厨房設備が「家庭用キッチン」という驚き! おいしく健康的な食習慣を提唱するレストランがオープン

【連載】NYスタイル、進行形  世界最新の食トレンドを生み出し続ける、ニューヨーク。日々新しいスタイルが提案されるこの街で、生き残るのは至難の技。そんなニューヨークのトレンドに敏感な街の「賢人」の琴線に触れた店とは?

2018年01月26日
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厨房設備が「家庭用キッチン」という驚き! おいしく健康的な食習慣を提唱するレストランがオープン
Summary
1.厨房は、プロ仕様ではなく家庭用のキッチン。そのワケは?
2.日本の食材とフランス料理の絶妙なマリアージュ
3.隣接するイベントスペース「ブーレー・テスト・キッチン」も必見

『ブルトハウプ』社のキッチンに魅せられて

デービッド・ブーレー氏は、ニューヨークを代表するフレンチの巨匠のひとりだ。そのブーレー氏が2017年11月、フラットアイアン地区に新しいコンセプトのレストラン『Bouley at Home(ブーレー・アット・ホーム)』をオープンした。ユニークなコンセプトの裏には、「お客に健康的な食習慣をもってほしい」というブーレー氏の熱い思いがある。

『ブーレー・アット・ホーム』に入ると、大きなオープンキッチンとカウンターが3つ、目に入る。ドイツの『bulthaup(ブルトハウプ)』社製のこのキッチンが、『ブーレー・アット・ホーム』の原点だ。

ブーレー氏は約20年前、当時『ブルトハウプ』社のショールームがあったビルをよく訪れていた。エレベーターが開くたびにショールームに置かれた美しいキッチンが目に入り、とても惹きつけられたという。ただし、そのキッチンはプロ用ではなく、家庭用キッチンだった。その頃からブーレー氏はいつの日か、『ブルトハウプ』社とビジネスをしたいと考え、それを実現させたレストランが『ブーレー・アット・ホーム』なのである。

家庭用キッチンといっても、そう言われなければわからない極めて洗練されたキッチンだ。お客は、シェフが調理する姿をカウンター越しに見ることができる。シェフたちはお客の質問に気さくに答えてくれるし、料理もシェフたちがお客に直接サーブするスタイルだ。まるで、自宅にプライベートシェフを招いて料理してもらっているかのよう。ちなみに各席の手前、カウンターの下に引き出しがあり、カトラリーは必要に応じて自分で取り出して使うシステムだ。

壁に設置された5つのスクリーンでは、さまざまなピューレの作り方など、調理のプロセスを動画で見せている。「お客に料理を教えたい。おいしくてヘルシーな料理を自分で作れるようになってほしい。プロ仕様のキッチンだと「うちにはこういう設備がないからできない」ということになる。だから、家庭用キッチンでつくる」とブーレー氏は説明する。日曜と月曜は閉店し、ここでクッキングクラスを開催する。いずれ料理動画も会員制でオンライン配信していく計画だ。

健康に寄与する食材のアイデアは日本から

ブーレー氏は、健康食のアイデアを主に日本に求めている。年に1回日本を訪れ、沖縄や長野など特に長寿者が多いとされている県を回り、どのような食材が長寿につながっているのかを調べているのだ。だから『ブーレー・アット・ホーム』のメニューには、日本の食材や調味料が数多く登場する。それを繊細かつ凝った美しくおいしい料理に仕上げる。和食材とフランス料理のヘルシーかつ華麗なマリアージュを存分に堪能できるのが、『ブーレー・アット・ホーム』の醍醐味といえるだろう。

ディナーは9品のテースティングコースが用意され、デザートのみ、いくつかある中から選択できる。1品1品の量は少なめだが、全部食べ終わる頃にはお腹がいっぱいになる。ディナータイムは、3時間ほどみておくことをお勧めする。

コースのメニューは毎日変わるが、数種類のワイルドマッシュルームとトロにココナッツガーリックブロスを泡立てたムースをのせ、ウォータークレスを散らした1品は、登場頻度が高いようだ。泡立てた食材を含む料理が多く、軽く食べられるのが嬉しい。それでいて、味付けはちょうどいい濃さに仕上がっている。

ポルチーニのフランとスモークした野生のクロテンをあわせた料理は、黒トリュフのだしに入れられてくる。ふんわりした食感と濃厚な味が絶妙なハーモニーを奏でている。

パンも種類が豊富で、グルテンフリーのパンもある。写真上のパンはいずれもそば粉でつくり、チアシードと亜麻仁が入ったグルテンフリーのパン。右側はピスタチオ、左側は蕎麦の実や胡桃が入っている。

オーガニックのウズラの卵とコンテチーズに黒トリュフの1種であるバーガンディトリュフを合わせたこの料理は、ウズラの卵のふわふわと柔らかい絶妙な食感がたまらない!

デザートは、10種類のエキゾチックフルーツでつくったシャーベットとアマレット入りアイスクリームにココナッツスープを添えたこの1品、一度は食べることをお勧めしたいおいしさだ。

ポーチドマンダリンの上にシトラス味のヴァシュランチーズ、レモンクリーム、グレープフルーツのシャーベットをのせ、ブラッドオレンジを泡立てたものと小さなバジルを添えたこのデザートも、実に可愛らしい。

ランチは『ブーレー・テスト・キッチン』でとることも可能

ちなみに、『ブーレー・アット・ホーム』の隣には、入り口を共有する『ブーレー・テスト・キッチン』がある。基本的にはイベントスペースだが、12月末に始めたランチが好評なので、ランチタイムは『ブーレー・アット・ホーム』だけでなく『ブーレー・テスト・キッチン』でも食事ができる。

クリーンで明るくモダンなインテリアの『ブーレー・アット・ホーム』とは対照的に、『ブーレー・テスト・キッチン』の内装はルネッサンス風でやや薄暗い。

『ブーレー・テスト・キッチン』にもオープンキッチンがあるが、こちらはプロ用のキッチンだ。スクリーン、スピーカー、音響システムも完備している。パーティやイベントに貸し出すことに加え、継続的に主催しているのはセミナーシリーズの「ザ・シェフ&ザ・ドクター」。世界的に著名な医者を招き、健康に関する講演とディナーを提供するイベントで、これを毎月のように主催していることにも、ブーレー氏が食と健康の関係性にいかに熱心であるかが伺われる。

『ブーレー・テスト・キッチン』の一角には、8,000冊に及ぶブーレー所有の料理本の一部を並べたライブラリーがある。その書棚のところどころに置かれたランプの土台は、なんとキッチン用品だ! ヘルシーな食生活の啓蒙にシリアスな反面、こうしたユーモアも忘れない、そんなブーレー氏の一面も垣間見えるライブリーなのである。
 

【メニュー】
Chef’s 9 Course Dinner menu(シェフの9品コースディナー) $225.00
Lunch Tasting menu(ランチ テイスティング メニュー)5品  $59.00
※税・サービス料は別

Bouley at Home(ブーレー・アット・ホーム)

住所
31 West 21st Street, New York, NY 10010
電話番号
212-255-5828
営業時間
火曜~土曜 ランチ11:30~15:00、ディナー17:30~21:30
定休日
日曜、月曜
公式サイト
http://www.davidbouley.com/bouley-at-home/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。