金沢で人気の「のどぐろ煮干しらーめん」店が恵比寿に進出
食通が通う名店も多いグルメタウン恵比寿。この街で今日は何を食べようかと悩んだとき、ぜひリストに加えてほしい1軒が誕生した。
のどぐろ煮干しを使ったラーメンが目玉の『Ramen&Bar ABRI(アブリ)』だ。金沢の1号店で人気を博し、満を持して東京に初進出した。
JR恵比寿駅から歩いて7分ほど。ガラス張りの明るい入口、淡いグレーの壁にABRIのロゴもおしゃれで、恵比寿界隈の雰囲気にしっくり馴染んでいる。
店内は、カウンター5席、テーブル席8席、店の奥に半個室6席と小規模。それでいながら、淡いグレーの壁にダークブルーの家具を組み合わせるなど、シックで落ち着ける雰囲気になっている。
ラーメン店というよりは、夜はお酒が楽しめる“ラーメンバー”の雰囲気を大切にしたいため、家具もハイテーブルとハイチェアでそろえている。
店名の“ABRI”はフランス語で“シェルター”という意味。雨宿りをするように、ふらりと気楽に立ち寄って、おいしい料理とお酒でひととき和める場所にしたいという想いが込められている。
どこまでも透き通ったスープは、のどぐろのうまみがギュッと凝縮
訪れる人の多くが頼む「のどぐろ煮干しだしらーめん」(写真上)。
オーダーすると、トッピングが別皿で供される。これは、なかなか味わう機会がないのどぐろ煮干しのうまみをまずストレートに感じてもらうためだ。
自慢のスープは、のどぐろのうまみがギュッと凝縮されて、煮干しだしというより、脂がのったジューシーなのどぐろそのものを味わっているかのようだ。味付けはシンプルで、ひと口すすると、つるりとした麺とさっぱりしたスープが絡んで、しみじみとうまみが体に染みわたっていく。
スープ作りは、前日に煮干しを水に漬けるところから始まる。使う水はだしのうまみを抽出する力に優れているというアルカリイオン水。
漬け込んだ水を、煮干しとともに煮立たせないようにしてゆっくりと火にかけるのがポイントだ。これは煮干しの苦みが出にくく、雑味が少ないだしに仕上げるため。こうして、魚臭さが少なく品の良い味わいの贅沢なスープだしが出来上がる。
ラーメンのスープは、この極上だしに奥能登・珠洲(すず)市の塩と薄口醤油などで作る塩ベースのタレを加えるだけ。つまり、できるだけ手を加えない“引き算のラーメン”だ。
麺の上にトッピングされているのは、のどぐろ煮干しの粉。食べ進むとこの粉がスープに溶け込んでスープが少し白濁し、さらに濃厚な煮干し感が楽しめる。
「のどぐろ煮干しだしらーめん」に使用している麺は、有名ラーメン店御用達、京都の製麺所『麺屋 棣鄂(ていがく)』のもの。
あくまでだしを味わってほしいラーメンなので、小麦の味が強くない中細の多加水ストレート麺を選んだ。モチモチした食感でツルリとのど越しが良く、色白の麺が淡麗なスープによく合っている。
別皿のトッピングは、写真上・左から太めのメンマ、板昆布、能登豚のチャーシュー。チャーシューは、脂身が少ないモモ肉を自家製ダレに一日漬け込み、そのまま低温調理。あっさりした味のチャーシューは、豚の甘みがジュワっと広がりながらも、シンプルなスープのうまみを引き立てている。
板昆布は、引き算で仕上げたスープに昆布のうまみをプラスし、ちょっとした味変が楽しめる仕掛けになっている。
のどぐろ煮干しを使った“中華そば”をイメージした、「のどぐろ煮干し醤油らーめん」(写真上)。
スープは鶏節を合わせてコクを増し、地元金沢の醤油を使ったタレを合わせている。鶏節とは、鶏肉を鰹節と同じ手法でいぶしたもので、鶏のうまみが凝縮されており、しっかりした薫香も魅力。この香りがスープに奥深さを与えている。
こちらの麺は、低加水麺を使用。あっさりながらもコクとうまみのあるスープをしっかり拾ってくれる。コクのあるラーメンが好きな人はこちらがお薦めだ。
もともと9年間ほど東京で暮らしていたという店主の牧野陽子さん(写真上)。7年前に金沢に戻りバーを経営していたが、バーの名物になればとラーメン作りを思いついた。そこで出逢ったのが、金沢を代表する海の幸、高級魚・のどぐろを使った煮干しだった。
1号店を観光地近くの路面店に移転するとともに、ラーメンバーとしての営業をスタート。試行錯誤しながら生まれたのどぐろ煮干しを使ったラーメンは、地元の人のみならず国内外から訪れる観光客にも人気のメニューとなった。
バータイムも楽しい! 北陸の銘酒やオリジナルクラフトビールも味わえる
前述の通り、夜はラーメンも楽しめるバーに変わる。しかも、楽しめるのはただのアルコールではない。
壁にズラリと並ぶビールサーバー。注がれるのは、金沢や北陸をメインに厳選した良質な国産クラフトビールだ。
『ABRI』を中心に、金沢市の飲食店6店舗が集まり作ったオリジナルビールプロジェクト「Berkut Beer」で生まれたビールなど常時6~8タップ用意されている。
マニアも満足するレアな銘柄から、苦みが少なくフルーティな味わいの飲みやすいビールなどがそろっている。日本酒も北陸の銘柄を中心にラインナップ。お酒を飲む楽しさも充実している。
また、合わせて食べたいおつまみにもこだわりが詰まっている。
のどぐろ煮干しだしを生かしたものや、地元・古都金沢の1号店で人気のメニューといった、お酒のおいしさを引き立ててくれるつまみがズラリとそろっているのだ。
必食の「のどぐろの昆布〆フィッシュアンドチップス」(写真上)。
金沢・近江(おうみ)町市場で仕入れたのどぐろを、金沢店のスタッフが昆布締めに調理。こちらに運ばれてくる間にぐっと味が染みて、いい塩梅になったのどぐろを使った、ぜいたくなフィッシュアンドチップスである。タルタルソースも、人気メニュー「のどぐろだしのおでん」の卵を使い、ほんのりだしが香るタルタルに仕上がっている。
カリッと揚がった衣に包まれている昆布締めされた身は、うまみが凝縮され、かみ締めると甘みがジュワっと押し寄せてくる。
手軽に食べられるのが嬉しい「のどぐろだしのたこ焼き」(写真上)。
こちらも水の代わりにだしを使って、ぜいたくなたこ焼きに仕上げている。
外側はカリッと、中は、だしたっぷりでふんわり。ひと口食べると、ジュワっと広がるだしのうまみがたまらない一品だ。ソース代わりの醤油あんにもだしが使われ、しっかりした味わいにお酒が進む。
金沢が誇る冬の味覚で新メニューも。これからの季節が楽しみで仕方ない!
今後は金沢店で提供していた、のどぐろ以外の鮮魚を使った限定ラーメンなども予定されているとか。
肌寒さを感じる季節になれば、のどぐろだしの金沢おでんが出番だ。金沢の代表的な冬の味覚、香箱ガニ(こうばこがに:北陸地方で獲れるメスのズワイガニ)も登場の予定だと聞くとワクワクしてくる。
飲んで、食べて、ほっこり和む。毎日が少し楽しくなる場所として、ぜひ押さえておきたい一軒だ。
【メニュー】
ランチタイム
のどぐろ煮干しだしらーめん 800円(ランチタイム)880円(バータイム)
のどぐろ煮干し醤油らーめん 820円(ランチタイム)900円(バータイム)
のどぐろの昆布〆フィッシュ&チップス 3,200円
のどぐろだしのたこ焼き 6個600円
国産クラフトビール各種 Mサイズ 980円
※価格はすべて税込
Ramen&Bar ABRI Ebisu
- 電話番号
- 090-3478-7667
- 営業時間
- 平日11:30~14:30(L.O.)、バータイム 18:00~22:45(L.O.)、土曜12:00~15:00(L.O.)、バータイム 18:00~22:45(L.O.)、日曜12:00~20:00(L.O.)
- 定休日
- 不定休
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。