1品100円から!?『四川飯店』で20年『はしづめ』で6年研鑽を積んだ実力派料理人が居酒屋をオープン

2019年06月19日
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1品100円から!?『四川飯店』で20年『はしづめ』で6年研鑽を積んだ実力派料理人が居酒屋をオープン
Summary
1.超本格派なのに驚くほどリーズナブル! 東京・新中野に中華料理店『ゆずのたね』がオープン
2.『四川飯店』で20年研鑽を積み、『はしづめ』で6年店長を務めた料理人が独立
3.メニューは100円~。中心価格帯は300~400円台という驚き

中華料理の名店出身の料理人が、リーズナブルな“飲み屋”をオープン

街の中華もいいけれど、たまには中華の真髄を堪能したい。その願いを、極めてリーズナブルな価格で叶えてくれるのが、2019年6月に東京・新中野にオープンした『ゆずのたね』。

料理長を務めるのは、かの『四川飯店』で20年以上の修業を積んだ後、『ミシュランガイド東京2018』で一つ星店として掲載されたこともある『はしづめ』で、広尾、青山、原宿の各店舗料理長として腕をふるってきた初見直人さん。

経歴だけ見ると、リーズナブルな価格帯で新店舗をオープンしたとは信じがたいが、ほとんどのメニューが300~400円台なだけでなく、日本酒や焼酎までバラエティ豊かにそろうアルコールメニューも同一価格帯なのだ。

「昔から飲み屋をやりたかったんです。高級店でのたまの贅沢もステキだけど、自分の店をやるなら、毎日でも通いたくなる店がいいなと思っていました」。

実は長年にわたってその夢を抱いていた初見さん。過去には、『四川飯店』退職後に半年間、やきとん屋で修業したこともあるのだとか。

「当時の経験が今すごく活きています。たとえば、看板メニューとして四川火鍋もつ煮を掲げていることもそのひとつ。毎日仕入れる生の内臓を使って煮込んでいます」。

鮮度のいいモツを「四川火鍋」で楽しめる名物料理

シロ、テッポウ、ガツ、ハチノス、センマイ、牛スジなどありとあらゆる内臓がコンニャクとともに煮込まれた一皿(写真下)は、まさに酒が進む居酒屋メニュー。
もつ煮単独だと380円のところ、100円の煮卵と200円の煮豆腐も入った「全部入り」にすると、それぞれ単品で頼むより100円お得な480円になるのもうれしい。

四川火鍋は発汗作用抜群で、あっという間にはじめの一杯を飲み干してしまいそう。
モツは甘みが感じられ、モツそのものの味わいに酔いしれてしまう。
「モツの臭みが苦手」という人も、これだけフレッシュならきっと大丈夫。さまざまな部位が混在しているので、食感の違いを楽しむのもいいし、ふたりで来店して好きな部位を分け合うのもいいだろう。

絶妙な火入れ! スナック感覚で楽しめるピーカンナッツの飴あえ

続いて紹介するのは、四川料理でたっぷりと汗をかいた後の箸休めにぴったりな「ピーカンナッツの飴あえ」(写真下)。

茹でてアクを抜いた後、砂糖をまぶして175℃の油で揚げたピーカンナッツは、カリッと噛むたび、口の中いっぱいに香ばしさが広がっていく。

実はこの“175℃”というのはとても重要で、これより温度が高いと焦げてしまい、低いと飴がうまく溶けないそう。温度を保って揚げることによって、絶妙なおいしさを生み出している一品なのだ。

ピリリとしびれる「タコの野山椒あえ」は、ビールのつまみに最適

続いては、ミニトマト、ラディッシュ、インゲン、セロリと、カラフルな野菜たちに彩られた「タコの野山椒あえ」(写真下)をご紹介。

こちらは見た目はさっぱりしているものの、ひと口食べるとうま味成分も辛味成分も強く、食べ進めるほどに汗がじわじわとにじみ出てくる一品だ。

それもそのはず。沖縄独自の発酵食品である「豆腐よう」をたっぷりと使っているため、うま味調味料なしでもコク深く濃厚であるうえ、「野山椒」は山椒の一種かと思いきや、実はピクルスのように酢漬けした青唐辛子だから、後味はピリリと心地よく舌がしびれるのだ。

野菜は食感を残した絶妙な火の通り具合。タコのプリッとした歯ごたえも楽しく、豪快にジョッキを傾けながらいただくのにもぴったりな一皿だ。

居酒屋料理の定番「鶏軟骨」も四川風の刺激的な味わいに

辛みのきいた四川の味付けが大好きという人は、「ヤゲン軟骨の四川唐辛子炒め」(写真下)を試してはいかがだろう。

大ぶりの国産ヤゲン軟骨を使ったこちらの一品は、大量の唐辛子と共に盛られてくるためよほどの辛さかと身構えるが、軟骨のうまみのほうが断然強い。しかも、軟骨のまわりには肉がたっぷりとついているので食べごたえも抜群。ニンニクもしっかりときいているので、鼻からも食欲が刺激される。

中華×沖縄の見事な融合を楽しめる「大アナゴの唐揚げ」

最後に紹介するのは、お酒好きならぜひ泡盛とともにオーダーしてみてほしい「大アナゴの唐揚げ~上海風ソース~」(写真下)だ。

醤油、中国醤油、砂糖、生のパクチーの茎部分やローリエなどを煮込んで作った上海風ソースをまとった大アナゴの唐揚げを、なぜ泡盛とともに試してほしいかというと、料理の仕上げとして、沖縄のコショウである「ヒバーチ」が振りかけられているから。

このスパイスは、初見さんの表現を借りると、「ニッキとコショウの間みたいなちょっと甘めな味」。
みたらし団子のようにまろやかな上海風ソースのアクセントとして使うことで、味わいに深みが加わる。カラッとジューシーに揚がったアナゴに、上海と沖縄のエッセンスを加えていただけるとはなんとも斬新。

近所の人にとって、なくてはならない存在になりたい

煮込みから炒め物、揚げ物まで、お酒に合うメニューぞろいの同店が目指すところは、「近所の人にとってなくなったら困るお店」。
特別な日に予約するお店ではなく、仕事帰りにふらりと立ち寄っていつもの一杯を楽しみながら、一日の疲れを癒す存在でありたいのだという。

笑顔で明かしてくれた初見さんは続けて、「『桃栗3年、柿8年』の続きに『柚の大馬鹿18年』というのがあるのを知っていますか?」とおもむろに問うてきた。

「9年経って花を咲かせ、その9年後である18年後にようやく実をつける柚子のように、時間をかけてゆっくりであっても、新中野にとってなくてはならないお店に成長したいんです」。

加えて、冬至生まれの娘・ゆずさんが幼いころ、「将来は料理人になりたいな」とこぼしたことがうれしく、「ゆずのために種を撒いておこう」と思ったのだとも明かしてくれた。

もちろん、食材としての柚子も大好きだという初見さん。柚子をきかせた料理やお酒のラインナップもそろっているので、おすすめを訊ねながらいろいろ試してみてほしい。一人での来店でもいろんなメニューを試したくなる価格帯だから、足を運ぶたびに好きな料理が増えていくことをぜひ楽しんでみては?


【メニュー】
・四川火鍋もつ鍋 380円
・(同)煮卵 100円
・(同)煮豆腐 200円
・(同)全部入り 480円
・タコの野山椒あえ 380円
・ヤゲン軟骨の四川唐辛子炒め 380円
・大アナゴの唐揚げ~上海風ソース~ 480円
・ピーカンナッツの飴あえ 350円
※本記事に掲載された情報は、掲載日時点のものです。また、価格はすべて税別です


撮影:岡崎慶嗣

chinesebar ゆずのたね

住所
東京都中野区中央3-34-1 1F
電話番号
050-1142-5020
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
営業時間
月~金
ディナー 17:30~22:00
(L.O.21:30、ドリンクL.O.21:45)

月~日・祝前日・祝日
ランチ 11:30~14:15
(L.O.14:00、ドリンクL.O.14:00)


ディナー 17:00~23:00
(L.O.22:00、ドリンクL.O.22:30)

日・祝日
ディナー 17:00~21:30
(L.O.21:00、ドリンクL.O.21:00)
定休日
月曜日
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/h90wa0tf0000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。