グルメ界で早くも話題! 広尾・日赤通りに誕生した、1日8人限定の超プライベートレストラン『Si』

2016年11月04日
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グルメ界で早くも話題! 広尾・日赤通りに誕生した、1日8人限定の超プライベートレストラン『Si』
Summary
1.美食エリア広尾にオープンした、1日8人限定の超プライベートレストラン『Si(シィ)』
2.こだわりのドリンクとともに楽しむ肉を中心としたコース料理
3.「料理をデザインする」建築家とプロダクトデザイナーという異色の経歴を持つシェフ

広尾駅4番出口から徒歩5分、緑のカーテンが心地よい閑静な住宅街・広尾ガーデンヒルズを抜けると、広尾の日赤通りが広がる。ここは、食の名店が立ち並ぶエリア。美食家たちが集う場所だ。そんな美食通りに今年8月にオープンしたのが、レストラン『Si(シィ)』である。

1日8人限定の超プライベートレストラン。シェフの渡辺史門氏は建築家とプロダクトデザイナーという異色の経歴を持つ。グルメな人には、興味をそそられるポイントが多い。期待と想像が膨らむレストラン『Si』に早速、行ってみた。

重厚な扉を開けると目の前に飛び込んでくるのは、和と洋が組み合わさったモダンな雰囲気の空間。開放感のあるオープンキッチンカウンターにしっとりとした照明が妖艶な雰囲気。この空気に酔いしれながら、アルコールのペアリングのコースをいただくことにした。

メニューは、アルコールのペアリングコース、ノンアルコールのペアリングコースの2つのみだ。(木曜日と土曜日はアラカルトのみとなる)

まず、はじめの一品は、スペルト小麦(パン小麦の原種にあたる古代穀物)を煮たシンプルなスープ。運ばれてくると、ほのかに甘みのある小麦の香りが広がる。

スープは、程よい塩気と香り豊かなオリーヴオイルが口に広がり、体がしっかりと温まる。小麦は、もちもちした噛み応えがあり、素朴な味ながらも力強い一品。このスープには、体と心をリセットした状態で、コースの料理を楽しんでほしいというシェフの想いがこめられている。素材のうまみを存分に味わえる喜びをかみ締めと次の品への期待が高まった。

次に出てきたのは、「酒とキャビア」。大理石のプレートの上には、光り輝く日本酒とスプーンにこんもりと盛り付けられたキャビア。塩分2.5パーセントのキャビアは、程よい塩気と磯の香りがする。

キャビアを口に含んだ状態で、ペアリングの日本酒をひと口含めば、日本酒の甘みとキャビアの塩分が合わさり上品なコクが口に広がる。日本酒がまるでソースのようだ。合わせた日本酒「加治田城」は、岐阜県加茂郡富加町の松井屋酒造場で作られている、辛口本醸造酒。渡辺さんが酒蔵めぐりをしていた際に出会ったお酒で、純米酒、本醸造酒しか作ってない古風な作り手にも惚れ込んだそうだ。すっきりとした飲み口で、料理に寄り添う香り豊かな一杯だ。

帆立や分ネギのグリルが鮮やかな盛り付けの「NUTA」は、西京味噌とレモンとオレンジの香りの効いたオリーヴオイル、数種類のみりんをつめて甘みを抽出したソースでいただく。ソースを素材につけて口に含めば、草原を彷彿させる爽やかな風味が広がる。肉厚の帆立は軽くソテーしてあり、香りとうまみが凝縮された帆立貝の紐の乾燥チップが散りばめられている。野菜の甘みと磯の香りが合わさり、想像を超える進化した「ぬた」が楽しめる。

これに組み合せるワインは、「Soave Classico Grisera」。黄色みの強い、透き通った自然派のワインだ。イタリアのモンテフォルテ・ダルポーネの丘の火山性土壌と粘土質土壌で育った良いブドウのみ選果しソフトプレス、自然発酵しているという。澄んだ1番絞りの果汁のみを澱と共に長く置き、天然の酵母の力を最大限生かしたワインは、とてもリッチで調和のとれた味わいである。「NUTA」とともに味わえば、いろいろな味が交錯して面白い。素材の味をさらに引き立ててくれる贅沢な一杯だ。

次に出てくるのは、シェフ自慢のフランスの郷土料理「ブーダンブラン(上)」と「ブーダンノワール(下)」だ。鮮やかなブルーのお皿に盛り付けられ、その美しい見た目に女心がくすぐられる。ブーダンブランは、背脂、肩ロース、牛乳、今季はポルチーニを使用。ナイフを通せば、中からクリーミーな肉のペーストが溢れ出てくる。ムースのような柔らかさとコクは、まさに至福の食感だ。一緒に添えてあるのはレンズ豆。素材のうまみとほくほくの食感があり、ブーダンブランの滑らかな食感をより引き引き立ててくれた。

エゾジカの血を使ったルビー色の「ブーダンノワール」は、国産リンゴのピュレが添えられており、肉のうまみとリンゴの甘さのコントラストが絶品であった。

これに合わせる一杯は、「ビアンコ アンソニカ(サンタ・マリーア)」。アンソニカ種の白ブドウを、自然の力を引き出すため果皮ごと漬け込む、いわゆるスキンコンタクトを行った白ワインで、オレンジっぽい色をしている。

このワインは、トスカーナ南西部の海に程近い地域で作られたブドウの自然派ワイン。ボルドー液さえも使わずにブドウを栽培し、醸造・瓶詰めまで、いかなる過程でも一切の二酸化硫黄を使用せずに瓶詰めを行っている、自然界の絶妙なバランスがいまだ存在するワイン。ほんのり甘みの滲むうまみとわずかなスパイシーさが、力強い生命力が閉じ込められているブーダンノワールによく合う一杯だ。

コースのメインの2品の肉料理は個性豊かなラインナップ

メインの肉料理は、ライブ感あるカウンターで、シェフが調理する様子を眺めながら出来上がりを待とう。コースでは、メインの肉料理は二品。どちらもとても食べ応えのある内容だ。

まずは、美しいサシの入った倉石牛のシンタマがシェフの手によって極上のグリルになる。

160℃でじっくり焼き上げられたシンタマが、シェフによってリズム良く、切り分けられていく。グリルしたタマネギやジロール茸、トマトとともに、まるで建築物のように美しく盛り付けられていく。味付けは、シンプルに塩だけ。無駄な味の重ね方は行わず、素材のうまみがグッと感じられる味付けにしているそう。

シェフがここでおすすめするワインは、「イル・セコンド・ディ・パーチナ(パーチナ)」。野生酵母を使ってのマセレーション、発酵の後に500から700リットルの樽へと移し、ボトリングまでの期間は一回も樽の移し替えを行わず、ノンフィルターでボトリングされたワインだ。力強い赤ワインだか、シンプルな肉料理に寄り添うバランスのとれた味わいで、口の中で味の変化を楽しむことができる。

2品目の肉料理は、美しく火入れされた鴨。鴨から出た脂でソテーされたネギが添えられる。この日は、ソースは塩と香りが広がる蜂蜜だった。しっかりと感じる肉本来の甘みをもった脂身はそのまま食べても重すぎない。

合わせるワインは「BARBERA D'ALBA」。300年前から代々ロエロでブドウ栽培をしていたボルドーネ家が、十数年前から父と息子兄弟でワイン造りを始めた。90歳近いお父さんがブドウ栽培から情熱を込めて行うワイン造りは、上質で落ち着いた風格の味わい。舌の上で少しの苦みを感じる酸の強さが鴨の味を覆い包み込んでいく。

『Si』のコンセプトは「無垢」と「調和」

「デザイン、設計をやるものとして、無垢材と自然素材にこだわってきた。その感覚と料理も同じ」と話す渡辺さん。料理は、素材そのもののおいしさを活かすため、できる限り味の種類をシンプルにし、刺激の強い調味料を控えた味付けに仕上げている。将来的には塩さえも使わない料理に挑戦したいと考えているほどだ。

一皿の上のみでの成立ではなく、合わせる飲み物、前後左右にわたる流れ、さらに器、人、空間を含めた、心地の良い調和がコース料理を通じて体験できる。
渡辺さんの生み出すペアリングは、ドリンクが食べるものの輪郭を浮かび上がらせるツールとなり、ときには料理のソースにもなるのだ。

このこだわりから、既成概念にとらわれない独創的な素材とその可能性を愉しむため、メニューは1日8人限定コースで勝負している。

料理ははじめ、仕事とプライベートをリセットする儀式のようなものだった

「建築の仕事をしている際に料理は自分の感覚をリセットする、リハビリのような行為だった」と話す渡辺さん。もともと、お酒、料理が好きで人に料理を振る舞っていたそうだ。それから、イタリアを中心とした国を周り、独学で料理を研究し、現在の『Si』を立ち上げている。

『Si』という店の名前は、史門の「si」と、立ち上げた会社名の「4」(クアットロ)を掛け合わせ、お客様とつながる意味の「+」がゴロに潜んでいる。クリエイティブな意味を込められた紋様のようなロゴ。料理の素材と同じで、見えないところにこそ手をかけるシェフの心遣いが感じられる。

料理をデザインする新感覚のレストラン『Si』。早くも話題店となってきているが、幸福感に満たされるこの感覚を是非味わってほしい。
(取材・文/矢野詩織)

メニュー
アルコールペアリングコース:15,000円(税込)
ノンアルコールペアリングコース:15,000円(税込)
※木曜日・土曜日のみコースなし、アラカルトのみ

Si(シィ)

住所
〒107-0062 東京都港区南青山7-14-6 本間ビル 4F
電話番号
03-6451-1572
営業時間
19:30~22:30 (LO.22:15 ドリンクのみ) コース料理 /19:00-23:00 (LO.22:30) アラカルト
定休日
火曜
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/d28kp2us0000/
公式サイト
http://www.si-4.com

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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