「ドンペリ」が06年、サロンでさえ04年なのに現行ヴィンテージが2000年の1本とは?

【連載】金曜日のシャンパーニュ week14  ここ数年、シャンパーニュを飲む人が増えている。香り、味わい、爽快感…他の「泡」では得られない満足感はシャンパーニュならでは。そこで、ちょっとリッチに過ごしたい金曜の夜に飲みたいシャンパーニュを日本を代表するワインジャーナリストでシャンパーニュ通として知られる柳忠之さんにセレクトしていただいた。

2016年03月18日
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「ドンペリ」が06年、サロンでさえ04年なのに現行ヴィンテージが2000年の1本とは?
Summary
1.クルマならロータス? 職人気質なメゾン
2.ランスなのにシャルドネハウスで寿司に合う味わい
3.ドン・ペリニヨンやサロンを比べても異例の長期熟成

もう10年近く前の話だけれど、自動車ジャーナリストの西川淳さんと一緒に、プレミアムシャンパーニュをプレミアムカーに喩えるなら……という企画が某料理雑誌であった。その時、西川さんがロータス・エキシージに喩えたのがアンリオのキュヴェ・アンシャンテルール。職人気質の造りから、ロータスに決まったと記憶している。

シャルドネの比率が高い理由

シャルドネの比率が高いことを自慢気に語るメゾンは多い。それもそのはずで、シャンパーニュ地方における主要3品種の栽培比率は、ピノ・ノワール、ムニエ、シャルドネがほぼ3分の1づつ。黒ブドウと白ブドウの比率にすれば、大ざっぱにいって7対3だ。だから唯一の白ブドウであるシャルドネの比率が高いことは、メゾンにとって一種のステータスなのである。
その昔、ランスを拠点とするメゾンがシャルドネを確保するのは容易でなかった。シャルドネの聖地、コート・デ・ブランはランスから30キロほど離れている。今なら車で30分も走れば一番近いシュイィに着くが、馬車しか輸送手段のない時代のことを想像してみて欲しい。ヴーヴ・クリコやマムのようなランスのメゾンが、ピノ・ノワール主体なのは当然の成り行きなのだ。

ところがアンリオはランスにありながら、シャルドネ優位を貫くシャルドネ・ハウス。ノンヴィンテージのブリュット・スーヴェランでさえアッサンブラージュの半分近くをコート・デ・ブランのシャルドネが占める。なぜだろうかと同家の歴史を辿ってみたところ、その理由らしきものが見つかった。1880年、3代目当主のポール・アンリオがマリー・マルゲと結婚。このマルゲ家がコート・デ・ブランにブドウ畑を所有していて、持参金代わりにメゾンへ贈られたそうな。そのおかげもあって、今日のブリュット・スーヴェランはエレガントでデリケートなスタイル。和食にはぴったりだと思う。

現行ヴィンテージは2000年!

さて、アンリオのキュヴェ・アンシャンテルールはこれまた別格のキュヴェ・プレステージュである。グラン・クリュのピノ・ノワールとシャルドネのみから造られ、現行ヴィンテージは2000年。ドン・ペリニヨンがそろそろ2006年に切り替わり、あのサロンでさえすでに2004年という事実を鑑みても、異例の長期熟成。アンリオはサン・ニケーズの丘のクレイエールという、ガロ・ロマン時代に石灰石が切り出された回廊を地下カーヴにもつメゾンのひとつ。よほど熟成に向いたコンディションが保たれるのだろう。かつて、元社長のスタニスラス・アンリオが持参した59年のヴィンテージを味わったことがあるが、奥行きといい深みといい、この上なく壮大な味わいに心底驚いたものだ。

おっと、話が少しずれた。というわけで、アンリオを味わうのに相応しいお店といえばここ、銀座の江戸前寿司「からく」だ。ご主人の戸川さんは江戸前寿司とワインとのマッチング探究者としてつとに知られる人物。「ブリュット・スーヴェランは光り物のコハダ。ウニとも相性がいい」とおっしゃる。ブリュット・スーヴェランはグラスでもサービス。キュヴェ・アンシャンテルール2000年もオンリストされている。

<『鮨からく』での価格>
スーベラン
グラス1,800円
ボトル12,000円

アンシャンテルール
ボトルのみ32,000円

※柳忠之さんのスペシャルな記事『キンメリジャンがワインに何を与えるのか?~ワインマニアのためのテロワール講座その1~』はこちら

鮨からく

住所
〒104-0061 東京都中央区銀座5-6-16 西五番館ビルB1
電話番号
03-3571-2250
営業時間
12:00~14:00、17:30~22:00、土・日12:00~15:00、17:30~21:30
定休日
定休日 祝日
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/e490100/
公式サイト
http://ginza-karaku.com/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。