日本酒の味わいをどう表現する!? 日本酒の「味」が分かる「日本酒4タイプ分類」【日本酒の基礎知識】

日本酒の基礎知識
♯6:日本酒の味が分かる「日本酒 4タイプ分類」

2019年01月18日
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日本酒の味わいをどう表現する!? 日本酒の「味」が分かる「日本酒4タイプ分類」【日本酒の基礎知識】
Summary
1.「辛口の日本酒をください」が、お店の人が一番困る注文方法!?
2.日本酒の味わいや香りを表現するのに便利な「日本酒の4タイプ分類」を紹介
3.「唎酒師」などの資格認定を行っているNPO法人を取材!

連載:【日本酒の基礎知識】日本酒の4タイプ分類

近年、再び脚光を浴びている日本酒。気軽に日本酒が飲めるバーや、日本酒を楽しむ野外イベントなども増えてきた。とはいえ、「日本酒は敷居が高そう」「飲んでみたいけど難しそうでよくわからない」と思っている人も多いのではないだろうか。

そこで本連載では、日本酒を詳しく知らない初心者の方に向けて、知っておきたい基礎知識から、日本酒を気軽に楽しめる飲食店やイベント、さらには注目の銘柄などを紹介していく。

今回は、日本酒の「4タイプ分類」について解説する。記事の後半では、「唎酒師(ききさけし)※」などの資格認定を行っている「日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)」も紹介しよう。

※唎酒師とは…日本酒のソムリエのこと。1991年にSSIによって制定された日本酒の販売・提供資格。

日本酒に「辛口」はない!? 味わいや香りを表現するのに便利な4タイプ分類

飲食店や小売店で「辛口の日本酒をください」と言ったことはないだろうか。実はこれ、お店の人が一番困る表現であるらしい。というのも、辛口や甘口は曖昧な表現であり、人によって感じ方は異なるからだ。

ラベルに「辛口」と書いてある銘柄もあるが、これは日本酒度の数値が高く「糖分が少ない」という意味の表記であり、これが味わいそのものを示すものではない。むしろ、お米で作られた日本酒は、そもそも甘いお酒なのである。

また、たとえ同じ「純米酒」であっても、使用するお米の品種や精米歩合、使用する酵母、製造方法などが異なれば、香りや味わいは異なる。中には、同じ銘柄であっても使用するお米の品種が違うこともある。

では、どうやって好みの日本酒を注文すればいいのだろうか?

そこで重宝するのが、日本酒の「4タイプ分類」(下図)である。日本酒は舌で感じる味わいだけでなく、香りも重要な要素。「味わい」を横軸に、「香り」を縦軸にとったマトリックス図を日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)が作成。その図をもとに、日本酒を「薫酒(くんしゅ)」「爽酒(そうしゅ)」「醇酒(じゅんしゅ)」「熟酒(じゅくしゅ)」の4タイプに分けている。

(C)Copyright Sake Service Institute. All rights reserved/日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)の提唱する「日本酒の香味特性別4タイプ分類」をもとに編集部にて作成


▼薫酒(くんしゅ)
香り高い日本酒のこと。果実や花のようなフルーティで甘い香りが特徴で、味わいは比較的軽快。色調は透明感あるものが多く見られる。主に、大吟醸酒系・吟醸酒系が当てはまる。薫酒が、海外での日本酒ブームを牽引している。

▼爽酒(そうしゅ)
清涼感あるすっきりした味わいで、香りは控えめの日本酒のこと。「淡麗」などと表現されることが多い。主に、普通酒系・本醸造酒系・生酒系が当てはまる。

▼醇酒(じゅんしゅ)
米のうまみやコクを感じさせるタイプの日本酒で、「ふくよか」という表現がぴったりとくる。主に、純米系・生酛(きもと)系・山廃(やまはい)系が当てはまる。“地酒”と呼ばれる日本酒の多くが醇酒のような味わいで、最も日本酒らしいタイプと言えるだろう。

▼熟酒(じゅくしゅ)
ドライフルーツやスパイスに例えられる複雑な熟成香に、とろりとした飲み口と濃厚な味わいを持つ日本酒。色調は、黄金色など黄色みがかっているものが多い。5年以上熟成したものが典型的で、高級ワインや高級ウイスキーが熟成を尊ぶように、日本酒も熟成させるとうまみがのってくる。

以上を参考にして、飲食店や小売店で日本酒を注文する際は「フルーティな香りの薫酒」「清涼感あるすっきりした味わいの爽酒」「米のうまみやコクがある醇酒」「熟成感のある熟酒」などと伝えると、お店側もイメージを絞りやすくなるだろう。

自分の好みがわからなければ、まずはこの4タイプを飲み比べしてみるといい。とくに唎酒師がいるお店なら、この4タイプ分類を理解しているはず。きっとその日のおすすめ銘柄を提案してくれるだろう。

日本酒の発展に大きく貢献した「日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会」

さて、日本酒の「4タイプ分類」について少し勉強したところで、この分類を生み出した「日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(以下、SSI)」について紹介しよう。

「SSI」は、東京都文京区小石川に拠点を構える「NPO法人FBO(料飲専門家団体連合会)」の提携加盟団体。日本酒、焼酎を中心に酒類の総合研究をおこない、その教育啓発活動を通じて、日本の酒文化の発展および日本食文化の継承発展に寄与するなどを目的としている。

「日本酒には2000年ほどの長い歴史がありますが、今のように体系化されたのは平成に入ってから。まだ四半世紀しか経っていないんです。だから日本酒は新しいお酒だと思っています」。こう話すのは、「SSI」の専務理事・専務局長の日置晴之さん(写真下)。

「SSI」の発足は、1986年に開かれた「第1回パリ国際ソムリエコンクール」がきっかけになる。現在、日本酒スタイリストとして活動する木村克己さん(SSI初代会長)がワインのソムリエ日本代表として同コンクールに出場した際に、諸外国のソムリエたちから「日本には、日本酒というワインと同じ醸造酒があるらしいが、それについて教えてくれないか?」と聞かれたのが発端だった。

「当時、日本酒について何も答えられなく、自分たちの国のお酒をさておき、ワインに突っ走っていることに気づいたのです。お酒に詳しい我々が知らないんだから、一般消費者たちはもっと知らないだろう。であれば、我々が一から日本酒や焼酎を勉強して、発信していこうとなったのです」(日置さん)

こうして1991年2月に「SSI」が設立された。木村克己さんをはじめ、現在「NPO法人FBO」理事長を務める右田圭司さんなど、当時の若手ソムリエたちが中心となり、日本酒を体系化していった。

「インターネットも普及していない時代ですし、そもそも日本酒に関する本やテキストもない時代。メンバーが直接、蔵に行って杜氏さんと話をしたり、酒造りを体験させてもらったりして、消費者にとって必要な情報を仕入れていきました」と日置さんは当時を振り返る。

当記事の前半部分で紹介した「日本酒の4タイプ分類」は、消費者に日本酒を楽しんでもらえるように、2万種類以上の日本酒のテイスティング検証を行った結果、生み出されたものなのだ。

▲「SSI」オフィスに展示された日本酒の香味ポジショニングMAP

ちなみに日置さんも、もともとはワインのソムリエ。上記の諸先輩たちと設立当初より活動を共にしていた。まだヨーロッパの人たちが日本酒を知らない時代にフランスに渡り、約15年日本酒の普及活動を行っていた。

日本酒のプロフェッショナルを育成していく

現在「SSI」の主な活動は、消費者または飲食業・小売店従事のプロ向けに、お酒の教育を行うこと。たとえば、消費者向けには「日本酒ナビゲーター認定セミナー」「日本酒検定」がある。

「日本酒ナビゲーター認定セミナー」は数時間の座学形式で、日本酒の専門用語や原料、製造方法、歴史などを解説し、テイスティング教材も付いてくる。講座の修了者には、認定証も授与される。

「日本酒検定」は1~3級に分かれ、日本酒に関する知識・雑学を4択のマークシート方式で回答するもの。年1回の開催で、合格者には認定証が授与される。

飲食業・小売店従事のプロ向けには「唎酒師」がある。日本酒は、種類ごとに最適な飲用温度や酒器があるため、もっともおいしく飲めるよう提供・販売できる日本酒のソムリエ認定資格のこと。試験は年数回実施。海外向けに外国語を用いて適切に日本酒の提供・販売ができる「国際唎酒師」のプログラムも展開し、現在約2,000人の外国人唎酒師がいるという。

▲日本酒用酒器の展示もある

さらにその上の資格として「酒匠(さかしょう)」「日本酒学講師」もある。「酒匠」は、テイスティングの専門家向けの認定資格であり、「日本酒学講師」は、日本酒を広めるための講師向けの認定資格である。この2つは「唎酒師」の資格がないと、受講することはできない。

そのほか「SSI」では、日本酒造りを体験できる蔵元ツアーを開催したり、蔵元と共同でパネルディスカッションを行ったり、蔵元を集めた試飲会型イベント「STYLE J. SAKE」なども実施している。

▲日本酒原料のサンプルも展示されている

日本酒に興味を持ったら、飲んでみるだけでなく、日本酒に関する勉強をしてみるのもいいかもしれない。

▲SSIのオフィスにある「神棚」

「SSI」のオフィスでは、日本酒や焼酎に関するパネルが展示され、関連書籍を自由に読むことができる。事前連絡をすれば、誰でも利用可能とのこと。日本酒や焼酎など、国酒を勉強したくなったら、「SSI」に行ってみよう。きっと知的好奇心を満たしてくれることだろう。



<参考文献>
・『新訂 日本酒の基』日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)著/NPO法人FBO
・『酒仙人直伝 よくわかる日本酒』NPO法人FBO 著
・『ゼロから分かる!図解日本酒入門』山本洋子著/世界文化社
・『もっと好きになる 日本酒選びの教科書』 竹口敏樹監修/ナツメ社

<編集協力>
名久井梨香

写真提供元(一部):PIXTA

日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会(SSI)/(英文名 SAKE SERVICE INSTITUTE)

住所
〒112-0002 東京都文京区小石川1-15-17 TN小石川ビル7F
電話番号
03-5615-8205
公式サイト
https://www.ssi-w.com/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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