2017年1月23日、神戸・三宮に誕生した『オステリアブッコ ボロネーゼ』。こちらの店は、神戸・北野の大人気店『オステリアブッコ』の2号店だ。2015年に誕生した『オステリアブッコ』は、イタリア各地で研鑽した澤村潤一シェフが手掛ける北イタリアの郷土料理レストランだが、今回紹介する『オステリアブッコ ボロネーゼ』は、オリジナルのラグーソースを使ったボロネーゼパスタ専門店。
「本格的なイタリアンでありながら、どこか懐かしさと親しみやすさを感じられるのがボロネーゼの魅力。カレーライス専門店があるように、ボロネーゼに特化した専門店があったらおもしろいかも!」と思ったことが誕生のきっかけとなったそうだ。
ネックのビール煮込みをアレンジしたラグーソース
そもそもボロネーゼとは、タマネギ、セロリなど刻んだ香味野菜と挽肉、トマトなどを合わせた、イタリア・ボローニャ地方発祥のソースをかけたパスタ料理のこと。イタリア国内では平打ちのタリアテッレやショートパスタと和えることが多い。
そして、こちらのお店の「ボロネーゼ」のうまさの肝となるのが、こだわりのラグーソースだ。ソースは元々『オステリアブッコ』で提供していた「ネックのビール煮込み」という、牛ネックの塊肉を使った料理をベースに、澤村シェフ監修のもとアレンジしたものだ。
事前にマリネしておいたタマネギ、ニンジン、セロリといった香味野菜とトマトソースに、赤ワインや国産牛を合わせて煮込む。国産牛は脂肪分が少なく弾力があり、濃厚な味わいが特徴のネックと、サシが多いバラの2種を使うことで、ソースにうまみと深みを加えている。煮込んでいる途中でネック部分は半分取り出し、2~3日かけて弱火でじっくりと煮込む。
注文を受けたのち、このベースとなるソースを人数分フライパンに入れて、事前に取り出して保存しておいた牛を追加。さらに生クリームとチーズでコクを加える。上質な素材を使いながら、時間をかけて丁寧に仕上げたラグーソースがこうして完成する。
モチモチ食感の生パスタは『淡路麺業』の3種を用意
合わせる生パスタは、淡路島に工場を構える創業100年を超える老舗『淡路麺業』から取り寄せている。『淡路麺業』はうどんやそばなどの製麺業を営んでいたが、2007年に生パスタの製造を開始して、 国内初となる「国産デュラム小麦」の栽培を淡路島で成功させ、100%淡路島産の生パスタ製造に取り組んでいる。生パスタはどれも粘りとモチモチとした食感。また茹で伸びしないしっかりとしたコシが特徴だ。
『オステリアブッコ』では、その中より濃厚なラグーソースと相性がよい全卵タイプの幅1cmほどの平打ちパスタ・タリアテッレ、同じく全卵タイプの幅2cmほどの平打ちパスタ・パッパルデッレ、細麺タイプのモッチリーニの3種類を用意しており好みで選ぶことができる。
「パッパルデッレ」は、お皿に盛られて登場する様子はかなりの迫力! 弾力とモチモチ感があり、平打ち麺なのでソースのノリや絡みがよく、食べごたえは存分にある。
「モッチリーニ」は細麺だが、それでもモチモチ感がかなり感じられる。細麺ならではののど越しもよく、ツルツルと食べすすめることができる。
一番人気の「タリアテッレ」は、「パッパルデッレ」と「モッチリーニ」のちょうどいいとこどり!という印象。平打ち麺ならではの食べごたえやもちもち感を堪能することができる。
どれもまるで肉料理のように、ネックの塊がゴロゴロと入っているのがなんとも贅沢! じっくり煮込まれたネックは歯ごたえやカタチを残しながらも噛むととろけるような食感だ。深みとうまみが凝縮された甘辛味のラグーソースとパスタが絡み合い、一皿で満足できる逸品だ。
昼はボロネーゼを、夜はイタリア伝統料理を楽しもう
ランチタイムはボロネーゼを専門にしているが、夜はボロネーゼに加えて、鶏、豚、鴨肉などを使用したイタリアの伝統料理を楽しむことができる。例えば、イタリア生ハムの王様と称される「クラテッロの盛り合わせ」。シルキーな口どけと芳醇なうまみを堪能できる一皿だ。また、薄く伸ばした生地に挽肉タイプのボロネーゼを詰めた「トルテッリーニ」や、チーズ好きにはたまらない「パルミジャーノのリゾット」など、食通の州として知られるイタリア、エミリア・ロマーニャ州の郷土料理も数多く用意する。
ワインは、フローラルな香り、フレッシュで心地よい酸味、繊細な泡立ちが特長のスプマンテ「ガヴィオリ」(写真右)や、果実味が凝縮された重厚なボディが持ち味の「モンソルド(チェレット)」(写真左)など、イタリアワインを中心にそろえるので、イタリア伝統料理と共に楽しみたい。
店長を務める竹谷航人さんは、神戸・北野にあるイタリア料理店やイタリア・ヴェネツィアのレストランなどで修業を重ねた経験を持つ。「ラグーソースはいい素材を使って、じっくり丁寧に手間暇をかけて作っています。現在、ラグーソースは1種類のみですが、これから鴨や豚を使ったソースも作っていきたいです!」と語る。
「ランチに来てくださったお客様が、夜も足を運んでもらえるようなお店にしたいですね」と竹谷さんが話す通り、昼はボロネーゼパスタ専門店として、夜はしっかりとした食事が楽しめるダイニングとして、また郷土料理をつまみとしてワインを楽しむバールとして……と、ニーズやシーンに応じて何度も通いたくなる使い勝手のいい一軒となっている。オープンからわずか1カ月でリピータを獲得している『オステリアブッコ ボロネーゼ』。これからの進化にも注目したい。
【メニュー】
ボロネーゼ(タリアテッレ・パッパルデッレ・モッチリーニ) 各850円
※大盛りは各1,050円
前菜の盛り合わせ 1,500円
クラテッロの盛り合わせ 1,300円
トルテッリーニ 1,100円
パルミジャーノのリゾット 1,000円
ボトルワイン 2,800円~
グラスワイン 600円~
※価格は税抜き
(取材・文/茶野真智子 撮影/合田慎二)
OSTERIA BUCO BOLOGNESE(オステリアブッコ ボロネーゼ)
- 電話番号
- 078-391-1464
- 営業時間
- 11:30~15:00(L.O.14:30)、17:00~23:00(L.O.22:30)
- 定休日
- 不定休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。