近所の人がうらやましい!優しい料理と心地よい空間に心がほぐれる、愛情ビストロ『デュボワ』【幡ヶ谷】

特集:西原の気取らない良い店

2019年09月26日
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近所の人がうらやましい!優しい料理と心地よい空間に心がほぐれる、愛情ビストロ『デュボワ』【幡ヶ谷】
Summary
1.ひっそり通いたい店が集結! 大人のグルメエリア「西原」に注目【特集・西原の気取らない良い店】
2.まるでフランスの片田舎にあるカフェのよう。ビストロ料理と自然派ワインの店、幡ヶ谷『デュボワ』
3.お腹も心も満たされる一皿は、本格的でありながら毎日食べたい優しい味わい

いつ訪れても楽しくおいしい。「西原」の地元民に長年愛されてきたビストロ

感度が高い人気レストランやカフェがそろう代々木上原と、下町の面影を残す庶民派な幡ヶ谷。その中間に位置する西原エリアは、個性あふれるグルメ店が、閑静な住宅街の中に隠れ家のように佇んでいる。

ゆったりとした空気が流れ、暮らす人も訪れる人もくつろぎを感じさせる場所。そんな西原の雰囲気にぴったりと馴染んでいるのが、今回紹介する『デュボワ』。西原エリアの中でも幡ヶ谷寄りに位置し、地元民の日々の暮らしの中に溶け込み、長年愛されてきた名店だ。

普段着のままで楽しめる、本格ビストロ料理と自然派ワイン『デュボワ』

フランスでは、カフェは日々の生活に欠かせない存在。コーヒー1杯から、シェフが作るきちんとした食事まで、実に様々なシーンで活躍する。そして、ここ『デュボワ』にも同じような空気が流れている。

仕事の合間にシェフが作る本格ビストロランチを楽しんだり、居酒屋のように一杯傾けながらおつまみをつまんでみたり。普段着のままふらりと立ち寄れば、いつでも笑顔で迎えてくれる。まさに近所に一軒ほしい、西原に住んでいる人たちがうらやましくなるような店だ。

オーナーの花井聡さん、里美さんご夫婦は、職場が初台(幡ヶ谷の隣駅)のレストランだったこともあり、幡ヶ谷に住むようになったという。2人ともフランスが大好きで、フランスのカフェのように多種多様な人が集い、コーヒー1杯だけだったり、食事をしたりと様々な使い方ができる店を作りたいと考えていた。

『デュボワ』がある場所は西原商店街の外れということもあり、周囲からは「幡ヶ谷駅近くの賑やかな通りの方がいいのでは?」ともアドバイスされたそうだが…

「自分たちの料理を気に入ってくれて、そのためにわざわざ来てくれるようなお客様が増えたらいいなと思い、ここに決めました」(里美さん)

今では、祖父母から孫の3代で通う人もいるほど、地元に根付いた店となっている。

料理の特徴
「コースだと敷居が高くなってしまうのではと考えて、アラカルトをメインにしました。その人に合った食べ方で気軽に楽しんでもらうほうが、西原に合うと思ったんです」(里美さん)

料理は、都内のホテルやレストランでフレンチのキャリアを積み、フランスでの修業経験もある聡さんが担当。デザートは、フランス菓子好きが高じて、会社勤めをやめてフランス菓子を学び、師範の資格も持つ里美さんが作る。

『デュボワ』のメニューは、「またあれが食べたい」というお客のリクエストに応えて、期間限定メニューが定番メニューに加わるなどして、日に日に品数が増えているそう。メニューブックに記載されている料理に加え、黒板にもぎっしり。いずれも、このままフランスでも通用しそうなほど本格的なビストロ料理ばかりだ。

▲前菜の盛り合わせ

『デュボワ』のエッセンスがギュッと詰まったおすすめのメニュー(写真は2人前)。同店の料理は、どれもボリュームたっぷり。訪れた人に喜んでもらいたいというシェフのサービス精神の賜物だ。

手前左から時計回りに「セミドライトマトのマリネ」、「黒オリーブの肉詰めフリット」、「鶏レバームース」、「さんまのエスカベッシュ」、「イベリコ豚のチョリソー」、「チーズ2種類盛り合わせ」、「冷製ナスのバルサミコ酢マリネ」、「真鯛のカルパッチョ黒トリュフ風味」と全8種類。

「黒オリーブの肉詰めフリット」は、愛らしい見掛けとは裏腹に、手間暇の掛かる料理。

黒オリーブの種を抜き、合い挽き肉にアンチョビとチーズ、ニンニク、パン粉、卵を混ぜた肉ダネを詰め、ミキサーで細かくしたパン粉をつけて揚げている。衣は2度揚げしているため、カリカリと香ばしく、フルーティーなオリーブと味付けをしっかりした肉ダネとの組み合わせも好相性。ワインだけでなく、ビールにもぴったりだ。

「鶏レバームース」(写真上・右奥)は、ポルト酒やブランデーのような香りの強いお酒でマリネした鶏レバーを、生クリーム、卵黄と混ぜてペースト状にし、湯煎で火入れしたもの。
食感がなめらかなムースは臭みが全くなく、肉のうまみが引き立ち、持ち帰りしたいというリクエストもあるほど人気がある。

「さんまのエスカベッシュ」(写真上・中央)。エスカベッシュのメインになるのは旬の魚介類。秋の味覚・サンマも、野菜たっぷりの漬け汁に大振りの身を漬け込めば、ワインにぴったりのメニューとなる。冬になれば、カキも登場する予定とか。

定番だけではなく、その季節ならではの食材もしっかり盛り込んだ一皿は、ボリューミーだが、いずれの料理も塩気や酸味がマイルドな優しい味わいで、女性でもペロリと食べられる。

▲冷製ギリシャ風野菜の蒸し煮

季節の野菜をマリネ液に漬け込み、液に入れたまま蒸し煮にし、そのまま冷まして味を染み込ませた一品。

絶妙な火入れにより、まるで生野菜のようにシャキシャキとした食感を保ち、ほんのり酸味を利かせた味付けが素材の甘さを引き立たたせている。シンプルな料理だが、すべてに花井シェフの絶妙なセンスが行き渡っている。

▲牛ホホ肉の赤ワイン煮込み

ビストロを訪れたら、食べたくなるクラシックな定番メニュー。シンプルな煮込みを想像して待っていると、テーブルに運ばれてきた皿のボリューム感に目を見張る。
これでなんと1人前。前菜を頼まず、これだけを食べに来る常連もいるのだそう。

じっくりと2時間半煮込まれたオーストラリア産の牛ホホ肉は、ナイフを入れるとホロっとするほど柔らかい。牛肉にたっぷりかけられた芳醇な香りと、コックリとした濃厚な味わいのソースが絶品だ。バターを控えめにしているため食べ心地が軽く、子供から年配者まで楽しめる。

付け合わせは、まるでもう一皿料理が追加されたかのように盛り盛り。奥から「ベルギー産ポテトフライ」、「キノコのクリームパスタ」、「ラタトゥイユ」、「野菜の香草バター炒め」。さらに牛肉の下には「マッシュポテト」も敷かれている。お客の要望に応じて、量は調整可能だそう。

これらの付け合わせにも、さりげないシェフの気配りが。
ポルチーニをベースに、トリュフをアクセントに使ったパスタは、おしゃべりに夢中になっても食感が損なわれないように、太めのリングイネを使用。ラタトゥイユはニンニクを使わず、ハーブなどで風味をプラス。女性客が多いため、ランチの付け合わせで供されてもにおいが気にならないようにとの配慮だ。

▲モンブラン

『デュボワ』のデザートは里美さんが担当。本格的なフランス菓子に日本のエッセンスを取り入れ、オリジナルなデザートを目指している。

秋になると食べたくなる「モンブラン」は、納得のいく栗の味わいを求めて、フランス産とスペイン産、2種類のマロンペーストをブレンド。食事の後に食べるモンブランということで、さっぱり食べられることにこだわった。

土台となるメレンゲには、生クリームとの相性抜群なヘーゼルナッツを合わせ、その上にヨーグルトのような爽やかな酸味を持つフロマージュブランをプラス。栗粒の上に柚子ペーストをのせているのだが、この柚子とフロマージュブラン、2つの酸味のバランスが絶妙。生クリームをたっぷり使っているのに、不思議とあと口が爽やかだ。

食べ進めると、栗ペーストの下に忍ばせたほろ苦いエスプレッソの粉がアクセントになる。柚子で和の趣きも醸し出した、大人のモンブランだ。

オープン以来こだわりの自然派ワインとベルギービールが、食事をさらに楽しく

ワインはオープン時からずっと、同じ自然派ワイン専門の業者から仕入れている。グラスは、赤白2種類ずつ、ロゼ1種類を用意。内容は在庫や時期により変わるが、気に入った生産者のものは長く仕入れている。奇をてらわず、自分たちの料理を大切にする『デュボワ』らしい付き合い方だ。

自然派ワインと共にオープン時当初からこだわっているベルギービール。
昔からベルギービールに目がない花井夫婦。「ふたりでお店を開くなら、ベルギービールも置きたいね」と、オープン前から想像を膨らませていたそう。
種類は常時17~18種類。それぞれ個性豊かな味わいがあるので、その日の料理に合わせて選んでみたい。

花井夫妻が語る、「西原」の魅力とは?

さて、この街で日々過ごしている花井夫妻が感じる、街の魅力を伺ってみよう。

「代々木上原だとちょっとカッコいいイメージがあって、幡ヶ谷は庶民的な街。西原はその中間。暮らしやすい街で、ここで育った人たちが、一度離れてからもまた戻ってきて、新しい暮らしを始めたりもしています。ここ4、5年でお洒落な店が次々とオープンしているので、遠方からもわざわざ訪れる人が増えました。それを古くから住んでいる人たちも歓迎している。一緒に盛り上げていこうというバランスがいいんじゃないかなと思います」(里美さん)

初めて訪れても常連のようにくつろげる、心和む空間

ちょっぴり重厚な木製ドアを開ければ、年月を経て少しくすんだ色合いの壁と床、趣のあるアンティークのテーブルや椅子が並んでいる。内装を整えるときにわざわざ古びた木材を調達したという店内は、まるでヨーロッパの田舎にあるレストランを訪れたような雰囲気。

「新しいものや無機質のものは緊張すると思うんです。ほっとするとか、疲れているときに『ちょっと飲ませて』って寄ってくれるような店にしたかったんです」(里美さん)

センスの良い店が点在しながらも、人々の暮らしがしっかり感じられるエリア、西原。
『デュボワ』は、そんな街にふさわしく、老若男女問わず、人々がいつもそこに帰る場所として大切にしたくなる、そんな温かい魅力に満ちている。

▲花井聡さんプロフィール(写真上・左)
辻調グループ フランス校卒業後、『都ホテル東京(現シェラトン都ホテル東京)』でフレンチのキャリアをスタート。蔵前の『ビストロカンパーニュ』を経て、フランス・ロワール地方のレストランで研修。帰国後、都内のレストランなどでさらに研鑽を積み、独立。

▲花井里美さんプロフィール(写真上・右)
会社員として勤務していたが、フランス菓子に魅せられ退職。レストランで働きながら、代官山のパティスリーが主催する教室でフランス菓子を学び、師範の資格を取得。初台のレストラン勤務などを経て、独立。


【メニュー】
前菜の盛り合わせ(1.5人前) 1,200円
冷製ギリシャ風野菜の蒸し煮 980円
牛ホホ肉の赤ワイン煮込み 2,000円
モンブラン 800円
グラスワイン 600円~
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です

デュボワ(Dubois)

住所
〒151-0066 東京都渋谷区西原2-20-8 コーポ小沢 1F
電話番号
03-3467-3958
営業時間
火曜18:00~22:00(L.O.)(火曜のみ不定休)、水曜~金曜11:30~15:00(L.O.)、土曜、日曜、祝日11:30~15:30(L.O.)、18:00~22:00(L.O.)
定休日
月曜(祝日は営業している場合有。要問い合わせ)、火曜(不定休)
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/1nj2yesw0000/
公式サイト
http://cafe-dubois.com/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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森一起
ライター/作詞家/ミュージシャン