東京フレンチをおもしろくする『ラグレアーブル・エスプリ・ド・ギャマン』の表現力【門前仲町】

恵比寿『オー・ギャマン・ド・トキオ』の木下威征シェフをご存じでしょうか? 東京のフランス料理をおもしろくしたシェフのひとりと言われています。その木下シェフのもとで修業を積んだ佐山典義さんが開いたフレンチが『ラグレアーブル・エスプリ・ド・ギャマン』(門前仲町)です。おすすめは、自家製のバントレッシュを使った濃厚ナポリタン。「伝統と新生」の2つのキーワードを大切にする同店はわざわざ行く価値ありの店。

2019年03月12日
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東京フレンチをおもしろくする『ラグレアーブル・エスプリ・ド・ギャマン』の表現力【門前仲町】
Summary
1.新旧混在の門前仲町にマッチするフランス料理店『ラグレアーブル・エスプリ・ド・ギャマン』
2.「伝統と新生」、2つの料理の世界を楽しめるメニュー
3.「ギャマン流フレンチ」を表現する佐山シェフの料理とは

レトロとモダンが交錯する門前仲町をさらにおもしろくするフランス料理店『ラグレアーブル・エスプリ・ド・ギャマン』

東京のフランス料理をおもしろくしたシェフのひとりと言われている恵比寿『オー・ギャマン・ド・トキオ』の木下威征さん。フランス料理をベースにしながらも、その枠にとらわれない独創的で遊び心のある料理はフランス料理が苦手の人さえもトリコにした。

その木下シェフの下で14年間修業し、満を持して独立した佐山典義シェフの店が早くも人気だ。それが東京・門前仲町に店を構える『ラグレアーブル・エスプリ・ド・ギャマン』である。

『ラグレアーブル・エスプリ・ド・ギャマン』は、フランス語で“心地良い”と“ギャマンの精神”を合わせたもの。ギャマンとは『オー・ギャマン・ド・トキオ』のこと。つまり店名は『オー・ギャマン・ド・トキオ』の精神を受け継いだ心地の良い店という意味である。

調理師学校を卒業してから今日まで師と仰ぐのは木下さん以外にはいないという佐山シェフ(写真上)。木下さんから『ギャマン』の文字をプレゼントされたこともあり、ここで学んだことを受け継ぎつつ、“佐山流”の料理を新しく創りあげていくことにした。

『ギャマン』の名を世に轟かせた料理も提供

その表れがメニューだ。アラカルトの中に『オー・ギャマン・ド・トキオ』の料理を継承したものをいくつか用意し、コースには佐山流の料理を提供しているのである。

継承した料理のひとつが「とうもろこしのムースと生ウニ」(写真上)。『オー・ギャマン・ド・トキオ』の名を世に轟かせたと言っても過言ではない。

主役はなめらかな舌触りとほんのりとしたとうもろこしの甘みのあるムース。そのムースに寄り添いながらもうまみを主張するウニ。ひと口食べただけで天にも昇る心地になる。さすが15年以上看板メニューであり続けているだけのことはある。

こちらもアラカルトでいただける「ふわふわチーズスフレオムレツ 白トリュフハチミツがけ」(写真上)。

『ギャマン』のスペシャリテであるスフレオムレツの中にとろっとろのグリュイエールチーズを巻き込み、トリュフではなくマスカルポーネチーズをのせてパルミジャーノチーズをふりかけている。

新生スフレオムレツは3種類のチーズの個性が見事なハーモニーを生み、最後に白トリュフの香りとアカシアハチミツの甘みが口中に広がる。これぞ継承と創造が融合した料理だ。

味を重ねることで生まれる未知の料理に酔いしれる

続いて、コース料理の中から「炙り寒鰤と彩り野菜の柚子和え 赤ワインみたらしソース」(写真下)を紹介しよう。

あえて硬めに茹でた菜の花にはニンニクとタイムを入れた鰹だしで煮浸しに、その上に軽く藁で炙った寒鰤をのせ、甘酸っぱい「みたらしソース」をかける。赤ワイン、砂糖、みりん、バルサミコ酢を煮詰めたこのソースが絶品!

そして揚げたジャガイモ、ニンジン、ビーツ、セロリ、キュウリを柚子味噌ドレッシングで和え、上からのせる。パリッパリに揚げたジャガイモが食感のアクセントになり、他の野菜がよりおいしく感じるのは佐山シェフのバランス感覚が長けているからだろう。何種類も揚げていたら、むしろ単調に感じるはずである。1種類だけ、しかもジャガイモだから良いと思わせる説得力がこの皿にはある。

このひと皿に、いったいどれだけの味と食感が重なっただろうか。噛み締めるとだしがじんわりと口中に広がる菜の花、炙ってほんのりと温かくやわらかな寒鰤の芳ばしい藁のにおい、柚子や味噌など7種類ほどの調味料が入ったドレッシングで和えたパリパリのジャガイモやシャキシャキの野菜。

それぞれに別な味付けがなされた料理が3種類もあり、さらに甘く優しい酸味のみたらしソースまでかかっている。ここまで多いと何かしら衝突してしまうものだが、余計なものは何ひとつなかったかのように見事に調和しているのだ。昨今はシンプルな料理が主流になりつつあるが、いろいろなものが混ざって生まれる新しい料理に好奇心でいっぱいになる。

アラカルトにあるナポリタンも佐山流料理っぽくておもしろい。

「昔ながらの濃厚ナポリタン」(写真上)の具材はタマネギ、ピーマン、水煮マッシュルームといったお馴染みのものだが、味の要となるベーコンには自家製のバントレッシュ(フランスバスク地方の豚バラ肉を使った伝統料理で作るのに1カ月ほどかかる)を使い、フランス人がナポリタンを作ったらこうなるかもと思わせるのだ。

具材をよく炒め、うまみがたっぷり出たところにケチャップを入れ煮詰めていくので、これだけ濃厚なナポリタンができあがるのだ。初めはこのしっかりした味に食べきれるのかと思うのだが、これがクセになる! あとひと口、あとひと口と食べ進めてしまい気がつくと完食してしまう。コースでもお腹に余裕があれば〆にパスタを提供しているそうだ。

ギャマンイズムを受け継ぎ創りあげた佐山流料理のキーワードは“再構築”

「魚がたくさん入ってきたので作ってみました」と、最後に出してくれたのはまだメニューにないブイヤーベース(写真下)。

数種類の野菜をよく炒め、ホタテ、白子、金目鯛、ヒラメ、アンコウ、タイを入れて煮るだけ。味付けはスパイスのみ。スープをいただくとなぜかものすごく甘い! 「甘みは野菜からですね。おそらくどこよりもたくさんの野菜を入れていると思います」と佐山シェフ。

フェンネルのような香味野菜は一切入れず香りはスパイスだけにしているのも甘みが引き立つのだと話す。小さなココットから驚くほどの具材が顔を覗かせる「ブイヤーベースロワイヤル」、まさに王様の味だ。

本格的なフランス料理というよりは和の要素をかなり取り入れている。例えばコースのメインはA5ランクの和牛だが、女性でもお腹いっぱいと感じず最後まで楽しめるように大根おろしの入ったソースを合わせるのだ。だから脂が強いA5の和牛でもサラリといただける。そうそう、このA5和牛の“端っこ肉”がたまると作るカレーが裏メニューとして密かに人気だ。いただけるかは運次第!

佐山シェフは今まで学んできたフランス料理を再構築するのが得意なのだろう。伝統の味に違うジャンルや出逢った食材の“味”を重ね、まったく新しいフランス料理に仕上げるのだ。オープンした自身の店で14年間学んだギャマンの精神とともに佐山流料理は常に新しい味の世界へと誘うのである。


撮影:八木竜馬

【メニュー】
ディナーコース 7,000円
とうもろこしのムースと生ウニ 800円
ふわふわチーズスフレオムレツ 白トリュフハチミツがけ 1,600円
昔ながらの濃厚ナポリタン 1,600円
ブイヤーベースロワイヤル 価格未定
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です

L'Agréable Esprit de GAMIN

住所
東京都江東区門前仲町1-2-5 2F
電話番号
050-3467-5996
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
営業時間
18:00~23:00
定休日
水曜日
ぐるなび
http://r.gnavi.co.jp/cx19ng9g0000/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。