3つの味に変化する「魔法のソース」に感動! 正統派に見えて実はユニークなカジュアルフレンチが誕生

※この店舗は閉店しました

2018年05月28日
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3つの味に変化する「魔法のソース」に感動! 正統派に見えて実はユニークなカジュアルフレンチが誕生
Summary
1.一流の味をカジュアルに楽しめる! 名店のDNAを継ぐモダンフレンチが曙橋にオープン
2.大きな貝殻を開くと現れる前菜や、3種類もの味わいが楽しめるソースなど、シェフの感性が光るメニューの数々
3.チャーミングな店名は店主の思い出に由来。 時が経っても思い出してもらえる店を目指す

都内屈指の名店のDNAを引き継ぐ、ちいさなフレンチレストランが曙橋に誕生

都営新宿線・曙橋駅からほど近くに2018年4月オープンした『Restaurant Cana-Cana(レストラン カナカナ)』(以下、『カナカナ』)。14席ほどのアットホームな空間でモダンフレンチを堪能できる店だ。

オーナー・ソムリエの市川航司さん(写真上・左)は西麻布にあった『レストラン・サイタブリア』出身。『ミシュランガイド東京 2018』で二つ星に輝いたフランス料理の『レフェルヴェソンス』の前身となった店だ。

シェフの緑川温さん(同・右)は『レフェルヴェソンス』の姉妹店である『ラ・ボンヌターブル』のスーシェフとして長く活躍。食への感度が高い人ならば、2人の経歴だけでも胸が高鳴るだろう。

市川さんは『カナカナ』のスタイルを「カジュアルフレンチ」と定義する。ここでいうカジュアルとはビーチサンダルで行けるような、という類ではなく、“自由度の高い”という意味合いを持つ。

同店は基本的にアラカルトでの利用をおすすめしている。コース料理として「出てきたものを食べる」のではなく、お客が「自ら選んだものを食べる」という能動的なアクションを大切にしたいためだ。

お客の健康や気持ちまで考え尽くされたディッシュが、コース料理のように美しくサーブされる

アラカルトメニューはすべて人数に合わせてのアレンジが可能。テーブルには1人前ずつポーションが美しく盛り付けられ、コース料理のようにサーブされる。

料理は新鮮でおいしい食材を使用するのは大前提とし、その上で「カナカナの料理を食べれば健康・元気になれる」というテーマを掲げる。食材一つひとつの栄養分についても熟考し、それらが身体や心に与えるパワーを皿の上で表現している。

席に着くと運ばれてくるアミューズとパン(写真上)。アミューズは甘エビ、黒オリーブ、ブロッコリースプラウトがほんのりピンク色をしたクリスピーな器にのる。こちらの器は、サクッと軽いメレンゲになんとタコが練り込まれている、タウリンが豊富に含まれるタコを最初に口にすることで、お客に元気を出してもらう狙いがあるという。

パンはフランス料理からイメージされるバゲットではなく、ミニサイズに焼かれた「食パン」。こちらの食パンには全粒粉とさとうきび、にがりが使われ、身体に良い栄養素やミネラルがたっぷり。もっちりふんわりした食感に、どこか懐かしい気分にさせられる。

大胆に貝殻があしらわれた「ホッキ貝とマンゴーのサラダ仕立て レッドアンディーブ マーシュ レモンのヴィネグレット」(写真上)。

貝殻を開けると、マンゴーのまばゆい黄金色が目に飛び込む。口に含むとマンゴーの甘み、レモンのさわやかさ、ホッキ貝のうまみ、貝の肝やトレビスの苦みが渾然一体となり、鮮やかな味わいが広がっていく。

1つのソースで3種類の味わいを楽しめる、シェフのセンスが光る一皿

フレンチの定番である「パイ包み」も、緑川さんの感性によってユニークな一皿へと進化する。
「スズキと帆立のムースのパイ包み焼き ヴェアルネーズソース? ショロンソース?」(写真上)は、バター、レモン、卵黄を使った基本の「オランデーズソース」を使用。ハーブのサラダと合わせると「ヴェアルネーズソース」風に、また、散らされたトマトと合わせると「ショロンソース」風に変化し、1つのソースで3種類の異なる味わいを楽しむことができる。

パイの中にはスズキとホタテがほぼ半々の割合で入っており、ホタテのうまみとスズキの優しい甘みが引き立てられている。

「 仔羊の骨付きロース肉 舞茸 グリーンピース 青森にんにくのピュレ」(写真上)は、肉に負担をかけないようじっくりと火入れされたラムラックがやわらかく、まるでベビーラムのような優しい舌ざわり。

表面に振られた長崎県・五島列島の「にがり塩」のうまみ、お皿に乗った青森ニンニクのピュレがもたらす奥行き、そしてラム自身の肉汁を使ったソースが見事に調和する。

ルージュのような色みが華を添える、艶やかな大人のデセール

シェフ曰く“最強の組み合わせ”のデザート「チョコレートのテリーヌ フランボワーズ プラリネ フランボワーズアイス 」(写真上)。

どこまでも滑らかなテリーヌに、可憐で甘酸っぱいフランボワーズのアイスが抜群のハーモニーを奏でる。適度に甘さが抑えられた大人のスイーツは、ビターなコーヒーと楽しみたい。

またきっと思い出す、そんな印象的な時間を過ごせる店を目指して

『カナカナ』という店名は、夏の終わりに聞かれるヒグラシの鳴き声に由来する。一瞬で少年時代の記憶を呼び起こす印象的なヒグラシの声は、オーナー・市川さんの脳裏に焼きつく特別なものだ。

「この店で、忘れがたい印象的な時間を過ごしてほしい。後日、同じ食材に出逢ったときに“カナカナでこんな料理を食べたね”と思い起こしてもらえるようなお店でありたいんです。そのため、僕にとって大切な存在である『カナカナ』という言葉を店名につけました」と市川さんは話してくれる。

お客の身体や気持ちまで、幾重にも考え尽くされた『カナカナ』の料理やサービス。これこそが、レストランの目指すべき「おもてなし」の本質だと感じられる。
市川さんの大切な思い出のように、人々が『カナカナ』で過ごす時間も、いつまでも心に残り続けるものとなるだろう。

撮影:榊智朗

【メニュー】
・ホッキ貝とマンゴーのサラダ仕立て レッドアンディーブ マーシュ レモンのヴィネグレット 1,980円
・スズキと帆立のムースのパイ包み焼き ヴェアルネーズソース ? ショロンソース ? 3,200円
・仔羊の骨付きロース肉 舞茸 グリーンピース 青森にんにくのピュレ 3,800円
・チョコレートのテリーヌ フランボワーズ プラリネ フランボワーズアイス 900円
・おまかせコース 5,500円 / 7,500円
※すべて2人前のポーション・値段。ゲストの人数に合わせてご用意可能。
※デザートの料金はお一人様分の料金です。

Restaurant Cana-Cana(レストラン カナカナ)[閉店]

住所
〒162-0066 東京都新宿区市谷台町4-1
営業時間
ランチ:11:30~13:30(L.O.)、ディナー: 18:00~21:00(L.O.)
定休日
日曜、不定休1日

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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