【連載】東京・最先端のワインのはなし

ヴァンナチュール。自然派ワインとも訳されるこのワインは、これまでのスノッブな価値観にとらわれない、体が美味しいと喜ぶワイン。そんなワインを最先端の11人が紹介する。

2015年09月14日
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【連載】東京・最先端のワインのはなし
Summary
・トップバッターは日本橋蛎殻町から
・41歳の天才醸造家
・フランス・サヴォワ地方のオレンジワイン

Jean-Yves Péron les Barrieux2011(ジャン=イヴ・ペロン レ・バリュー)

東京の最先端ワインといえる、ナチュラルワイン(ヴァンナチュール、自然派ワイン)を紹介してくれるトップバッターは、日本橋・蛎殻町「ラ・ピヨッシュ」店主・林真也さん。
彼が紹介してくれるのは、自身もフランス時代にワイン造りに携わった若き天才醸造家、ジャン=イヴ・ペロンだ。

<林さん>
好きなワイン、好きなもの、はいつでも飲みたい。だから、今日飲みたいもの、と訊かれても答えはそうそう変わるものじゃない。
特別な時にでもなく、当たり前にグラスに注いであってしかるべきもの。
自分が働いて、自分が植えたぶどうが入っているというのも大きい。

しかし、そんなことを抜きにしてもこのワインは旨い。
味は、黒ブドウで赤ワインを造るように、果皮も一緒に少し漬け込んでいる分、果実味に厚みがある。
サヴォワの地品種・ジャケールでは普段感じられないアロマ、例えばカリン、マンゴーなどのトロピカルさがあるし、白茶などの半発酵茶のような、ふんわり、少し華やかな感じもする。
同じように果皮を漬け込みイタリアのワインに比べると、軽やかでミネラルや酸があるのが特徴だ。
決して重くなく、飲み心地がいい。
何より、添加物が入っていないので体への入り方が違うのを感じてもらえるはずだ。

ジャン=イヴ・ペロンは、今年41歳。
ティエリー・アルマンやジェラール・シュレール、レオン・バラルで修業の後、ニュージーランドやジュランソンを経て、2004年に独立した人物だ。

このレ・バリューは、品種は年によって違うが、ほぼルーサンヌと少しジャケールが入っている。
2週間ほど醸して(=マセラシオン。果皮とともに果汁を漬ける)あるので、多少オレンジがかった色調。
年によるが10~30hl/haと収穫量が少ないのでエキスが詰まっている感じ。


「オレンジ色の旨いやつ」。生産量が少ないため、林さんの店「ラ・ピヨッシュ」など限られた店舗にしかないが、機会があれば飲むべき一本だ。