【餃子旅】イタリアにも「餃子」があった!? 餃子マニアが見つけた魅惑の水餃子がおいしすぎる!

餃子で巡る世界の旅in東京 #02

2016年06月09日
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【餃子旅】イタリアにも「餃子」があった!? 餃子マニアが見つけた魅惑の水餃子がおいしすぎる!
Summary
1.イタリア料理に、見た目も食感もまるで水餃子のようなメニューがあった!
2.「餃子」もおいしい!三軒茶屋『ペペロッソ』で、フリウリ地方のイタリアンに舌鼓
3.クック井上。流、美味しい店を発掘するコツを読者に伝授

こんにちは!料理芸人の「クック井上。」です。dressingで【餃子で巡る世界の旅in東京】を担当しています!料理は食べるのも作るのも大好きですが、中でも一番こだわりがある料理が餃子。今までの人生で食べてきた餃子はざっと2~3万個でしょうか。僕が東京で食べた中で一番印象深かった東京の餃子については、第1回目の記事を読んでくださいね♪

■三軒茶屋のイタリアンにある「餃子」とは・・・

今回ご紹介するのは、イタリアの「餃子」です。“イタリアンなのに餃子?”と思った人もいるかもしれません。もちろん料理名は「餃子」ではないのですが、「皮で何か餡を包んで“焼く・茹でる・蒸す・揚げる”など、加熱調理をした料理」は、大きく見れば“餃子の仲間”ではないでしょうか。その基準で世界を見渡すと、世界には実に沢山の個性的な「餃子」があります。

それでは【餃子で巡る世界の旅in東京】2回目、初の海外へ行ってみましょう。三軒茶屋駅にあるイタリアの餃子の旅へGO!

東急田園都市線三軒茶屋駅南口から徒歩3分。やってきたのは、赤い屋根が目印のイタリアン『ペペロッソ』。僕のメガネと色がマッチしていますね。

『ペペロッソ』は1986年に創業し、昨年7月にリニューアルオープン。イタリア各地の料理を扱い、気軽にイタリアンを楽しめるのがコンセプトなのだとか。

清潔感があってとても可愛らしい店内は結構広めで、テーブル席とカウンター席を合わせて60席ほど。置いてある小物もとてもこだわっていて、まるで本当にイタリアのリストランテ、いやもっと家庭的なオステリアに迷い込んだよう。女子はテンション上がるだろうな~。
個人的には、テーブルから厨房の中の方が見えて、躍動感&臨場感にテンションが上がりました♪

総料理長は、東京・広尾にある人気のイタリア料理店『incanto(インカント)』から独立された、今井和正シェフ。シェフを筆頭に、男から見ても男前なスタッフさんばかりで、おそらくこれにも女子はテンション上がりますね! 要チェックですよ~♪

■イタリアの餃子といえばラビオリ…!?

日本人が想像するイタリアの餃子っぽい食べ物といえば、おそらく「ラビオリ」ですよね。こちらは「ラビオリの牛を詰めた“アニョロッティ”鴨のラグービアンコ添え」

チーズの香りがいいですね。つるっとした四角い皮の中に、コンビーフのような煮くずしたホロホロ牛肉と、濃厚なソースが詰まっています。閉じていなかったら、ラザニアのような風味。

添えられた自家製の天然酵母のイタリアパン2種は、外はパリっとした噛みごたえがあり、中はもっちり。噛めば噛むほど、小麦の甘みが出てくる!

ラビオリのお供には、イタリアのスパイスの入った黒ビール・Birrificio Grado Platoの「CHOCARRUBICA(チョカルビカ)」。合う~!
お酒と一緒に味わうことで、ラビオリが完成形になりますね。

ただ、今回僕が紹介したいイタリアの「餃子」は「ラビオリ」ではないんです! 見た目も包み方も、もっと餃子っぽい、まさにイタリアの「餃子」と呼びたい料理があるんです!

■見た目も食感もまるで水餃子!? イタリア北部発祥「チャルソンス」のギャップに萌える

それが、「チャルソンス(Cjarsons)」というパスタ。

どうですか!? もう見るからに水餃子の形してるでしょ? チャルソンスは、イタリア北部フリウリ地方の郷土料理。日本のイタリアンレストランでもあまり馴染みがないので、知らなかった方も多いと思うのですが、それも無理はありません。実はイタリアでも、あまりメジャーではないらしく、『例えばナポリなど南部の人たちは、この料理の存在すら知らないかもしれません』と今井シェフ。
日本でも郷土料理として聞いたことはあっても食べたことはない料理って沢山あるけど、それと似ているんだろうな。今井シェフによると『大体、イタリア人は自分の住んでいるところ以外の地方にあんまり興味がないんです』とのこと。エピソードがイタリア人らしい(笑)。

ラビオリよりももっちりしたパスタ生地を1枚の皮に見立て、水餃子のような半月型に包んでから、飾り細工を一つずつ丁寧に施していきます。飾り細工のデザインはさまざまあるそう。

この皮の材料は、強力粉と塩と水で、卵は使っていないといいます。これらを1日かけてしっかりと練り上げ、一晩寝かせることでグルテンを引き出し、もっちりした食感を生み出すのだとか。またこうすることで熟成香が出てきて、うまみにつながります。まさに、真のスローフード。

そんな皮に包まれた中の餡はお肉ではなく、なんとペースト状にしたジャガイモとドライイチジク! それをシナモンやカカオ、塩、砂糖、バターなどで味付けして、砕いたクルミ、ミントの葉、リコッタチーズ、さらに砂糖をまぶして完成です。

あの・・・、もう作り方を聞けば聞くほど、皆さんが思い描く「餃子」と違いすぎて、何がなんだか訳がわからないでしょ? 味の想像がつかないでしょ?


さぁ、さぁ、さぁ「チャルソンス」は一体どんな味なのでしょうか?
レポートしますよ! いっちゃっていいですか? いっただきます~♪

う~んっ、うまーい♪これこれ! 僕が紹介したかったのはこれです!

つるっともちっとした皮は、ひだの部分が肉厚になっていてほどよい食感も舌触りもまさに水餃子! だけど、ソースが甘じょっぱい焦がしバター!
その味は、まるで上品なみたらし団子のタレで、そこでひとつ目の混乱。
そんな混乱の中、噛むと舌にとろっと絡むようなじゃがいもの餡がお出まし、舌に乗せると、その向こうにさり気なく感じるいちじくの優しい甘み。そこでまたまた混乱。

な、なんなんだ、これは・・・

水餃子っぽい見た目からイメージしていた味とのギャップ、そして幾度となく押し寄せる経験したことのない感動に頭が大パニック。
なのに不思議と全ての材料が混然一体となっていて、絶妙な味のハーモニーを奏でている!
水餃子にフォークとナイフを入れるという違和感、さらに餃子なのに口に入れた時にほんのり甘いという違和感。これが、決して嫌な違和感じゃなくて、不意を突かれた感に目をまんまるにしてときめいちゃう感じ!
おそらく、そうは見えなかった男性に急に優しくされて女子が“ギャップ萌え”するのに似ていますね。
『チャルソンスに抱かれたい!』と思っても不思議ではありません(笑)。
ああこのお皿に余ったソースさえも、天然酵母のイタリアパンにつけて食べ尽くしたい!

僕なりにまとめると「チャルソンス」は僕たちの知っている餃子の概念を覆す、ほんのり甘~い“ギャップ萌え”する餃子なんです!

あー、ようやく冷静になった・・・。

ちなみに、チャルソンスはスイーツでもデザートでもなく、れっきとしたパスタ。フリウリ地方では母から娘に受け継がれてきた料理で、今では田舎へ帰省したときに食べる、いわゆる“おばあちゃんの味”として親しまれているんですって。それから、フリウリ地方にあるtimau(ティマウ)という村では、チャルソンスで地域活性化を図っていて、チャルソンスを扱ったお店のマップもあるそう。

さて、チャルソンスには、果物を食べているような甘さを感じるフリウリの白ワイン「VERDUZZO FRIURANO d.o.c/ PITARS(ヴェルドゥッツオ フリウリーノ/ピタルス)」がオススメだとか。チャルソンスと白ワインで、一気に優雅な時間が流れ始めました。

■チャルソンスとの出合いは、愛食家の友人のすすめだった

小学校からの親友で、海外のクラブチームで活躍していた、とある日本人サッカー選手の専属トレーナーだった奴がいるのですが、本当に美味しいお店を知っている奴でして。今でも定期的に連絡を取って、お互いにオススメのお店に連れて行ったり連れて行かれたりする仲なんです。

4、5年ほど前だったでしょうか、そんな彼に『クック井上。に食べさせたいものがあるんだ!』と当時、外苑前にあったイタリアンに連れて行ってもらいまして。そこで出会ったのがこの“ギャップ萌え”の「チャルソンス」だったんです。どんな見た目なのかもわからず注文したのですが、お皿が運ばれて来て驚きました。『おいおい、これ餃子じゃん!』『甘いよ!なんだこれ!』って(笑)。

■クック井上。流、自分だけの美味しいお店の見つけ方

最近『クックさん、どうやったらおいしいお店を発掘できるんですか?』とよく聞かれるのですが、ずばり“愛食家”の友だちを持つこと。
決して、“美”食家ではなく“愛”食家。これはあくまでも僕のイメージですが、美食家は、高くてもいいから美味しいものを食べる、あのお店が話題だから食べに行くというイメージがある。対して愛食家は料理を愛していて、お店を愛していて、さらに料理のストーリー、シェフのストーリー、お店のストーリーを愛している。そういう人からのお誘いが数珠つなぎになって、今の僕ができたのかなと思います。美味しいお店を発掘したければ、“愛”食家の友だちを作ってください。そうすると、世間の評判・点数・評価・口コミには表れない、本当に愛すべきお店&お料理に出会えるはずです♡

■餃子以外のメニューもおいしい! コスパが良すぎて驚くレベル

チャルソンスだけでも、僕はすっかりイタリア郷土料理店『ペペロッソ』の虜になってしまいました。が、せっかくなので、もう1品だけ食べてもいいですか? ということで「牛ハツのグリル山間仕立てのマスタード添え」をオーダー。やっぱり肉は食べないと♪

牛ハツは脂身が少なく、サクサクという歯ごたえがクセになりそう。スモーキーな香りがアクセントになっていて、ソースはフルーティーでプルーンのような味わい。
今井シェフによると、国産牛のハツをりんごの木のチップで燻製させ、さらに絞ったブドウの果汁ジュースを煮詰めてできた「モストコット」というイタリアの伝統的シロップで味付けしているんだそう。ちなみに、ブドウの果汁を煮詰めないで発酵させると、バルサミコになるんですって。モストコットは発酵していないので酸味がなく、さらに濃度が高いんです。またバルサミコに比べ、作るコストがかからないので安くておいしいと評判。いま注目を集めている食品で、これから日本でも人気になること間違いなしだそう。

それにしても、この味でこのボリュームで1,580円ですよ。コスパ良すぎでしょ! こりゃすごいわ。ってか、山岳地帯って案外いいもん食ってるな(笑)。

この肉料理にオススメされたのが、「TAURASI RISERVA RAJAMAGRA 2007/ VINOSIA (タウラージ リセルヴァ ラヤマグラ2007)」という赤ワイン。料理に合わせたワインで、樽の香りがしっかり染みついています。ほどよい渋みがたまらないですね。ワインはすべてがメニューに載っているわけではないので、気になったらスタッフさんに聞いてみて下さいね。

■500種類以上のラインナップ! ワイン好きも唸る品揃え

イタリア郷土料理店『ペペロッソ』はワインとイタリアンビールも充実しているんですよ。倉庫に保管しているものも含めると、なんと500種類以上! メジャーな物はほとんど置いていないそうで、オーガニックワインやクラフトビールなど、基本的に手作りで、レアなものを揃えているそう。通常ワインといえば750ミリリットルのボトルですが、1.5リットル(マグナムボトル)や5リットルなど、大型のボトルも多数用意しているそうです。

特別にシェフにお願いして、どんなワインがあるのか教えてもらいました。

(左から)
1.VINO SPUMANTE DI QUALITA BRUT METODO CLASSICO 2014 /
DONNAFUGATA(ヴィーノ スプマンテ デ クアリタ ブリュッ メトード クラシッコ 2014/ドンナーフガータ・泡1.5リットル・マグナム)
2.DEDICA 2010/MARTILDE(デディカ2010/マルティルデ・白)
3.BAROLO 2010/FRANCO MOLINO(バローロ2010/フランコモリーノ・赤・マグナム1.5リットル)
4.BAROLO 1978/MARIO MARENGO(バローロ 1978/マリオ マレンゴ・赤)
5.CHANTI CLASSICO 2012/ Rocca delle Macie(キャンティ クラシコ2012/ロッカデッレ マチェ・赤・マグナム5リットル)

ワイン好きは興奮しちゃいました? 他にも、イタリアのリキュールなど、ラインナップが豊富です。

■イタリアの餃子はまだまだあった!? また『ペペロッソ』に来なくちゃ

【餃子で巡る世界の旅in東京】という企画なだけに、餃子を追い求めたら、イタリアのこともいろいろ知れちゃいました。これぞまさに旅ですね。

『ペペロッソ』には、熱烈なファンの愛食家さんがいて、中には毎週来店する人もいるとのこと。週替わりのおすすめでは、「SCAPRINOCC(スカプリノック)」「SCHLUTZKRAPFEN(シュルッツクラップフェン)」という、チャルソンスとはまた別の“餃子っぽいパスタ”が登場することもあるんですって。おいおい、これは餃子好きとしては必ずや再訪しなければ!

いやー、本当に素敵なお店だった。
さて、お次はどこの国に旅して、餃子を食そうか・・・
次回【餃子で巡る世界の旅in東京】3回目もお楽しみに。

<メニュー>
・ラビオリ 2,100円
・チャルソンス 1,380円
・牛ハツのグリル山間仕立てのマスタード添え 1,580円
・Birrificio Grado Plato/CHOCARRUBICA(チョカルビカ) 1,200円
・VERDUZZO FRIURANO d.o.c/ PITARS(ヴェルドゥッツオ フリウリーノ/ピタルス) グラス900円
・TAURASI RISERVA RAJAMAGRA 2007/ VINOSIA (タウラージ リセルヴァ ラヤマグラ2007) グラス1,800円
※価格はすべて税別

編集協力:名久井梨香
撮影:河島彩

ペペロッソ(PepeRosso)

住所
東京都世田谷区太子堂1-12-23
電話番号
050-3374-4375
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
営業時間
11:30~15:00
(L.O.14:00)
17:30~24:00
(L.O.23:00)
定休日
日曜日
ぐるなび
http://r.gnavi.co.jp/76unxedw0000/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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森一起
ライター/作詞家/ミュージシャン