007を気取って飲む、力強いシャンパーニュ

【連載】金曜日のシャンパーニュ week5  ここ数年、シャンパーニュを飲む人が増えている。香り、味わい、爽快感…他の「泡」では得られない満足感はシャンパーニュならでは。そこで、ちょっとリッチに過ごしたい金曜の夜に飲みたいシャンパーニュを日本を代表するワインジャーナリストでシャンパーニュ通として知られる柳忠之さんにセレクトしていただいた。

2015年10月30日
カテゴリ
レストラン・ショップ
  • レストラン
  • ワイン
  • 東京
  • 白金高輪
  • 連載
007を気取って飲む、力強いシャンパーニュ
Summary
・ジェームズ・ボンドが"愛した"メゾン
・アイ村に165haの畑
・あの歌うソムリエールのいる店で

白金台のワインバーでダンディな1本を

007の最新作「スペクター」の公開までひと月あまり。ジェームズ・ボンドお気に入りのシャンパーニュといったら、そう、ボランジェである。
木枯らしが吹きすさび、夜はめっきり冷え込むこの季節、ピノ・ノワールが多めにアッサンブラージュされた、力強く、ボディのしっかりしたボランジェはお誂え向き。白金台のワインバー、「Canon」のカウンターにひとり腰掛け、MI6のエージェント気分に浸るのも悪くはない。

スペシャル・キュヴェ

ボランジェが本拠を構えるのは、ランスのサン・ニケーズの丘でもエペルネのシャンパーニュ大通りでもなく、グラン・クリュのひとつ、アイ村。マルヌ渓谷の一部ながら、高品質なピノ・ノワールを育むクリュとしてよく知られている。
ボランジェのすごいところは、このアイを中心に165ヘクタールもの自社畑を所有し、必要とするブドウの6割を賄っていること。毎日40名のスタッフが畑のケアにあたっているから、ピノ・ノワールにベト病の被害が広がった2005年のような難しい年でさえ、ミレジメのグランダネを造ることができたそうな。また大手メゾンとしては数少ない、木樽の使い手としても有名。メゾンにはMOF(フランス最優秀職人)の称号をもつ樽職人が常駐し、樽の修繕にあたっている。

ジェームズ・ボンドを本気で気取るなら、グランダネか、それを長期熟成させたRDだが、そこまで真似るとちょっと痛いヤツに見られかねないので、ノンヴィンテージのスペシャル・キュヴェにしよう。
スペシャル・キュヴェはピノ・ノワール60%、シャルドネ25%、ムニエ15%のアサンブラージュ。連続するふたつのヴィンテージをベースにマグナムボトルで熟成させたリザーヴワインを加え、30ヶ月以上の瓶内熟成を施したこのノンヴィンテージは、パワフルにしてエレガント。あらゆる危機を乗り越える持ち前のタフネスと、トム・フォードのスーツをさらりと着こなす粋なジェームズ・ボンドには、このシャンパーニュがじつによく似合う。

「Canon」はシンガーソングライターにして、歌うソムリエールの野田幹子さんがマダムを務めるワインバー。月に一度(時期によっては二度)ライブを開き、その色褪せない歌声を披露している。ミュージックチャージにシャンパーニュ1杯がサービスされ4,000円はお得。スリッパに履き替え、リビングルーム風にくつろぐスタイルをとることもあるそうだ。

※柳忠之さんのスペシャルな記事『キンメリジャンがワインに何を与えるのか?~ワインマニアのためのテロワール講座その1~』はこちら

Canon(カノン)

住所
〒108-0071 東京都港区白金台5-3-2 ジェンティール白金台B1F
電話番号
03-6450-2961
営業時間
19:00~翌1時
定休日
不定休
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/bb69trfn0000/
公式サイト
https://www.facebook.com/canon.shirokanedai

※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです。
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。