武蔵小山の再開発でその行方が心配された大人気店、ついに復活!

【連載】幸食のすゝめ #012  食べることは大好きだが、美食家とは呼ばれたくない。僕らは街に食に幸せの居場所を探す。身体の一つひとつは、あの時のひと皿、忘れられない友と交わした、大切な一杯でできている。そんな幸食をお薦めしたい。

2016年02月20日
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武蔵小山の再開発でその行方が心配された大人気店、ついに復活!
Summary
1.貴重な昭和レトロの香りが漂っていた武蔵小山
2.スナック街の中にまさに輝いていた"星"
3.店舗も料理もパワーアップして再開

幸食のすゝめ#012、イノセントな好奇心には幸いが住む、武蔵小山。

ハンガーラックの前に立つより、コの字カウンターの中に居たかった。九州・熊本出身のエキゾチックなイケメンと、下町・亀戸育ちのクールビューティ。文化服装学院ファッションビジネス科、同じ学校の1つ違いだった黒田くんと佐藤さんは、卒業後に共通の友人を通して出会い、意気投合。週末には、下町の大衆酒場を巡るようになった。1人はイタリアンのデリ、1人は人気ホルモン店で修業。やがて、スナックが建ち並ぶ武蔵小山の迷宮、「飲食店街りゅえる」のど真ん中に豚星を開店。昭和レトロな街の空気に、新しい句読点を打った。

『東京のしゃれた町並みづくり推進条例』という、“洒落てない”条例の犠牲

「自分たちらしい大衆酒場って何だろう?」
2人で何度も考えた。
その解答は、白を基調としたシンプルな内装と、ビストロでは定番の大きな黒板メニュー。でも、コの字カウンターだけは死守した。
「清潔感と好感度」
飲食業界の鉄則は、もつ焼き界では珍しかった。油だらけで汚い店舗、愛想がない無骨な親父、黙々と串を平らげる従順なお客たち。マイナス要素が良しとされるもつ焼き業界に打って出た爽やかな革命の噂は口コミで広がり、豚星は連日超満員の人気店になった。

その勢いに水を差したのは『東京のしゃれた町並みづくり推進条例』という、ちっとも洒落てない都の条例だった。

すべてが充実して進化

そして今年のヴァレンタイン、昨年9月に立退きで消えた豚星がパワーアップして帰って来た。
場所はパルム商店街と交差する銀座通りアーケード、雨の日も傘をささずに店まで辿り着ける。席数も、店舗もほぼ2倍。しかし、単にキャパが増えた訳ではない。前の店では厨房の都合で出せなかった料理メニューも登場、ワインや焼酎のラインナップも充実した。新たに料理スタッフには、2013年に惜しまれつつ閉店したホルモンイタリアンの旗手、目黒『コッキーナ』の渡辺さんが参加。もつ焼きヌーヴェルバーグのアイコン佐藤さんに渡辺さん。東京モツエンヌ界のトップの出会いは、新たなるドラマを予感させる。

炭火でもつが焼き上がるのを待つ間には、豚星サラダという新顔が待っている。柔らかくボイルしたハチノスと、ミントやパクチーなどの香味野菜が爽やかなドレッシングでまとめられている。カラスミのパウダーがまぶされたフライドポテトも、各種のもつ焼きの間の美味しいアクセントになるだろう。

スパイスが効いたシシケバブや、鶏のせせりなど、もつ焼きもバラエティが増えて選択に迷う嬉しさ。ここでしか出逢えない至福、シロとアブラのタレ・コンビも外せない。〆のメニューとして、鯛のジャガイモ包み香草パン粉焼き、豚バラ肉とホホ肉のボリートも加わった。豚のもつ焼き屋さんから、ホルモンに特化した無国籍トラットリアへ。もつ界のニュースタンダードが誕生した。

もつ焼きファンを急増させるエンターテイメント

ドリンクは、大葉と鷹の爪が爽やかな金魚や、焼酎版ブラッディーメアリーの辛トマなど個性豊かなラインナップに加えて、ショーケースから自分で選ぶボトルワインも常時5種以上。グラスワインのほか、ポロンでも楽しめる。生ビールはハートランド、ラガーとギネスの小瓶。女性同士やカップルなど、もつ焼き屋らしからぬ豚星の客層はますます広がっていくに違いない。恋人同士から家族連れまで、もつ焼きをシェアしながら気軽に楽しむ人たちが増えたのは豚星の大きな功績だろう。

しなやかな感性とクールな批評眼の快進撃

九州男児ならではの上質なもつ焼きへの情熱と、都会的な文化への熱い憧れ。そこに東京下町のクールなバランス感覚が加わって生まれた豚星の奇跡。長年2人が愛し、通い詰めた都内の名店のエッセンスを咀嚼し、豚星ならではの逸品として昇華させる柔軟な感性と研究心。頑固一徹の石頭な先輩たちには真似のできない、イノセントな謙虚さと好奇心で増え続けるメニュー。そこに更に、ホルモン料理の名手が加わった新生豚星の進化はいつまでも続いていくだろう。イノセントな好奇心には、幸いが住んでいる。

<メニュー>
もつ焼き130円~、ハートランド生500、各種サワー390円、豚星サラダ800円(お一人様のみ5,00円)、カラスミポテトフライ600円、ボトルワイン2,900円~
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です。

※森一起さんのスペシャルな記事『幸食秘宝館・武蔵小山、グルメランキング上位には載らないホントウの名店3軒を巡る』はこちら

豚星(ブタホシ)

住所
〒142-0062 東京都品川区小山4-3-6
電話番号
03-3787-1224
営業時間
17:00~23:30(L.O.23:00)
定休日
定休日 月曜
公式サイト
https://twitter.com/butahoshi

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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dressing編集部

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小田中雅子
ライター