このパエリアだけは絶対食べたい! 美食の街スペイン・バスク仕込みのパエリアが大評判の吉祥寺『PEP』

2017年01月23日
カテゴリ
レストラン・ショップ
  • レストラン
  • 東京
  • 吉祥寺
  • スペイン料理
  • バル
このパエリアだけは絶対食べたい! 美食の街スペイン・バスク仕込みのパエリアが大評判の吉祥寺『PEP』
Summary
1.雑居ビルをリノベーションした隠れ家スパニッシュバル
2.過去・現在・未来の時間軸で表現される本格スペイン料理
3.スペイン・バスク地方で修業した本場仕込みのシェフが腕をふるう

JR吉祥寺駅周辺は様々な飲食店が軒を連ねるグルメ街。昼夜を問わず常に大勢の人で賑わうエリアだ。「住んでみたい街」としても人気の高い吉祥寺だが、この地にまた新しい飲食店がオープンした。2016年11月23日に誕生したスパニッシュバル『PEP(ペップ)』だ。場所は、繁華街から少し離れた駅の東側にある古い雑居ビルの2階。目印は、ビルの階段の脇に掲げた小さな『PEP』の看板のみという隠れ家的な店だ。

古い雑居ビルの狭く急な階段を上った先の扉を開けると、びっくり。ビルの外観からは決して想像できないコンテンポラリーな空間が広がっている。まるでニューヨーク・ブルックリンを彷彿させるインダストリアルな雰囲気だ。入り口の正面に配置された厨房の中には、スチール製の調理台をテーブルにしたシェフズテーブル(写真上)があり、ここに座ればシェフの手元は丸見えという特等席なのだ。

オープンキッチンを囲むように配置された開放的なL字型のカウンター席(写真上)は、ひとりにもうれしい。楽しそうに料理を作る様子を眺めながら、料理が出来上がるのを待つ時間は、期待感をいっそう高めてくれる。さらに店内の奥には、大きなテーブル席やゆったりとしたソファ席も用意されている。ひとりでふらりと立ち寄ることも、仲間たちとワイワイ過ごすことも可能だ。

時間軸をテーマに表現したスペイン料理に舌鼓

そんな『PEP』の料理は、「過去・現在・未来」の3つの時間軸をテーマにしている。スペインの伝統的な郷土料理を「過去・クラシック」と捉え、それを現代の価値観で再構築して「現在・モダン」とし、スペイン・バスク地方で修業したシェフの泉山光太郎さんの独特の感性を加えた新たなスペイン料理を「未来」として提案する。

例えば、写真上の「本日のピンチョス」は、本場の味を忠実に再現した伝統的な郷土料理であるタパス料理として提案する。自家製パンに惣菜を乗せたスタイルで、常時4〜6種を季節の食材を合わせて日替わりで用意している。この日の内容は、写真左から「海老とクリームチーズのピンチョス」「鶏レバーペーストとドライレーズンのピンチョス」「ビーツとピスタチオ・ハチミツのピンチョス 豆腐のディップと共に」「チョリソーペーストとモッツァレラのピンチョス」の4つ。見た目のおしゃれさに負けないおいしさで全種類制覇する人も多いとか。

シェフの地元青森の食材で未来を創造する

「おいしい野菜が食べたい!」というリクエストに応えてくれるのが、泉山シェフの地元・青森の契約農家から直送される野菜をふんだんに使用した「グリル野菜のサラダ仕立て〜シェフの地元青森より…〜」(写真・上)。お皿の上に彩り鮮やかに盛り付けられたこの日の野菜は、ビーツ、ビタミン大根、芽キャベツ、原木シイタケ、パースニップ、アピオス(ほど芋)、紅くるり大根、アスパラ菜(オータムポエム)、プチベール、トレビス、ガーデンクレス(コショウ草)の11種類をシンプルにグリル。四季が育む野菜は、その日の仕入れで内容が変わる。珍しい野菜も多く、新しい発見が詰まった「未来」を表現した一皿だ。

一緒に添えられた、きれいなオレンジ色のソースは、スペイン・カタルーニャ地方の伝統的なロメスコソースというもの。カタルーニャの名産でもあるアーモンドに、たっぷりのオリーブオイル、トマト、ニンニク、パプリカを合わせて作るトマトベースのクリーミーなソースだ。

写真上の「江戸前穴子のフリット カレーエマルジョンソース」は、現代の価値観で再構築して提案するモダンなタパス料理。外はカリカリ、中はふわふわの江戸前穴子のフリットの下には、フレンチの定番の付け合わせであるジャガイモのピュレ、クリーミーでスパイシーなカレー風味のソースをアクセントに添える。イタリアンやフレンチの要素を取り入れた人気メニューだ。

ワインのツマミとして提案するパエリア

そして、やはりスペイン料理といえば、パエリアだ。写真上は「イカスミのフィデワ」。「フィデオ(Fideo)」という極細のパスタをお米の代わりに使った郷土料理で、「フィデワ(Fideua)」はカタルーニャ語で「パスタで作るパエリア」を意味する。元々は、お米を忘れた漁師がお米の代わりにパスタを使って、船の上でパエリアを作ったのがはじまりだとか。スープのうまみを染み込ませたフィデワは、外はパリパリで中はしっとりとした食感が特徴。お米のパエリアとも一線を画す濃厚な味わいで、『PEP』ではツマミとして提案している。果実味が凝縮したスペイン産の赤ワイン「EL VINCULO(エル・ビンクロ)」(写真下・右)と、ぜひ合わせてほしい。

ワインのラインナップも老舗ワイナリーの伝統的な製法で造られる “TRADITIONAL”なワインから、新鋭の若手醸造家が伝統と革新を融合させて造る “MODERN”なワインまで、スペインと日本のワインで30種類ほど揃えている。オススメは「CANTAYANO(カンタヤノ)」(写真上・左から2番目)で、20代の若き醸造家が造るオーガニックの白ワイン。ベルデホという土着品種のブドウを100%使用し、良質な酸と柔らかな果実味、豊かなミネラル感で、さらにもう一杯飲みたくなるような魅力的な味わいだ。

「現地で学んだ本物のスペイン料理に、自分らしさを盛り込んだ新たなスペイン料理を提案していきたいですね」と泉山シェフは思いを語る。

海と山の幸に恵まれたバスク地方は、日本と似ているという。沿岸部と山間部にはそれぞれ個性的な郷土料理があり、料理も素材の持ち味を生かしたシンプルな味付けの調理が多く、日本人好みの味わい。そして、米どころがあり、お米も日常的に食べる。実は、食文化に関して日本とスペインには共通点が多いのだ。『PEP』を訪れれば、スペイン仕込みの本場の味わいに魅了されること間違いない。

(撮影/浅山美鈴)

【メニュー】
本日のピンチョス 各180円
グリル野菜のサラダ仕立て〜シェフの地元青森より…〜 S 680円/L 820円
江戸前穴子のフリット カレーエマルジョンソース 680円
イカスミのフィデワ S 920円/L 1,250円
EL VINCULO(エル・ビンクロ) B 5,400円
CANTAYANO(カンタヤノ) B 5,600円
※価格は税込

PEP

住所
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-34-2 KS-3ビル2F
電話番号
0422-27-6083
営業時間
平日 17:00~25:00、土 16:00~25:00、日 16:00~23:00
定休日
公式サイト
https://www.instagram.com/pepspanishbar/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。