西荻窪に現れたビストロノミーの世界。『anicca』のセンス溢れる空間で、季節を味わう

2019年03月13日
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西荻窪に現れたビストロノミーの世界。『anicca』のセンス溢れる空間で、季節を味わう
Summary
1.季節の恵みをふんだんに味わえる、心安らぐレストラン・西荻窪『anicca』
2.一軒家をリノベーション、ハイセンスな家具に彩られた上品な空間も魅力
3.ワインラインナップも豊富! 料理と合わせて美味に浸る

旬のものを食べ、暮らしを楽しむことを大事にしたくなる一軒

食べることと暮らすことは密接な関係にある。
苦みの強い春の食材は、冬に身体に溜まった毒素排出を助け、夏の食材は身体の熱を上手にさます。秋の食材は冬を迎える身体に必要な栄養貯蔵を働きかけ、冬の食材は身体を内から温めてくれる。

旬の食材の力を借りれば、わたしたちは、より健康な身体で豊かな毎日を楽しむことができるのだ。

「食と暮らし」について今一度思いを巡らせたいとき、ぜひ訪れてほしいレストランがある。東京・西荻窪に2018年12月にオープンした『anicca(アニカ)』だ。

サービス担当の太田佑也さん(写真上・右)は、旬の食材が秘めたパワーについて、「料理を提供する以上、意識せざるを得ないし、そこに素晴らしさを感じます」と話す。

「『anicca』では、さらにプラスアルファの要素として素材の組み合わせにもこだわりたいし、それをお客さまにも楽しんでほしいですね」(太田さん)

同店の魅力はそれだけではない。一軒家をリノベーションした二階建てのお店の店内は、一枚板のテーブルやアンティーク雑貨など「丁寧に暮らすこと」の本質を思い出させてくれる調度品の数々に彩られている。

内装デザインを担当したのは太田さんと調理担当の高須貴大さん。ペンキを塗ったのも自分たちだ。

▲ゆったりとくつろげる2階も魅力的

その背景にあるのがふたりの前職。
東京都内でカフェを複数店舗運営する会社の同僚として出会ったふたりは、雑貨を扱う太田さん、キッチンで腕を振るう高須さんそれぞれの特性を活かした店を、いつか一緒に立ち上げることを夢見ていたのだ。同店にかける想いや料理へのこだわりも、見事に一致していたという。

調理法も食感もさまざま、バラエティ豊かな旬野菜を楽しめる「前菜盛り合わせ」

料理の考案は高須さん(写真上)。提携先の八百屋や魚屋から届いた旬食材をもとに、一品一品コンセプトを考えていく。

ほとんどの客がまずオーダーするのは、季節の恵みたっぷりの「野菜の前菜盛り合わせ」(写真上)。6~8種類の旬野菜が、調理法もさまざまにプレートを彩る。

この日のメニューは、金時ニンジンのラペ(細切り)、根セロリのレムラード(自家製マヨネーズで和えたもの)、クスクスとトマトのサラダ、レンコンのロースト、ジャガイモのマリネ、ゴボウのコンフィ、菜の花の焦がしバターソテー、煎茶とシャルトリューズ(薬草系リキュール)で味付けしたオリーブのマリネの8品。

冬らしく根菜多めで栄養もたっぷり。一皿目から身体が温まるだけでなく、シャキシャキ感を堪能できるレンコン、シャッキリした歯ごたえを残した根セロリ、噛みごたえ十分なゴボウなど、さまざまな食感の食材を楽しめるのもうれしい。

料理がおいしいとワイン選びはもっと楽しい

やわらかく煮込んだ和牛肩肉の下に、フキノトウにウイスキーを隠し味にした自家製ばっけ味噌(フキノトウ味噌)を敷き、季節の野菜を添えた「和牛のしぐれ煮、ばっけ味噌と明日葉の軽いおひたし」(写真上)は、和牛のうまみと春の山菜の苦みの絶妙なコントラストを楽しめる一品。

今回は、メニュー名と異なりフキノトウの代わりに「ウルイ(早春が旬の山菜)」を使用しているが、日ごろから、同じ食材を使ったメニューを複数注文している客には、野菜の差し替えを提案することもあるという。

和牛肩肉は、だしとほうじ茶、白醤油とともに煮込んでペースト状にしてテリーヌに仕上げている。濃厚な味わいゆえ、そのままはもちろん、パンにつけていただくのもいいだろう。クルミのような味わいの鴨脂、上に散らしたホースラディッシュとも相性抜群だ。

ここまで凝った一皿は、ワインとのマリアージュを楽しみたくなって当然。

おすすめは、紅茶のように華やかな香りのジョージア(グルジア)産オレンジワイン「SHENIANI(シェニアニ)」(写真上)。テリーヌの濃厚なうまみが際立ち、じっくりと噛みしめたくなる味わいに昇華する。

「鰆のミキュイ、大麦と明日葉のパリパリしたサラダ」(写真上)の「ミキュイ」とは、フランス語で「半生」の意。レアステーキ状の鰆(サワラ)に、ふっくら炊き上げた大麦と火で炙って乾燥させた明日葉を添えた一皿は、ナイフやフォークで崩して混ぜながら、食材のマリアージュを楽しむのがオツ。

魚の甘みや明日葉の薫りが混然一体となって五感を刺激し、春の訪れを予感させてくれる至福のひとときに酔いしれられるだろう。

メインとして楽しみたい「軽く熟成させた骨付き岩中豚ロースのコンフィ」(写真上)は、軽く炙って乾燥させたちりめんキャベツと、同じくちりめんキャベツで作ったピューレが添えられた美しい一品。

肉そのもののうまみを引き出すため、シンプルに塩コショウで味付けされた赤身肉は、大きめにカットして贅沢に頬張るのもいいが、ピューレやドライキャベツと合わせることで繊細な味わいを楽しむこともできる。

こちらの料理は、太田さんチョイスのフランス産白ワイン「Vin de Frantz(ヴァン・ド・フランツ)」(写真上)をはじめ、白ワインやロゼと相性よし。酸が強くやさしい飲み口のワインと併せれば、肉のうまみがぐっと引き立つし、スッキリとした後味も心地よい。

豊富なワインはもちろん、季節を楽しめるオリジナルドリンクも魅力

ワインは毎日、赤白それぞれ3種類用意している他、ボトルは常時40~50種類と豊富にそろえている。自然派ワインを多く取りそろえているので、訪れるたびに色々試してみるのもよさそうだ。

また、旬の食材を活かした料理や四季の移ろいに合わせて作るオリジナルドリンクもおすすめ。冬の時期は、ジャガイモや八朔(はっさく)、ほうじ茶、ラムを主役にした各種カクテルが楽しめるが、春になるとハーブを使った爽やかな一杯など、また違ったニュアンスのものが登場する予定だという。

ペアリングメニューとは謳っていないものの、料理や希望に沿ったドリンクの提案はおこなってくれるので、太田さんとの会話を楽しみながら、一杯を決めるのもいいだろう。

また、突き出し、野菜料理、魚、肉、パンなどをバランスよくいただけるコースの用意もある他、お一人様用にポーションを小さくすることにも対応しているなど、誰しもがおいしい時間を楽しむための工夫にも余念がない。

食べることと暮らすこと。『anicca』で過ごす時間はきっと、わたしたちにとって大切なことを改めて見つめ直すきっかけになるに違いない。

撮影:岡崎慶嗣


【メニュー】
・野菜の前菜盛り合わせ 1,800円
・和牛のしぐれ煮、ばっけ味噌と明日葉の軽いおひたし 1,200円
・鰆のミキュイ、大麦と明日葉のパリパリしたサラダ 1,600円
・軽く熟成させた骨付き岩中豚ロースのコンフィ 2,700円
・ワイン グラス 800円~、ボトル 4,500円前後~7,500円前後
・コース 4,000円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込みです。

anicca(アニカ)

住所
〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町4-15-13
電話番号
0422-27-5335
営業時間
月~金曜 17:00~23:30、土・日曜 12:00~15:00/17:00~23:30
定休日
火曜
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/n929tnnw0000/
公式サイト
http://anicca.tokyo/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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