フランスから来た噂の肉屋ユーゴ・デノワイエは何がすごいのか?

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2015年11月01日
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フランスから来た噂の肉屋ユーゴ・デノワイエは何がすごいのか?
Summary
・パリ14区と16区にある高級精肉店
・顧客レストランにはミシュラン三ツ星店がずらり
・自然を尊重した健康な牛肉
・シェフにはフランスの牛肉を知り尽くした日本人を

パリで一二を争うクオリティの牛肉

恵比寿駅から駒沢通りを代官山方面に。老舗イタリアンとして知られる「コルシカ」のすぐ先に11月4日(水)、肉の味にうるさいフランス人の誰もが認める高級精肉店が、精肉とシャルキュトリーなどの物販とレストランを併設した店舗をオープンする。
これまでにも海外から牛肉を専門にした店舗は数多く上陸してきたが、今回はレベルが違うと言ってもいいのではないだろうか?

綺羅、星のごとく居並ぶシェフがこぞって使う肉とは?

パリ14区に精肉店を、16区にターブルドット(※レストランよりも簡易な飲食スペース)併設の精肉店を持つ「ユーゴ デノワイエ」。
「ピエール・ガニエール」や「アルページュ」「アストランス」「ル・ブリストル」「パッサージュ53」…と言った、フランスでも最高と呼ばれるレストランでこちらの肉が使われている。

それにしてもこれほどまでに話題の「ユーゴ デノワイエ」は何がすごいのだろうか?
いまやパリのカリスマ肉職人と呼ばれるユーゴ・デノワイエさんは、当時フランスで一流と呼ばれた精肉店で仕事をスタート。
古くから存在するノウハウ、目利き、厳しい規律を学んだ。
そして、1998年4月にパリ14区に精肉店を出すにあたり、フランス中の農家を探した。
大地からの自然な栄養を与え、自然に恵まれた環境がある屋外で動物を飼育し、デノワイエさん自身の持つ情熱を共有できる家畜農家とだけ取引をはじめたという。
もともとフランスは牛肉の生産について伝統的に特別なノウハウを持っていて、産地特有の血統も25種類に及ぶというが、デノワイエさんが修業を通して培った目利きでその中でも特別な生産者と取引をすることが出来たのだ。

コンセプトは「食べる牧草が牛の肉の味を決定づける」

「ユーゴ デノワイエ」で取り扱う肉は、その飼育環境に厳しい基準が設けられている。
まず、農場のある場所は、環境の被害や汚染の対象地域から潜在的に離れた地域の農村の中心部が選ばれる。そして、家畜や飼料を収容する建物は風通しがよく、清潔で、穏やかな環境かつ騒音とは無縁の場所。家畜は春から夏にかけては外で過ごし、寒くなり始めると広々として明るく広大な家畜小屋に入る。

牧草地や飼料は化学肥料を使わず栽培され、イネ科の植物、クローバー、豆科植物など天然の牧草地の草を食べたものだけ。
大豆の搾りかす、とうもろこしのサイレージ、すべての遺伝子組みかえ食品、パーム油、流動食などは厳しく禁止されている。
また、水道水に含まれる塩素など肉の味に影響を及ぼすようなものは一切含まれていない、湧水を飲ませている。さらに、湧水は定期的に検査している。
そうして育てられた中から、特に良い個体だけをセレクトしているのが「ユーゴ デノワイエ」なのだ。

流行りなどではない、ホンモノの「熟成」肉

「ユーゴ デノワイエ」において、熟成は肉を念入りに仕上げるために不可欠なものだ。
熟成の時期は成熟期とも呼び、酵素(嫌気性の自然の細菌)は各肉の粒子を取り囲む神経(腱膜)を少しずつ減らしていき、肉は柔らかく、ジューシーさが増し、旨味も増す。3週間の熟成で、全体の約20%の質量を失うことになるが、常に少なくとも3週間は熟成させるのがデノワイエの流儀だ。
また、肉のカットについても段差がなく、滑らかなカットが特徴。柔らかく絹のように艶があるので、アイスクリームとも例えられるのだという。

そうして、やっと私達の目の前に現れる肉はさらに細かく分類される。牛肉は3種類に、豚肉、仔羊肉(日本では未展開)、仔牛肉はそれぞれ2種類に分類されるが、グループに分けることで味のスタイルを明確に識別できるようにしたいというのだ。そうすることで、顧客が好きな肉の食感や香りを体系化させる手助けともなっている。
例えば牛肉は、「ドゥ」「ロン」「コルセ」という3種類でその違いは以下のようなものだ。

「ドゥ」…とても若い牛で低脂肪の肉。肉の色は明るい赤。口に入れると柔らかく溶けるようで、弾力があり、口あたりはとてもさわやか。熟成期間は3~4週間。
「ロン」…深いルビー色の肉で、豊かに香りを包みこんだ脂肪の霜降り肉(黒毛和牛のような霜降りではない)。肉の繊維と脂肪は非常に柔らかく、季節によって異なる葉や草の味が分かるという。熟成は5~6週間。
「コルセ」…これは日本では販売出来ない飼育期間の長いもの。少し暗めでありながら艶のあるガーネット色の肉色でパルマハムの香りを持つ。と畜の時期は約15歳で、特選品は6週間を越える熟成を受ける貴重な肉。

日本進出の理由と今後をユーゴ・デノワイエさんに訊いた

恵比寿にオープンするこの店は、「ユーゴ デノワイエ」としては3店舗目、海外進出としては第一号だ。
なぜ日本に出そうと思ったのか、来日していたユーゴ・デノワイエさんにその理由を訊ねると、日本は世界でも一番難しい市場だからだという。
日本人が食に対する要求が高く、食品に対するこだわりが強いということ、そして国として衛生面やその他において難しいという両面において難しいからこそ、あえて挑戦しようとしたのだという。

12年前から来日し、生産者や産地を回っていたし、2年半前からは日本で仕事して、日本の文化を深く理解できたということも大きい。ビジネス・パートナーである、アイウエア・デザイナーのアラン・ミクリからのアドバイスもあった。またパリ16区で展開しているターブルドットを併設する新しいスタイルのショップの成功など様々な要因が重なったからだという。

料理についての詳しい話は、明後日配信予定のdressingで詳しく解説するが、この恵比寿の店舗では予約の要らない1階では小皿料理、2階はシンプルな肉料理を提供するメインダイニングというもの。パリの店でもそうなのだが、決して肉料理だけでなく、ベジタリアンにも対応しているし、ベジタリアンの顧客が意外なほど多いという。

シェフとして招聘された齊田武さんは、恵比寿の「シャトーレストラン ジョエル・ロブション」でそのキャリアをスタートしたのち2004年に渡仏。パリ14区の「la Maison Courtine」などを経て、肉料理の名店として名高く、京都「Le14e」の茂野シェフや六本木「祥瑞」の古賀シェフなども活躍した「Le Severo」で4年半に渡り肉と肉の調理を学んだ人物。その後、パリの「ユーゴ デノワイエ」に入り9カ月の間、肉について徹底的に知識を叩きこまれたという。

そんな布陣で11月4日(水)オープンを迎える「ユーゴ デノワイエ恵比寿店」。
駒沢通り沿い、デノワイエさんがひと目で気に入ったという、視界が開けた、パリを思わせる環境で展開される肉料理の数々。
東京の肉シーンがまた大きく変わるかもしれない。


写真/岡本 寿(ユーゴ・デノワイエさんインタビュー写真)

Hugo Desnoyer(ユーゴ・デノワイエ)

住所
〒150-0022 東京都渋谷区 恵比寿南3-4-16アイトリアノン1・2F
電話番号
03-6303-0429
営業時間
1F:11:30~15:00(L.O.14:00)、ティータイム14:00~18:00(~15:30ハンバーガーなどの軽食や冷製タパスなど、15:30~冷製タパスなど)、18:00~23:30(L.O.22:30) 2F:11:30~15:00(L.O.14:00)、18:00~23:30(L.O.22:30) 
定休日
定休日 月曜
公式サイト
http://www.hugodesnoyer.jp

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。