老舗の鮨店なのに夜のおまかせは6,500円! 料理研究家の三代目が握る老舗の町寿司『谷中 松寿司』 

#鮨の名店

2019年06月22日
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老舗の鮨店なのに夜のおまかせは6,500円! 料理研究家の三代目が握る老舗の町寿司『谷中 松寿司』 
Summary
1.創業は昭和15年! 人気の下町エリア・谷根千で地元の方にも愛される『谷中 松寿司』
2.料理研究家の顔も持つ、三代目店主が提供するのは“江戸前+α”な“東京前”鮨!
3.街歩きのゴールは鮨で! 都心にいながらプチトリップ感が味わえるロケーションも楽しい!

発祥は千駄木駅前の立ち食い鮨。さまざまな層が集まる今も人気の”町寿司”とは?

東京・下町の街歩きスポットとして人気の、谷中・根津・千駄木、略して“谷根千”エリア。情緒ある商店街などを歩きながら、多数点在する飲食店でちょい食べするのは、もはや定番の人気コースになっている。

そんな谷根千で、鮨愛好家から地元客、そして日本の食文化を味わいたい訪日外国人客まで、さまざまな層を魅了する“町寿司”があるという。

それが『谷中 松寿司』だ。

創業は昭和15年。今の場所よりやや千駄木駅近くの場所で営まれていた、屋台風情の立ち食い鮨を発祥としている。

上の写真は昭和26年、今の場所に移転した当時の『松寿司』だそう。

三代目は料理研究家! 町寿司にちらりと、“今”をしのばせる

現在こちらの店主を務めるのが、三代目の野本やすゆきさん(写真下)。鮨職人の傍ら、なんとフードコーディネーターや料理研究家としても活躍している。

「初代、二代目が作り上げた“江戸前の松寿司”に、自分らしいエッセンスを加えた“東京前”の鮨を目指しています」と笑顔で語る野本さん。

気取らない店内と店主の笑顔! これだけで居心地の良い鮨屋であることを想像させる。

トレーや箸置きをはじめとした木製のアイテムがいっぱいの店内は、誰もがいつか出逢ったような町寿司らしいカジュアルな雰囲気で、ゆったりと食事ができそうな雰囲気が満載だ。

さて、こんな店内で頂ける“東京前”の鮨とはどのようなものか? 早速今日のおすすめを出してもらうと……

まずは富山県産のホタルイカに銀餡をかけた「茶碗蒸し」(写真上)。ベースの卵部分はシンプルに、具は旬によって変えているという。野本さんをサポートし、フロアやバックヤードを担当しているお母さんのきみいさんが蒸したてを出してくれる。

「お熱いですよ」のひと言と柔和な笑顔に、初訪問でも思わず寛いでしまう。

アレンジはしても“鮨”らしさは損なわない仕立て

次いでおつまみとして出てきたのが、鹿児島県産のアジを使った「アジフライ」(写真上)。ここで揚げ物が出てくるあたりが、野本さんの鮨職人としての若々しさを感じ、好ましい!

お鮨は好きだけどもうちょっとガッツリ食べたい……と思う方は意外と多いはず。そんな方も思わずうれしくなる、少し油っ気のあるおつまみに心が弾む。

ひと口食べると、ホワ~っと身のふくよかさを感じる! そして上にかけられたタルタルソース。味わったことがあるような?

「それは鮨屋のピクルスである、ガリ・沢庵を使ったタルタルソースです。フライものも、ソースで鮨にチューニングを寄せることで、目新しさはあってもコースの一皿として成立させています」とその秘密を野本さんが教えてくれる。

握りは江戸前の王道を全面に1割の工夫を加える

ここで握りに移ろう。まずは千葉県銚子産の「金目鯛」(写真下)。

金目鯛は食べごたえのあるコクが命。魚体が小さめで脂ノリがいいものを仕入れているそうだ。後味をすっきりさせるため、軽く湯引きし、さっと醤油に漬ける“平ヅケ”にしてある。

味が派手な金目鯛を実直に感じる、ストレートな味わい。赤酢を2種類使った万能型のシャリともよく合う。

この出過ぎないシャリは「子どもからお年を召した方まで、誰もが食べやすいように」という意味もあるそう。この気持ちもさすが、地元に根付いた店である。

つまみと握りのいいとこ取り! 平貝は磯辺焼き風握り

次に出てきたのがこちら。これが何の握りかわかるだろうか?

答えは「平貝の握り」(写真上)!

炙った平貝でシャリを包み込むように握り、海苔で巻いて煮切りを塗ったもの。鮨屋のつまみでも人気の平貝の磯辺焼きと、スタンダードな握りのいいところ取りの味だ! ひと口に感じる、海苔の香りと平貝の歯ごたえ、シャリの酸味の組み合わせがたまらない。

江戸前でおなじみのネタ・穴子は青柚子と塩で夏らしい清涼感を

そして煮物ネタは、長崎県対馬産の「穴子」(写真下)。

夏を迎えるこの時期らしく、さっぱりと甘ツメではなく塩で頂く。

上にごく少量散らした青柚子が爽やかさを後押ししてくれる。

締めは王道の脇役×意外性の“塩カッパ巻き”

そろそろ終盤。巻き物でもと思ったところに提案されたのが「塩カッパ巻き」(写真下)。

現代の鮨屋ではとかく脇役になりがちな“カッパ巻き”だが、塩という字がつくことで俄然興味がわく。

やや太めに千切りにしたキュウリに、たっぷりの金胡麻、そして塩をぱらりと。細巻きと手巻きの間のような感覚で食べられるようにと、ややゆるめに巻いてある。

これが、今までなんでカッパ巻きを塩で食べなかったのかと思うほど、驚きの清涼感! これは暑い時期や口中をさっぱりと終えたいとき、ぜひとも頼んでほしい締めの一品だ。

「日々、もっとおいしく。とはいえ出過ぎない値段や雰囲気で気軽に来れるようなお店を」と語る野本さんの言葉通り、『谷中 松寿司』では昼夜ともにおまかせで、なんと昼4,500円、夜6,500円で提供している。鮨を食べるのに値段やなんだと野暮なことは言いたくないが、通いやすい! と気持ちが軽くなる値付けだ。

休日は、鮨はもちろん、フレンチからパンまで、さまざまなジャンルを食べ歩き、多種多様の味をインプットしているという野本さん。その体験を、生まれ育ったこの『谷中 松寿司』でたくさんアウトプットしてほしい!

寛いで鮨を味わいたいときの候補にぜひおすすめしたい「現代の町寿司」だ。

【メニュー】
▼昼
おまかせ 4,500円
▼夜
おまかせ 6,500円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です

撮影:岡崎慶嗣

谷中 松寿司

住所
〒110-0001 東京都台東区谷中3-2-7
電話番号
03-3821-5087
営業時間
昼 12:00~14:00(最終入店13:00)、夜 18:00~22:30(最終入店19:30)
定休日
不定休 ※営業日はホームページを参照
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/r4mamgdy0000/
公式サイト
https://www.matsusushi.tokyo.jp/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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佐川 碧
ライター