スパイスカレーの新星誕生!『旧ヤム邸』出身の『創作カレーMANOS』が目指す“楽しいカレー”

2019年10月06日
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スパイスカレーの新星誕生!『旧ヤム邸』出身の『創作カレーMANOS』が目指す“楽しいカレー”
Summary
1.スパイスカレー発祥の店といわれる『旧ヤム邸』出身者が、三軒茶屋に新カレー店をオープン
2.定番カレー、月替わりのキーマカレー、週替わりのカレーを提供
3.3種盛りにして、最後はすべてを混ぜて食べるのがおすすめ

大阪から飛び火した「スパイスカレー」がじわじわ勢力拡大

大阪発の新勢力「スパイスカレー」の勢いが止まらない。スパイスカレーとはスパイス感を前面に出しつつ、インドカレーや欧風カレーの“型”にとらわれず、日本人向けに自由な発想で創作した新ジャンルのカレー。大阪で2015年ころから急激に人気が高まり、元祖ともいわれるスパイスカレー店『旧ヤム邸』が2017年7月、東京に初進出。下北沢に『旧ヤム邸 シモキタ荘(以下、シモキタ荘)』をオープンさせた。

2019年8月17日には、大阪の『旧ヤム邸』と『シモキタ荘』で腕をふるっていた遠藤僚さんが、『創作カレーMANOS(マノス)』を三軒茶屋にオープン。早くも行列ができる人気店となっている。

場所は三軒茶屋駅から徒歩数分、茶沢通り沿い。レンガ造りの渋い外観が目をひく。店名の{MANOS」は、スペイン語で「たくさんの手」という意味。たくさんの人の手を借りながら創り上げた店なのでこの店名にしたという。

内装は『旧ヤム邸』『シモキタ荘』と同じインテリアコーディネイターが手がけており、カレー店のイメージを裏切るヴィンテージ感あふれる落ち着いた雰囲気を受け継いでいる。

▲壁面には、チョークアーティストMAI SATOさんのチョークアート

地獄を見た“ヤバいカレー”で、カレーの魔力に覚醒

一人で調理を担当している店主の遠藤僚さん(写真上)は、滋賀県で生まれ、幼少期は鳥取県で育ち、高校進学から大阪で過ごす。カレーよりもラーメンが好きで、大学卒業後は地元関西の中華だしメーカーに就職したほど。そんな遠藤さんがカレーに覚醒したのは、カレー好きの先輩に「やばいカレー屋があるで」と誘われたのがきっかけだった。

「『天国を見るか地獄を見るかどっちか』と予告されたのですが、僕は地獄を見ました(笑)。今までに食べたこともないくらい辛いカレーで、ひとくち食べて七転八倒しましたね」。

こんなに辛いカレーが世の中にあるのかと驚いた遠藤さんだったが、もっと驚いたのはその激辛カレーを食べるために大勢のお客が行列をつくっていたこと。そして遠藤さん自身が、「あんなに地獄のようにつらい思いをした」のに、1週間ほどしたら、たまらなくそのカレーが食べたくなり、また訪れてしまったことだった。

そこからカレーの不思議な魅力にハマった遠藤さんは、先輩とともにカレー店を開くことを決意。29歳で会社を辞め、1カ月ほどインド各地のカレー店を食べ歩いて研究を重ねた。そして大阪に戻り、先輩と共同経営でカレー店を開いたが、やがて自分だけの店も持ちたいと思うように。

そんな時に出会ったのが、スパイスカレーの元祖ともいえる『旧ヤム邸』のオーナー。本格的にパイスの勉強をしたいと意気込んで入店した遠藤さんは、強い衝撃を受ける。「カレーのレシピ本に必ず書いてあるような、いわゆる“カレーの基本”はほとんど無視。完全にオリジナルなカレーを毎日、日替わりで考案しなければならなかったんです」(遠藤さん)。

『旧ヤム邸』のいくつかの店の「つくりて」として腕をふるった遠藤さんは、『シモキタ荘』の立ち上げのため1年間の期限付きで上京。スタッフとして店を支えた後、独立して『マノス』をオープンした。

メニューは、「メインのカレー」「月替わり」「週替わり」の3種類

同店ではメインの「MANOSチキンカレー」と月替わりのキーマカレー1種類、週替わりのカレー1種類、合計3種類を出している。

取材時のメニューは「MANOSチキンカレー」、月替わりが「鮭とほうれん草のレモンポークキーマ」、週替わりが「ホタテと筍のタイカレー」。

こちらが「3種盛り」(写真上)。左から「MANOSチキンカレー」、「鮭とほうれん草のレモンポークキーマ」、「ホタテと筍のタイカレー」。ご飯はジャスミンライスと日本米をブレンド。副菜として、マイルドな辛みのチャナダル(ひよこ豆)のカレー、スパイスで和えた生野菜を添えている。

いつも食べられる定番は、“大根がしゅんでる”カレー

『旧ヤム邸』は毎日違う“一期一会”のカレーを提供することで知られているが、遠藤さんは独立するにあたり、「定番をひとつ置いておきたい」と考えた。それが、「MANOSチキンカレー」。ダイコンと鶏肉を煮込み、鶏のだしをダイコンにしみこませ、別鍋で作った“カレーの素”を混ぜ30分ほど煮込んで作る。

▲鶏だしをメインに和のスパイスも効かせ、サラッと食べられるように工夫した和風カレー「MANOSチキンカレー」

「大阪弁で『大根がしゅんでる』という表現があります。熱々の大根をハフハフ言いながら食べるイメージで作りました」(遠藤さん)。

煮崩れる直前に取り出しているダイコンは、芯までしっかり鶏だしとカレー味がしみて、まさに“しゅんでる”食感。鶏肉もホロホロとやわらかい。山椒の香りがアクセントとなり、口中に辛みとうまみの風が吹き渡るよう。スパイシーだが、誰からも愛されそうな和風のカレーだ。

こちらは月替わりのキーマカレー「鮭とほうれん草のレモンポークキーマ」(写真上)。取材時の9月は旬であるサケとホウレン草を使っている使用。

サケの食感が残るように気を付けながら、ブラックペッパー、ナツメグを効かせた豚挽き肉のキーマカレーとミックスし、ホウレン草とレモンを加えて煮込んでいる。「サケのムニエルって、レモンが乗っていますよね。ということはサケと合うと思ってレモンを入れています」(遠藤さん)。

キーマカレーのツブツブ感の後にあらわれる、サケのしっとりした食感が楽しい。レモンの爽やかな酸味から残暑を、サケとホウレン草から秋の気配を感じる。

こちらは週替わりのカレー「ホタテと筍のタイカレー」(写真上)。「『旧ヤム 邸 中之島洋館』ではタイカレーを出していたのですが、その味が好きなので、近いものを作りたいと思いました」(遠藤さん)。コリアンダー、パクチー、レモングラス、バイマックル(コブみかんの葉)などが入っている。

ホタテのうまみがカレーの味わいに奥行きを与えている。ホタテとタケノコの噛みごたえの違いも面白い。いずれもカレーとしてはかなり自由奔放だが、意外なほどに抵抗なく食べられる。主張の強いスパイスの奥に.しっかりとっただしのうまみが感じられるのは、『旧ヤム邸』のDNAだろう。

混ぜ合わせると、辛み・うまみ・酸味が波のように押し寄せる!

「味の好みもあるでしょうが、できれば3種盛りにして、最後はすべて混ぜて食べてみてください。味が変わって面白いですよ」(遠藤さん)。さっそく試してみる。

写真上は、定番の「MANOSチキンカレー」、9月の月替わりカレー「鮭とほうれん草のレモンポークキーマ」、週替わりカレー「豚バラ麻辣カレー」の3種盛りに、温泉卵とパクチーをトッピング。ちなみに「豚バラ麻辣カレー」はスターアニス、五香粉、花椒などを使った中華風カレー。

3種ともに、それだけ食べてもおいしいので、ついスプーンが進んでしまい、半量を残すのにかなり強い意志が必要。だが混ぜ合わせてみると、分量と組み合わせによって、その都度口の中に新たな驚きが訪れる。そして最後、3つのカレーをひとつに混ぜ合わせると、主張の強い3つのカレーが完全なバランスで融合することにまた驚く。

▲最後にトッピングの温泉卵とパクチーを混ぜることで、さらに劇的に味変

「通いたくなる、面白いカレー屋」を作りたい

「新しいカレーを考える時はいつも、食べる人たちの最初のひと口目の表情を想像しながら作っています。『わぁ!!!』という表情になっていただければ最高ですね。東京、特にこの三軒茶屋は有名なカレー店も多いので、その中から選んでもらうのは大変だと思うけど、どことも違うスタイルの“面白いカレー屋”に育っていきたいです」(遠藤さん)。

▲遠藤僚さん(写真上・右)と、ホール担当のスタッフ野田日和(ひより)さん(同・左)

とことんこだわったひとつのカレーを作り続け、その味を磨きあげるスタイルも魅力的だが、今は、新しいカレーを考えることが何より楽しくてたまらないという。

【メニュー】
カレー
1種盛り 1,000円
2種盛り 1,200円
3種盛り 1,400円
トッピング 
温泉卵 100円
パクチー 200円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税込です

創作カレーMANOS(マノス)

住所
〒14-0004 東京都世田谷区太子堂3-18-2 三茶ビル1F
電話番号
03-6805-3376
営業時間
11:30〜15:00(L.O.14:30)、18:00〜22:00(L.O.21:30)
定休日
木曜日・月曜日夜 ※11月より月曜日・木曜日
公式サイト
https://www.facebook.com/manoscurry

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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