つるもち食感の皮がピカイチ! もと製麺屋がやる「餃子」が秀逸すぎる、新宿「思い出横丁」の町中華

餃子で巡る世界の旅in東京 #29

2018年02月23日
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つるもち食感の皮がピカイチ! もと製麺屋がやる「餃子」が秀逸すぎる、新宿「思い出横丁」の町中華
Summary
1.新宿西口にある「思い出横丁」は、昭和の香りが残る飲み屋街!
2.横丁にある『岐阜屋』は朝から飲める“町中華”。餃子やタンメンが人気!
3.元々は製麺屋だから、餃子の皮のこだわりが強い

どうも、料理芸人・クック井上。です!

東京の巨大ターミナル駅・新宿。乗降者数は世界一(1日に約340万人)といわれ、高層ビルが立ち並び、多くのビジネスマンが行き交う街です。

今回は、第2次世界大戦直後の1946年から、ネクタイと表情を緩めた新宿のビジネスマンたちを癒してきた飲み屋街が舞台。たくさんの方の思い出が詰まった餃子をご紹介します!

やってきたのは、新宿駅西口から徒歩5分ほどにある飲み屋街、「新宿西口 思い出横丁」。戦後の闇市が発祥で、狭い敷地内に飲食店が所狭しに密集しているエリアです。

店と店の間を戸板一枚で区切るように作られた横丁は、現在もその造りが受け継がれています。ビジネスマンの聖地ですが、最近は外国人観光客の観光スポットとしても有名です。

それでは、ご案内しましょう!

いやー、活気が凄い! 戦後直後の人々の息づかいまで聞こえてきそうな雰囲気です。

僕は「新宿西口 思い出横丁」で飲むことが多いのですが、大体のお店のオープンは夕方で、日の高いうちから飲めるお店はごく一部。そんな中にあって、朝9時から飲めちゃう“町中華”、それが『岐阜屋』です。

夜勤を終えた方、たまたま平日休みだった方、お仕事が謎の方、サボリーマン…、色んな方がお客さんです(笑) 店員さんとお客さんの距離がとっても近い、人情味溢れた雰囲気まで、古き良き時代のままです!

元々は製麺屋だから餃子の皮が秀逸! 思い出横丁『岐阜屋』

『岐阜屋』はメニューが豊富。幅広いお客さんのニーズに応える、古き良き町中華です。そしてその雰囲気そのままに、価格も昭和。場所は新宿のど真ん中、平成も30年になるというのに、ラーメン並は420円也! つい「ラーメン一丁!」と注文しかけて我慢我慢。まずはお目当ての「餃子1枚!」

▲見るからに、つるもち食感の皮!

ちょっと前のめりの体勢になって、カウンター越しに見る餃子鍋から立ちのぼる湯気がたまりませんなぁ。焼き餃子は、まずは焼かずにグツグツ茹でる。次第に、チリチリといい音が鳴りだしいい香りがしてくる。それと同時に、僕の胸はドキドキ、ワクワク…

んで、キターーー!

▲100点満点の焼き色!

なんて焼き目だ! 素敵な黄金色に、興奮せざるを得ない。実はこの皮、こだわりが凄いんです!

こちら自家製の皮。薄く、大きい四角形に作られた皮を、餃子の皮の大きさに丸く型抜き。通常、余ったロス部分は集めて、次に作る皮に混ぜるのが普通ですが、『岐阜屋』ではそれはしないんですって。すでに打ち粉が付着しているため、再度、皮の材料として使ってしまうと、自慢の食感が損なわれてしまうのだとか…。

「え?じゃあ、その余った皮の部分は捨てちゃうの?もったいない!」

その答えはまた後ほど。

餃子の餡は、キャベツをたっぷり使いシャキシャキ食感を演出。そこにニラと豚挽き肉を少々。そこにショウガをきかせて味にアクセント。昭和懐かしいシンプルな餡ですが、野菜の甘みが実に心地よい! そして、皮が分厚くなるひだの部分のつるもち食感がたまりません。

『岐阜屋』は戦後すぐにラーメン屋としてオープン。そして1970年代頃に、前オーナーから、現在のオーナー一家が経営を譲り受け、居酒屋寄り町中華スタイルに変更したのだとか。引き継いだきっかけは、現在のオーナー一家が製麺屋を経営していて、『岐阜屋』に卸していたからなんです。

ラーメン屋が、自家製麺を作るっていうのはよくある話ですが、製麺屋がラーメン屋をそのまま引き継ぎ、さらにメニューを増やしちゃうっていうのは、珍しいパターンかもしれません。

そして、先ほどの「餃子の皮を作製した際に余ったロス部分は、打ち粉が付着しているため、再度、餃子の皮の材料としては使わない」という話に合点がいきます。元々が製麺屋だから、餃子の皮へのこだわりが強いんだ! 普通は、打ち粉の事なんか気にしませんもん。製麺屋魂、ここにありですね!

ちなみに、『岐阜屋』という店名は、前オーナーさんが岐阜県出身だったことから由来していて、今のオーナー一家は岐阜には縁が無いとのこと。前オーナーさんへのリスペクトも忘れないあたたかさに、お店が長い間愛されてきた理由を見つけました。

餃子だけじゃない! シューマイもタンメンも絶品

餃子と同じく、「シューマイ」の皮も自家製。ということで、迷わずシューマイも頂いちゃいましょう!

▲見るからにお肉がたっぷり詰まっています。

先に書いたとおり、シューマイは自家製の皮を使っているのですが、皮に餡を詰めて、蒸すのは、取引先のお肉屋さんなんですって。で、お店では、取引先のお肉屋さんが蒸したシューマイを、茹でて温めて提供。ほぅー、シューマイを茹でるとは珍しい。こうやって仕上げることで、お肉がいっぱい詰まったシューマイなのに脂っこくなく、パクパクいける口当たりになるそうです。

うんうん、仰るとおり、肉々しいけどサッパリした軽い口当たりに仕上がっていて、これから飲みに行く0次会のおつまみとしても◎だし、2軒目、3軒目で訪れてもいい感じです。

そして、先ほど餃子の皮のロス部分について触れましたら、こちらは、実は、中華麺に練り込んでいるんです。それを聞いたからには、やはり麺類も食べておきたい!ってなるのが人情。

ということで、一番人気の「タンメン」をオーダー! まずはスープから。具だくさんで、たっぷり野菜のスープは、さっぱりしているのにコクがあって、体に染み入る旨さ。「味付けがシンプル」というよりも「味付けが素直」、そんな表現がしっくりくるタンメンです。

そして麺をズズズズッとすすって、目が丸くなった! 餃子の皮のロス部分を練り込んだ中華麺は、まるで沖縄そばのような独特な食感と舌触りに仕上がっていて、実に良い! 餃子の皮のロス部分は、餃子の皮への再利用には向かないが、中華麺には向いているという発想は、製麺屋ならでは!

ふぅー、スープも優しいけど、お店のこの感覚が一番お客に優しいわ! 『岐阜屋』のタンメン、スープも優しいし麺の舌触りも優しい、ゆえに飲んだくれたあとのシメにも最高! 飲んだ後の一杯のラーメンって、罪悪感の塊だけど、『岐阜屋』のタンメンを食べている間は、きっと罪悪感を凌駕する、優しい気持ちに包まれることでしょう。

そして、ここで宣言します。

「美味い町中華は、もれなくタンメンがウマい!」

素材がシンプルゆえに、お店のポテンシャルが出るメニューです。

▲最後は、オーナー一家の堤さんとパシャリ!

朝9時から営業しているので、お休みの日は、出勤する方々を横目に朝から飲んで優越感に浸るもよし。閉店時間も深夜なので、飲みのシメに来て、更に飲みたくなってシメられなくなるのも、これまたよし。

「新宿西口 思い出横丁」というと、男性客でごった返している印象がありますが、オシャレした女性だけのグループや、デートのカップルもたくさん。もちろん、サクッと1人飲みって方も多くて、雑多としてはいるけど粗野(がさつ)じゃないってのが魅力です。

もちろん、こちら『岐阜屋』も同様。男性だけで来ても女性だけで来ても、グループで来ても1人だけで来ても、いつでも優しい味わいの餃子やタンメンが、あなたを待っていますよ!

もし、足を踏み入れたことのない方がいらっしゃったら、是非とも「新宿西口 思い出横丁」の活気ある雰囲気を堪能して、あなたの思い出の1ページにしちゃってくださいな。

ほな、僕はもう一軒行ってきま~す! 今日も「新宿西口 思い出横丁」は、ちょいと一杯のつもりで飲んで、いつの間にやらはしご酒です。

【メニュー】
餃子 400円
シューマイ 420円
タンメン 570円
※価格は税込

岐阜屋

住所
〒160-0023 東京都新宿区西新宿1-2-1
電話番号
03-3342-6858
営業時間
月~水・日 9:00~翌1:00、木~土 9:00~翌2:00
定休日
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/ske2es1h0000/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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森一起
ライター/作詞家/ミュージシャン