「やきとん」の超名店・野方『秋元屋』の味を守り続けてきた店長がついに独立して開いた店のホンモノの味

【連載】幸食のすゝめ #047 食べることは大好きだが、美食家とは呼ばれたくない。僕らは街に食に幸せの居場所を探す。身体の一つひとつは、あの時のひと皿、忘れられない友と交わした、大切な一杯でできている。そんな幸食をお薦めしたい。

2017年07月13日
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「やきとん」の超名店・野方『秋元屋』の味を守り続けてきた店長がついに独立して開いた店のホンモノの味
Summary
1.野方の名店『秋元屋』で8年半修業。そのほとんどの間、本店の店長を勤め上げた“松ちゃん”が独立
2.『やきとん赤尾』『田無一国』『弐ノ十』といった秋元屋系の後輩たちの教育係
3.もはや新しき名店! もつ焼きは肉料理の完成形の1つで、価格は限りなくリーズナブル

幸食のすゝめ#047、逆手の団扇には幸いが住む、東中野

「お前さぁ、ちっともヒトの話聞かないからさ、豚耳のピリ辛和えでも食っとけば!」、ボルサリーノ被った下町のダンディ、岩さんが飲み友達のユウジに話しかける。
「えっ?今何か言いましたか?、ちょっとボーッとしてました」、「ほらなぁ」。
親子ほども歳の違う2人だが、立石の名店『宇ち多゛』で仲良くなり、日曜日は野方『秋元屋』の口開けに並ぶようになった。そんな中、今年の春に、馴染みだった店長が独立。呑んべいたちの足は、野方から東中野に向くようになった。

松ちゃんこと松浦辰也さんは、8年半の長きに渡り修業。しかも、そのほとんどの間、本店の店長を勤め上げた、いわば『秋元屋』の顔だ。美容師だった松ちゃんは、客として入った『秋元屋』で「安くてうまくて、こんなに幸せな気分になれる店があるのか!」と強烈なインパクトを与えられ、その後の人生をもつ焼きに捧げる決心を固めた。

『秋元屋』に入ると瞬く間に頭角を現し、店長として店を背負う存在へ。そのため、多くの後輩たちの独立劇をいつも見守る立場になった。
そんな松ちゃんが満を持して、とうとう自分の店を持つ。長年の松ちゃんファンたちは、一斉に東中野を指した。

『秋元屋』で学んだすべてがある店

東の『宇ち多゛』、西の『牛太郎』とは全く違う文脈で、飲食業界に新たなるドリームストーリーを生んだ『秋元屋』の物語は1人の熱狂的なもつ焼きファンから始まった。『秋元屋』の創始者、秋元宏之さんだ。
元々、もつ焼きブロガーとして著名だった彼は、いつの頃からか自らの理想の酒場を実現しようと思い立つ。自分が食べ歩いた名店の叡智と教訓に従って、言わばいいとこ取りのオマージュ酒場を作ろう。尊敬してやまない名店の味や技を積極的に取入れ、切磋琢磨を重ねるうちに、店は行列ができる人気店となって行く。
途中からは経営に専念することが多くなった秋元さんに代わって、兄弟子である『たつや』の藤井龍成さんに続き、店の味を委ねられたのが松ちゃんだ。

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