白飯だけで茶碗3杯はいける!割烹『松見坂 なかしま』の極上炊きたてご飯は米ラヴァーなら絶対食べるべき

2017年02月21日
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白飯だけで茶碗3杯はいける!割烹『松見坂 なかしま』の極上炊きたてご飯は米ラヴァーなら絶対食べるべき
Summary
1.早くも名店の予感! 淡島通りに誕生した割烹『松見坂 なかしま』
2.これぞ芸術! 削ぎ落とした料理に真の姿をみる
3.白飯だけでお茶碗3杯は食べられそう! おいしい炊きたてご飯とは

グルメ通なら常連になりたい、とっておきの1軒『松見坂 なかしま』

淡島通り沿いには昔から知られざる名店が多い。20年以上も続く洋食屋、星付きのフレンチ、予約が取れない隠れ家イタリアン、タレントやアーティストが集まる居酒屋など、どの駅からも少し遠く不便な場所にも関わらず、グルメ通はこぞって足を運ぶ。

そこに誕生した『松見坂 なかしま』。美しい白木のカウンンター10席の小さな割烹料理店でふるまわれるのは店主 小林大祐さんが作る8〜10品のおまかせコース。きちんと整えられた板場で料理が完成していく様を見ているとすぐにでも名店の仲間入りをしそうな予感がする。

無駄なものは一切ない、目の前で繰り広げられる料理という芸術

折敷に置かれた椀の蓋を取るとほわっと真昆布と本枯節の鰹で丁寧に取っただしが香る。「松葉ガニのしんじょうです」とひと言添えられる。口に入れる前からおいしいに違いないと確信が持てる。

なぜなら席に座ってからずっと小林さんの仕事ぶりを目の当たりにしているからだ。料理の質が高いことは板場を見ればわかる。必要なものは必要なところにあり、余計なものはない。ひとつの料理が終わるごとに元の場所に片付けられていく。できるだけ作り置きはしない。リズミカルに卵白を泡立てる音を聴きながら何が供されるのかと胸が高鳴る。

作りたてのしんじょうの椀。たっぷり入った松葉ガニの優しいうまみと、きっちり決まった吸物の味わいが見事に調和されている。

小鉢には雲丹と京湯葉。菜の花と蕨が春を感じさせ、とろみを効かせた餡を纏う。こういう定番的な和食をおいしく出せるところが少なくなったものだと感じさせられるひと皿だ。

「若狭ぐじのかぶら蒸し」にも同じことが言える。振り柚子の香りが鼻をくすぐり、淡雪のようにふわりと溶けるかぶら蒸しからひょっこり現れる百合根とキクラゲ。それらすべてを覆う銀餡にも癒される。

肉厚で程よく脂があり甘みとシコシコとした食感が他に類をみない「マツカワカレイ」は鰈の王という意味で「王鰈(おうちょう)」と呼ばれている。煮付けや唐揚げのイメージが強い鰈だが、この刺身のおいしさは格別だ。それは食材の力だけではない、小林さんの包丁の腕によるところが大きいだろう。

自慢の「海老芋」は表面がカリッとして中はホクホク。素揚げかと思うほどうっすらとした衣がつき、程よい塩加減が甘みを増す。飾りひとつないシンプルの極み。一歩間違えばただの揚げ物メニューになるところだが、むしろ高級感を漂わせているのだ。懐紙に油が1滴も滲みないのも見事な仕事である。

マシュマロのように真っ白な白子。少し焦げ目が強いかなと思ったが、逆にこのくらい焼いた方が中がとろんとして、よりコクを感じる。またこれも塩加減が絶妙なのである。あとひとふりしたらしょっぱくなるギリギリのところで味を決めている。この大きさゆえ、口に含むとミルキーな甘みと塩みがいっぱいに広がり、いつまでもこの口福の余韻に浸っていたくなる。

メインディッシュは“炊きたてのご飯”!?

実はこちらの羽釜で炊いたご飯が尋常じゃなくおいしいという噂があるのだ。このところ名店でも炊きたてのご飯に出逢うことが少なくなった。だから最近はめっぽう炊き込みご飯の方が嬉しかったりしていたのだが、こちらではコースの最後は噂のご飯だ。

おともには「ちりめん山椒」と「イクラ」と「香の物」。フライングしていただいてみると、あまりのおいしさにご飯が来る前にお代わりする勢い。「ちりめん」はふっくらと炊いてあり、味もまろやか。「イクラ」はすぐに弾けてねっとりとしたうまみに変わる。これだけで日本酒2合はいける。「香の物」はひとそれぞれ好みがあるだろうがこのやんわりとした酸味の加減には誰もが頷くであろう。

「味噌汁」もはじめにお椀をお湯で温めてからよそってくれるので、最後まであたたかいままいただける。お湯を注ぐというたったひとつのことで、こんなにも味に違いがあるのだ。気持ちをいただくということがどれほどのことなのかをしみじみ感じたのである。

米は福岡県の筑前あさくら「君不知(きみしらず)」。粒が大きめ甘くて粘りが強い。小林さん曰く新米より少し熟成させた方が良いそうで、何カ月か寝かしたこの時季くらいからがおいしくなると言う。

ひとりひとりに炊きたてのご飯を提供する。まずは10〜15分の浸水から。それ以上おくと米の糖が水に流れてしまい、うまみがすべて出てしまうそうだ。沸騰して少し蓋をずらす。しばらくして水がなくなってくるとパチパチという音が聞こえ出す。そうしたら強火で最後の仕上げをして火からおろしゆっくり蒸らす。「まずは上澄みを」と出されたのは表面の部分をすくったもの。いちばんだしみたいなものだろうか。小林さんによると上澄みは固め、底の方は蒸れてくるのでやわらかく粘りもあるようだ。羽釜で炊いた米はツヤツヤでピカピカ。ひと粒の存在感がすごい! この味を自ら失くしていたとは! いままで思いっきり底からすくって混ぜていたことが本当に悔やまれる。

努力家の店主が目指す場所は?

すべての料理がシンプル。だからこそ料理人の真価が問われる。さぞかし名店を渡り歩いてきたのかと思いきや、ほぼ独学だったと言う。小さいお店ばかりだったので基本はすべて自分でやらなければならなかった。それが今の自分を作った。

「奇を衒ったことはしない」、「創作料理はしない」、この2つは絶対守ると決めている。「料理の世界に入った時はだしがわからなかったくらいです。だからとにかく練習しました。卵焼きと桂剥き、きゅうりと大根を切るのがいちばん練習になります。包丁は練習で誰でも使えるようになりますが、火入れの感覚はセンスなので、火が使えて職人なんです」と言う。とにかく数をこなすと言い切る努力家。これからは“日本料理は高額”というイメージを払拭し、1万円ちょっとで食べて飲めるような店を作りたいと話す。この『松見坂 なかしま』であれば、その夢もきっと叶えられるだろう。

(メニュー)
おまかせコース/ 9,000円
※価格は税別

松見坂 なかしま

住所
〒153-0044 東京都目黒区大橋2-8-18 ドエル大橋1F
電話番号
03-6407-0118
営業時間
17:00〜25:00(最終入店22:00) 定休日 月曜
公式サイト
https://www.facebook.com/松見坂なかしま-1120409581378766/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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高橋綾子
フードパブリシスト