「魚介」オンリーのスープは黄金色! ジワジワとファン増加中のラーメン店・名古屋『中華そば 実垂穂』

2018年04月02日
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「魚介」オンリーのスープは黄金色! ジワジワとファン増加中のラーメン店・名古屋『中華そば 実垂穂』
Summary
1.美学に裏打ちされたスキッとクリアな食後感がたまらない
2.お客の言葉に耳を傾ける謙虚さから誕生。魚介だしオンリーのスープ
3.修業期間はわずか1週間! 異色の経歴を持つオーナーに興味津々

実は興味がなかった!? ラーメンとの運命的な出会いは突然に…

オープン以来、ジワジワとファンを増やしている『中華そば 実垂穂(みたほ)』。

澄み切ったスープはコッテリ系ラーメンを卒業した人だけでなく、現在進行形のコッテリ派さえも魅了する。「中華そば」と銘打つ店では、鶏ガラと魚介のダブルスープで食べさせるケースが多い中、『実垂穂』のスープは100%魚介だし。真っ当な調味料のみを使用するため、無添加・無化調派からも支持されている。こんなにキレイな中華そばを提供するのだから、さぞかし信念を持って研鑽を重ねてきたと思いきや、店を開くまでの経緯は想像から大幅に逸れるものだった。

店主の藤川欽市さんは、大学を卒業して就職するも、3年程で退社し、世間でいう水商売の世界に入った。手腕を買われて店長にまで昇り詰めたものの、10年ほど働いた頃、自分の置かれた環境に疑問を抱くようになる。一攫千金を目指す狩猟民族的な商売よりも、コツコツと地道に歩む農耕民族的な商売の方が自分に向いているのではないか…と。

夜の世界に別れを告げ、何を始めようか考えていた折、あるテレビ番組で製麺機メーカーが主宰するラーメン学校の存在を知る。特にラーメンに思い入れはなかったが、ラーメン1杯を売ってなんぼの商売こそ、自分にふさわしい世界なのだと早速入門。入門と言っても期間はたったの7日間。藤川さんの修業期間は、後にも先にもこの1週間のみなのだ。

ラーメンに関するひと通りの知識を身につけ、魚介豚骨醤油ラーメンを看板メニューに定めたが、いきなりの出店はさすがに不安材料が多すぎる。愛知県日進市にある『人情屋台 日進駅前店』の一角でテスト出店し、現店舗へ移転オープンしたのが2017年3月。学校卒業からわずか1年後のことである。

お客のリクエストと、やんごとなき事情から生まれた看板メニュー

魚介豚骨醤油ラーメンを看板メニューに打ち立てた『実垂穂』だが、『人情屋台』に訪れたお客のリクエストにより転機が訪れる。「魚介だしだけのラーメンが食べたい」と要望を受け、何の気なしに出してみたところ「うまい!」と高評価を得て、メニューにオンリスト。

移転オープン後は、魚介豚骨醤油と魚介だしの2本立てで提供していたが、人手不足で豚骨ベース作りが困難に。これをきっかけに魚介だしオンリーのラーメンに絞り込み、今に至る。お客からの要望と、消去法によって完成度の高いラーメンが生まれたとは、まったくもってビックリだ。

柔軟さだけじゃない!随所に活かされた丼の中のラーメン美学

『実垂穂』では、うまみと香りを引き立たせる狙いで4種の無添加・本醸造醤油をブレンドして醤油ダレを作る。

「無添加魚介出汁の中華そば 醤油(上)」(写真上)は、醤油のボリュームを感じさせながら、キレのあるスープが後味をスッキリとまとめる。鼻孔を満たす香りもご馳走だ。ちなみに「並」から「上」へグレードアップすると、チャーシューが1枚追加され、鶏ハム2枚が加わる。

チャーシューは豚のバラ肉の表面を焼いてうまみを封じ込め、下ゆでして余分な脂を落とした後、タレでじっくり煮込む。正味3時間かけて作り上げたチャーシューは、他店と比較して薄めにスライス。「口の中に1枚まるごと入れて、ストレスなく完食できるよう、厚さ、やわらかさ、味付けを調整してあります。大きすぎたり、脂のインパクトが強すぎるチャーシューは、僕の中華そばには合わないと思うんです」と丼の中の美学を語ってくれた。

確かに女性が口に含んでも窮屈感がなく、スープと口内の温度で脂がスーッと消えていく。タレの塩梅もちょうど良い。

美学といえばトッピングのウズラの卵も然り。鶏卵の半熟煮卵は切って提供すると黄身が流れ出してスープが濁る。切らずに提供すると食べにくい上、女性に1個はやや多い。ウズラの卵なら鶏卵の難点をクリアできるが、小さくて殻が薄いため、1秒単位の火入れで黄身の状態が変わってしまう。何度も試作して卵の個体差などからゆで時間を見極め、狙い通りの仕上がりへ導くことに成功した。

半熟のウズラの卵に歯を入れるとやわらかい白身がプチッと弾け、濃厚な黄身が舌の上へじわりじわりと広がっていく。小さいにも関わらず満足度が非常に高い。

「無添加魚介出汁の中華そば 塩(並)」(写真上)のスープは、昆布、イリコ、3種の削り節からとっただしと、海塩4種を使った塩ダレ、魚介から抽出した3種の香味油を合わせて仕上げる。啜ると魚介だけとは思えない豊かな味わいが口内をジャック。体調が悪い時に飲みたくなるような、滋味深いスープだ。

生産者から直送される「あおさ」をトッピングすると、磯のニュアンスが加わり、さらに香味が増す。「実は以前、一部の海塩を岩塩に変えたことがあったんです。するとお客様から『いつもよりおいしくないよ』と言われて、すぐに元へ戻しました。

僕、自分に自信がないので、お客様の意見には真摯に耳を傾けるようにしてるんです」と驚くほど謙虚な姿勢。だからと言って、何でもかんでも要望を聞くというわけではない。自分の定めた進みたい方向をアシストしてくれる意見なら大歓迎、というスタンスだ。

低加水ストレート麺の陰に、「ランチェスター戦略」あり!

さて、スープについて細かく述べてきたが、麺にもひとかたならぬ思い入れがある。

世間では高加水の「ツルもち」食感がもてはやされているが、『実垂穂』のはそれと逆行する低加水のストレート麺。噛むと一本筋が通っているのが理想だという。なぜそこを目指すかというと、スープにマッチするのは大前提として、メジャーなマーケットで1番になるのは難しいが、ニッチなマーケットでなら工夫次第で1番になることはできるという「ランチェスター戦略」の影響が少なからずある。

「低加水ストレート麺の需要は間違いなくあり、それを求めている人々から徹底的に支持されればいいと思っています」と藤川さん。実は読書家で、商いの礎になっているのは、この「ランチェスター戦略」と、日本人のルーツを紐解く『古事記』だというから、またまた驚く。経歴もさることながら、ユニークな発想と柔軟な思考回路によって生み出される『実垂穂』の中華そばは、まだまだ進化を遂げそうだ。


【メニュー】
無添加魚介出汁 中華そば 醤油(並) 750円
無添加魚介出汁 中華そば 醤油(上) 900円
無添加魚介出汁 中華そば 塩(並) 750円
トッピング あおさ 100円
※価格はすべて税込

無添加魚介出汁 中華そば 実垂穂

住所
〒465-0021 愛知県名古屋市名東区猪子石2-502 ユタカビル1階
電話番号

非公開
営業時間
11:30~14:00 18:00~21:30
定休日
月曜・木曜の夜営業
公式サイト
https://www.facebook.com/実垂穂-612829585549118/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。