センスが光る! 名店『七草』が食ツウから高い支持を得ている理由は味と店主にあった!

2017年07月25日
カテゴリ
レストラン・ショップ
  • レストラン
  • 東京
  • 和食
  • ヘルシー
センスが光る! 名店『七草』が食ツウから高い支持を得ている理由は味と店主にあった!
Summary
1.人気店『七草』が築50年以上の骨董店をリノベーションして駒場東大裏に移転オープン
2.スペシャリテのヒントになったのはあのフランス郷土料理!
3.店主はアパレル業界から転身、そのセンスが光る料理にひと工夫を感じとる

創業14年を迎えて移転オープン! ほっこりする絶品「すり流し」は健在

「豆」「野菜」「乾物」を主役にした『七草』は、身体においしさがじんわりと沁みわたる料理で長年愛されているお店。今年2月、渋谷区駒場の築50年以上経つ骨董店をリノベーションして下北沢から移転オープンした。

手触りのいい天然木のテーブルや身体の曲線を考えて作られた椅子、草木が茂る坪庭、障子、蚊帳……、日本家屋がこんなにも心穏やかになることを改めて感じさせてくれる。

素材本来のうまみを引き出す「すり流し」と「前菜」のおいしさに脱帽

こちらで供されるのは月替りのおまかせコース。一品目は年間を通して「すり流し」と決まっている。季節によって冷製と温製を変え、まずはお腹に入れることでこの後に続く晩餐の準備を整えてくれるのである。

「新人参 新玉ねぎ パプリカのすり流し」(写真上)には紫芽(むらめ)とオイルをほんの少し。なんと不思議なことにベーコンのような香りがする。

訊けば野菜を昆布と鰹と鮪のだしで煮て、少量のバターを入れるだけだと言う。食材のもつコクとうまみはなんという驚きを生みだすのであろうか。なめらかではあるがサラサラした食感ではなく、とろみがあり濃厚。実にうまい。

すり流しで空腹が和らいだところで次は「前菜の盛り合わせ」(写真上)。小さな器には初夏を感じる「ほおずきの白和え」。「卵焼き」は甘めでいわゆるおふくろの味、甘辛く煮た「新じゃが」の皮は野性味あふれ、中は驚くほどなめらかで“飲める”と思うほど。食材の持つ個性を生かした味付けは滋味深いという形容詞が本当にピッタリだ。

スペシャリテのアイデアはフランス料理の「カスレ」だった!

メインはスペシャリテでもある「豚バラ肉と大豆の味噌炊き」(写真上)。開店当初から変わらず人気のこの料理はどうやって生まれたのか訊いてみた。

オープンした14年前はちょうど産直ブーム。和食なので魚を扱うのは当然の流れなのだが、「脇役とされていた野菜、乾物、豆を主役にしたかった」と店主の前沢リカさん。だからあえて刺身、焼魚、煮魚といった魚料理を出さないと決めたそうだ。

とはいえ、メインにふさわしい料理を何か考案しなければならない。そこでピンときたのがフランス南西部の郷土料理「カスレ」であった。たっぷりの大豆を肉とともに煮込めばメインとしてイケる!と感じた。

「豆つながりで味噌、それも八丁味噌なら味も締まると思いました」と前沢さん。ホクホクとした大豆の風味、豚バラ肉はやわらかく味噌がしみ込みとろりとした上質の脂とともに味わうと、この上なく深い満足感を与えてくれる。

年内にはメインを2種類から選べるようにしたいとのことで新しいものをいただける嬉しさの反面、この料理は外せない気持ちもあり迷ってしまいそうだ。

甘味は「玲瓏豆腐(こおりとうふ)」(写真上)を。修業先であった『なべ家』でも出されていたという。“こおり”の当て字「玲瓏(れいろう)」は玉などが透き通るさま、または輝くさまという意味で、まさに寒天に包まれた豆腐は玉のようである。

上から青ゆずとゆずの花を振りかけ、つるりとした喉ごしとともに爽やかさが広がる。添えられたのは豆腐とは対照的に甘さとほっこりした食感が絶品の「空豆の蜜煮」。量は控えめながら記憶に残る味わいである。

『七草』が人気の理由は味と店主にあり!

前沢さんはアパレル業界から料理人に転身した業界では少し珍しい存在。料理教室に通ってから渋谷のんべい横丁にある『やさいや』で料理の道に入り、昨年人気絶頂のなか休業した大塚の老舗江戸料理『なべ家』を経て自身の店をオープンした。

当時は創作料理が世の中でもてはやされており、“なんでもあり”の時代。何を追求していこうかと考えたところ自身が好んでよく食べていた「ひじき」や「切り干し大根」といった乾物や豆、修業先で学んだ野菜がしっくりきた。

「日常の風景の中で季節の変化とともにある食材を感じながら料理することが性に合っていたと思います。日本の食材を使うのだから和食、これはまったくブレなかったですね」と前沢さん。

盛り付けも器も特に勉強したわけではなく、すべて前沢さんの感性。新しい料理ができると「こういう器があったらいいなぁ」と探しに行く。手に入れた器に盛り付けてみて少しずつ料理とすり合わせながら完成させるそうだ。野菜にはそれぞれ個性があり表情も違う。「どうやって料理してあげればいいか、どう盛り付けてあげればいいか、それを見つければ必要以上に手を加えなくてもおいしくなります」と言う。

前沢さんの料理は無駄がないのに何かひと味、ひと工夫を感じるのだ。このセンスはアパレル業界での経験の表れとも言えよう。

最寄駅は井の頭線の駒場東大前。これからは季節の移ろいを感じながら構内を通り抜け、『七草』へ向かうのが楽しみのひとつとなるだろう。

【メニュー】
おまかせコース(8品) 6,000円
クラフトビール 800円
ワイン/ボトル 4,200円〜
※価格は税抜

七草

住所
〒151-0063 東京都渋谷区富ヶ谷2-22-5
電話番号
050-3466-5419
営業時間
17:00〜22:00(最終入店20:00)
定休日
日・月
公式サイト
http://nana-kusa.net/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。