ポリシーは酸化防止剤を絶対入れない! 自然派ワインの若手リーダーによる、ずっと飲み続けられるワイン

【連載】東京・最先端のワインのはなし verre29  ヴァンナチュール。自然派ワインとも訳されるこのワインは、これまでのスノッブな価値観にとらわれない、体が美味しいと喜ぶワイン。そんなワインを最先端の11人+編集長マツオが紹介する。

2016年10月05日
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ポリシーは酸化防止剤を絶対入れない! 自然派ワインの若手リーダーによる、ずっと飲み続けられるワイン

自然派ワイン界のスーパーユニット・グリオットの一人

1998年、自然なワインを造るという想いを同じくして、パトリック・デプラとセバスチャン・デルヴューという二人がロワールの地でドメーヌを立ち上げた。
土からブドウの木が幹を伸ばし、葉が成長し、その先にあるブドウ果実の房がそのままワイングラスとなって、赤い液体が満たされているというエチケットを見たことはないだろうか? それがDOMAINE des GRIOTTES(ドメーヌ・デ・グリオット)だ。彼らは畑を馬で耕し、月の満ち欠けをもとにした、ルドルフ・シュタイナー提唱の理論に基づく、ビオディナミでブドウを栽培。醸造工程においても徹底的に自然で、酸化防止剤を使用しなかった。自然な作りを徹底する彼らは、糖度が高いため瓶内で再発酵のおそれのある貴腐ワインでさえ酸化防止剤を入れなかったというから只者ではない。

酒質が不安定で、リスキーという考えもあるが、その不安定ささえ自然ととらえ、そのうまみ、引っかかることなくいくらでも飲めてしまう味わいの素直さに心惹かれ、自然派ワインの入口となった人も少なくないであろうドメーヌであった。
例えば「アンヌ・フランソワーズ・ジョセフ」と名付けられたキュヴェは、ピエール・オヴェルノワ、ジュール・ショヴェと並び、伝説的な自然派ワイン生産者として知られたアンヌとフランソワーズのジョセフ姉妹が化学肥料や除草剤、農薬を一度も撒くことなく手塩にかけて育てたシュナン・ブランの畑。そういった、畑からとてつもなくナチュラルなワインを造り続けていた。

そんな彼らも2010年に解散し、それぞれが小さなドメーヌを立ち上げ再出発した。
そのうちの一つ、セバスチャン・デルヴューが開いたドメーヌが今回紹介するレ・ヴィーニュ・ド・ババスだ。
セバスチャンは、栽培醸造家であるとともにロックミュージックをこよなく愛するミュージシャンでもある。彼はブドウ栽培を2年間学んだ後、ワイナリーに就職。栽培と醸造の責任者を務めていたが、マルク・アンジェリに出会って自然派のワイン造りに開眼し、グリオットを立ち上げるに至った。
今も、グリオット時代から一貫して酸化防止剤ゼロのワインを造り続けるハードコアな造り手。

そんな彼のワインをこよなく愛するのが、代々木上原『メゾンサンカントサンク』の田井良樹さんだ。

le groll'n roll (Vin de France Rouge) / Les Vignes de Babas(グロルン・ロール/レ・ヴィーニュ・ド・ババス)

ロックンローラーらしく、ブドウのセパージュである「グロロー」と「ロックンロール」を組み合わせた「グロルン・ロール」と名付けられたこのキュヴェ。樹齢約60年のグロローを使い、マセラシオン・カルボニック。タンクのみを使用した赤ワインだ。赤い果実の風味とハーブの爽やかさがあり、いくらでも飲めてしまうほどに優しく軽やかな味わいが特長だ。

<田井さん>
いまから4年前にフランスでの修業に出たときのことです。ナントにあるビストロで働き始めて、その店で友達が出来たんです。彼に週末に生産者のところに行こうと誘われ、最初に行ったのがレ・ヴィーニュ・ド・ババスだったんです。セバスチャンは快く出迎えてくれ、ワインを何本も開けていくうち、夜になったので、そのまま泊めてもらい、結局朝まで飲んでいたんです。
実は、そのときジャン・フランソワ・シェネやジェローム・ソリニーなんかも集まって来ていたんですよ。みな、いわゆる生産者然としているのかと思いきや、気のいい普通のお兄ちゃんでした。それまでにも、いわゆる自然派ワインと呼ばれるものを飲んでいて興味はあったのですが、この飲み会がきっかけでこの人たちのワインを紹介することを仕事にしようと思ったんです。

いまでは、アノニムという自然派のイベントを引っ張る若手のリーダー的存在であるセバスチャンは皆からすごく信頼され、尊敬されている生産者です。彼自身はサンスフル(酸化防止剤無添加)に挑戦する2003年前後に飲んで影響受けたのは、ピエール・オヴェルノワやオリヴィエ・クザン、ジェラール・シュレール、ジル・アゾーニだったそうです。以来、彼は「酸化防止剤は絶対入れない」と心に決めているみたいで、そんなメッセージを書いたものをリビングに貼ってあったくらいです。それだけの決意なんですね。

あと、彼に「どんなワインが造りたいのか?」訊いたことがあります。すると、返ってきた答えは「ずっと飲み続けられるもの」と。僕が最初に会ったときに飲ませてもらったのは2011年のグロルン・ロールだったのですが、まさにそんな感じで、僕にとってずっと飲み続けたいというタイプのワインの基準になるものです。土臭くて、ワイルドすぎると思ったのですが、飲んでいるうちに、どこまでも飲み続けられることに気付かされたはじめてのワインでした。義理堅くて、人を大事にしているセバスチャンのワインはどんなことがあっても買い続けたいと思っています。

ボトル 6,000円(税別)

メゾンサンカントサンク

住所
〒151-0066 東京都渋谷区西原3-5-1
電話番号
03-5454-5631
営業時間
17:00~1:00(1Fは18:00~)
定休日
定休日 日曜(月曜が祝日の場合は日曜営業、翌月曜が振替休日)
公式サイト
http://maisoncinquantecinqbistro.tumblr.com/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。