也料理長の味を熟知し、その料理に使っている食材への想いや背景を一緒に話して合わせるワインを決めているそうだが、いつか各人が考えるペアリングも試してみたいという。きっとそれぞれの個性があふれる組み合わせになるはずで、想像しただけでワクワクするではないか。

正統派フランス料理を軸にした、進化し続ける新しい料理

細野オーナー(右)と高木シェフ(左)との出逢いは細野さんが独立するにあたり、知人からの紹介だった。高木シェフの経歴から技術力の高さ、料理に対する精神がほぼ同じだったので即決したと言う。

料理観で共通したのは“クラシックであること”。「フランス料理とは何か」「フォン(だし)やソースを重んじる」など話せば話すほど感覚が近かった。伝統的なソースなのになぜか軽く、翌日もつらくない、彼が創るのは古典的なフランス料理を軸としながら今の時代を生きるフランス料理なのである。

ホテル、ビストロ、グランメゾンと、数々の名店で修業してきた高木シェフは、特に「食材の火の入れ方」が素晴らしい。この「ヒラスズキのパイ包み焼き ソース・ショロン」(写真上)は今年亡くなった偉大なるシェフ、ポール・ボキューズ氏のスペシャリテ「ルー・アン・クルート ソース・ショロン」へのオマージュだ。
中心にホタテを入れたヒラスズキのムースをパイ生地で包むこの料理、パイはサックサクなのにホタテはレア気味にしっとり。

「今だよ! と食材が教えてくれるんです」と高木シェフ。「逆シャンブレと呼んでいます。普通はパイ生地を常温に戻してから使いますが、そうすると中の温度が先に上がってしまいます。だからあえて中を冷たくしておくことで長い時間オーブンに入れられる。するとパイ生地はサクサクに、中は余熱でしっとり焼きあがります。温度は経験値で中心を何度くらいにすれば何分で焼ききれるかわかっているので逆算しています」と。以前から高木シェフのパイ包み焼きは“天才的”と定評があるが、確かに納得のおいしさである。

メインの前に提供される口直しはオリジナル料理の「ミモレット」(写真上)。口直しといえば誰しも「グラニテ(シャーベット状の氷菓)」と答えるであろう。しかも提供されるのは通常、デザートの前に位置づけされているチーズである。あまりの斬新さに、考案者でありチーズプロフェッショナル(CPA)の資格を持つ細野さんに訊いてみた。

「チーズは17世紀バターやクリームをたっぷり使ったデザートの前に胃もたれしないようにと食べていたのが現在に伝わっているだけで、私はそこに疑問を抱いていました。それにチーズは肉の余分な脂を吸収しにくくするとも言われているので、料理のひとつとして味の変化を付ける意味で味覚を一旦リセットし、メイン料理を存分に味わってもらいたくて作りました」と話す。

まず、フレッシュチーズの「フロマージュブラン」を敷く。次にフランスはフランドル地方の「18ヶ月熟成のミモレット」をジロール(チーズを削る道具)で薄削りにしてカーネーションの花のように巻いて上にのせる。そして最後に「百花蜜」をかける。キラキラと光る蜜の演出にうっとりする。
削りたてのミモレットはふんわりと軽く口の中でしっとりと溶け香りとうまみを残し、「百花蜜」のしっかりした甘さとコク、フロマージュブランの爽やかでフレッシュな酸がそれぞれ際立ちながら融合し極上のひと皿へと昇華させるのだ。

再訪したくなるのには理由がある! 大切なのは「想い」

「熊本県産あか牛阿蘇王のロースト ソース・ヴァン・ルージュ」(写真上)。メイン料理はコースの中で頂点にあたるためボリュームも味もどっしりと重い。しかし高木シェフの皿はソースまですべて食べ切っても疲れないどころか、もうひと皿いただけるくらいなのである。

フランス料理のソースの中でも王道である赤ワインソースだが、高木シェフのそれは密度がギュと詰まっているのにシルクのようになめらか。五味のバランスが均等でいくらでもいただける。「“つなぎ”ですね。バターは限界まで減らすけれど代わりにフォンのゼラチン質で補っています」と高木シェフ。コクはあるのに軽い、これを味わえるだけで訪れる価値があると思わせてくれる。

デザートはランチとディナーを合わせて5種類を用意。すべてクラシックなアントルメをベースに再構築している。「タルトフレーズ」(写真上)は名前からタルトの上にイチゴがのっている、いわゆるケーキを予想していたが完全に裏切られた。しかしこれが“良い”のである。むしろイチゴもタルトも生クリームも、食材そのもののおいしさが、より一層味わえる。


高木シェフと細野オーナーがタッグを組んだことで、フランス料理の可能性がどんどん広がっていくように感じた。ふたりの出逢いは必然だったに違いない。

『レヴォル』に就任する前、高木シェフは何の前触れもなく突然閉店という、もう二度と起こってほしくないと思う悲しい出来事を経験した。理由も告げられずに閉店の事実だけを一方的に突きつけられ、お客さまや仕入先にはひたすら謝ることしかできなかった。そんな日々が1カ月以上続き「もう料理人としては生きていけないかもしれない」と思っていたところに細野さんを紹介された。細野さんは自分の目で見て感じたものだけを信じ、高木シェフと手を取ることを決めた。

ふたりが大切にしていることのひとつに「想い」がある。店のスタッフはもちろんだが、生産者や食材、すべての「想い」が料理やワイン、空間という形でゲストに伝えられる。不思議なことにその熱量は如実にわかるもので、口にするごとにどんな人がどんな畑でどんな人が栽培したものなのかが見えるような気がするのである。この店には確かな技術に裏付けされたおいしさと、たくさんの良いエネルギーが満ちあふれているように感じた。

撮影:千々岩友美


【メニュー】
ランチコース 4,500円、7,500円
ディナーコース 10,000円
※価格はすべて税別・サービス料10%

ワインバーの週末ランチ(10名限定) 3,000円
※価格は税込(サービス料、チャージなし)

レヴォル

住所
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前3-6-7 DEAR神宮前B1
電話番号
03-6875-0357
営業時間
火~土 ランチ:11:30~15:00(L.O.13:30) 日 ランチ:11:30~15:00(L.O.13:30) 火~土 ディナー:18:00~23:00(L.O.21:00) 火~土 バー:17:30~23:00(1Fフロアのワインバー)
定休日
毎週月曜日 ※※月曜日が祝日の場合は日曜日ディナー営業あり
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/n3mgt1ac0000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
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