新宿『きむら丼』でミシュラン二つ星のマグロ丼を喰らえ! 鮨の名店プロデュースのどんぶり専門店

二子玉川にある鮨店『すし㐂邑(きむら)』は、ミシュラン二つ星を獲得した、日本でもトップクラスの人気を誇る寿司店。その『すし㐂邑』の大将・木村康司さんがカジュアルな寿司店をプロデュースした。それが新宿『きむら丼』。バンコクに続く国内唯一の支店として2021年7月にオープン。早くも大繁盛の兆しを見せている。

2021年10月20日
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新宿『きむら丼』でミシュラン二つ星のマグロ丼を喰らえ! 鮨の名店プロデュースのどんぶり専門店

二子玉川駅から少し歩いた場所に予約の取れない人気の鮨店がある。それが『すし㐂邑(きむら)』だ。

ミシュラン二つ星を獲得した実力派で、昨今の“熟成鮨”ブームの先駆者として語られる名店だが、その鮨を味わうのはなかなかハードルが高い。

しかし、その味が手軽に、新宿で食べられる⁉ と噂が流れたのは2021年の夏。それが今回紹介する新宿『きむら丼』だ。

あの予約困難店の味が“丼”になって登場! 『㐂邑』らしい味と新しい味とは?

『きむら丼』は『すし㐂邑』の大将である木村康司さんの名前に由来している、とわかるが、そこに続く“丼”とは?

そのコンセプトと鮨と丼のつながりを教えてもらうべく、訪れたのは新宿駅から徒歩すぐ、「高島屋タイムズスクエア」のレストランフロア14階。エレベータで上がるとすぐ、目にも鮮やかな紺色の暖簾が目に入る。

こちらをプロデュースしたのは先述の『すし㐂邑』の大将・木村さん(写真上・左)。そして調理を統括しているのは鮨職人の中村浩一さん(同・右)だ。

店内に入ると広々とした空間が広がり、窓の外には四谷方面の緑豊かな景色が美しい。ゆったりとしたテーブル席は席数も多く、会食など多用途に使えそうな半個室もある。

鮨店というイメージからちょっと緊張しそうなカウンター席の造りかと思いきや、たっぷり光の入る店内は清々しく、鮨初心者でも安心して食べられそうな開放感がありとても気持ちいい。

さて、意外性のある立地に店内、そして“丼”を店名に掲げる理由。これらの謎を解くべく、木村さんの想う『きむら丼』らしいメニューを紹介してもらった。

スペシャリテの鮪を使った丼は『すし㐂邑』らしい感性をじっくり味わえる

まずは一番人気という「中とろ燻し丼」(写真下)から。

丼が到着するとともにまず感じたのは、香り! マグロをサクのまま藁(わら)で炙ったことによる香りだそう。

表面だけを炙ったマグロは漬けにし、食べやすい厚みにスライス、そして提供前に一枚一枚、卵黄をからめ、味にコクとまろやかさを出す。

そして丼によそわれるのはご飯ではなくシャリ。これは『すし㐂邑』の要であるシャリと同じ味わいが楽しめるように、固めに炊いたシャリを『すし㐂邑』でも使っている京都の『株式会社飯尾醸造』の赤酢と米酢をベースに、キリっとした味に仕上げている。

そのシャリを盛り付けるのはしゃもじではなく、手。その理由は手を使うことにより米粒を潰さずふんわりと空気が入り、食べたときにぱらりとほどけるような食感になるからだそう。握り鮨のシャリを再現しているのだ。

こっくりと濃厚な味わいの中トロにも手を加え、ここにしかないひとつの味を作る“仕事”にこだわる木村さんらしい仕上がり。

そこにこれぞ『㐂邑』! というようなシャリの組み合わせは、どこを切り取っても相性がよく、まるでマグロの鮨を食べたような満足感で満たされる。なるほど、これぞスペシャリテというような印象深い味わいだ。

まさかの『㐂邑』流デミ丼⁉ 本家では決して食べられない「肉」を使った丼は必食!

こちらは、“季節の丼”より「頬肉のデミカツ丼」(写真下)。

先ほどの中トロの丼とはビジュアルも味の方向性もまったく違う丼に驚きを隠せないが、その理由を「18歳から賄いで丼をたくさん作っていた経験があり、肉も魚も野菜も丼ひとつでごちそうになる“丼”は自分にとって非常に馴染み深いメニューなのです」と木村さんが教えてくれる。

“鮨”の看板を掲げている『すし㐂邑』では、やはり海産物とシャリが構成の基礎になるが、こちら『きむら丼』では、ここだけの味を探求すべく、旬に合わせたさまざまな食材を使っているそうだ。

「木村さんといえば魚」という先入観があるが、まさかここで肉料理をいただけるとは……。

しかし、調理の端々に隠されたこだわりを見ていると、肉料理でもやはり“きむら丼”なのだということがわかる。

たとえば、国産牛の頬肉は揚げる前に圧力鍋で一度炊き、ホロリとした食感に仕上げる。味の要となるデミグラスソースは肉のコンソメをベースに、柚子七味を加えることで和の仕上がりに寄せている。

ひと口食べるとサクリとした衣から牛肉がホロホロとほどけ、ソースの濃厚ながら爽やかな味わいが広がる。

また、牛肉とデミグラスソース、それにシャリとは、まったく正反対のイメージであったが、いただくと甘みと酸味が一体になり、素晴らしくおいしい。

この一体感で口いっぱいに頬張る感覚こそ丼であり、その相性のよさは握り鮨の組み合わせそのものだ。

ちなみにもうひとつのこだわりとして“地産地消”を掲げており、副菜や椀物などに使われる野菜などは東京産の食材を積極的に使っている。

自分たちが伝えられるおいしさで、「食という幸せ」を広げたい

本店を離れ、支店を計画する話が上がったとき、木村さんが考えたのは「自分のできるおいしさをもっと多くの人に伝えたい」「そしてそれによって幸せを広げたい」という2点。

そのため、本来の『すし㐂邑』のスタイルをあえて追わず、より多くの人が手軽に手に取りやすい「丼」というスタイルにたどり着いたそう。

そして「丼」にすることで鮨よりも広がりが大きく、それこそ洋食的なメニューや肉までいろいろチャレンジできる。そして『きむら丼』のこのメニューが完成した。

また、夜のメニューでは雲丹蕎麦や珍味など、本家『すし㐂邑』らしい料理もいただくことができるのも、なかなか訪問の叶わない“邑”ファンにはうれしいところだろう。

従来の美味しさと新しい味の出会い、食べることで幸せが広がる『きむら丼』の味。このこだわりで立地もよく、通し営業と使い勝手もいい。

ひとりランチから時間外の食事、ゆったりとしたディナーなどそれぞれの目的に合わせて「丼」を堪能するのはいかがだろうか。

※お酒の提供については現在、国や自治体の要請に準じています。

【メニュー】
▼丼
中とろ燻し丼 3,500円
季節の丼(頬肉のデミカツ丼) 4,000円
※内容は季節により変わります
ランチタイム
▼きむら丼 3,500円
小どんぶり二種 3,800円
※メニュー内の丼から選択
▼ディナータイム
夜メニュー 6500円
▼ドリンク
日本酒(一合)1,250円~/焼酎(グラス)750円~ 他
*ワインやビール、ソフトドリンクあり

※本記事に記載された情報は、取材日時点のものです。価格は税込みです。

きむら丼

住所
〒151-8580 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-2 タイムズスクエアビル14F
電話番号
03-5361-2027
営業時間
11:00~20:00(当面の間)
定休日
※1月1日
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/c1mx41rt0000/

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。