フレンチ業界で早くも話題! 1年限定で若手実力派シェフが腕を振るうレストランが麻布十番に誕生

2016年08月19日
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フレンチ業界で早くも話題! 1年限定で若手実力派シェフが腕を振るうレストランが麻布十番に誕生
Summary
1.期間限定でシェフが変わる! 若手実力派の料理人を育てるフレンチレストランが麻布十番に誕生
2.『ピエール・ガニェール』、『トロワグロ』などフランスの名門星つきレストランで修業した29歳の若きシェフ
3.まるでアート!? 花やハーブを巧みに使った芸術的な料理にうっとり

こじゃれた隠れ家レストランが多い麻布十番の裏路地。閑静な地に2009年からブルゴーニュワインとシャンパーニュのお店として営業していた『ビストランエレネスク』が、今年6月業態を変えてひっそりとリニューアルを遂げた。

『RNSQ by Katsuji Yoshino(エレネスク バイ カツジヨシノ)』でシェフを務めるのは吉野勝二さん。まだ29歳という若さながら、『ピエール・ガニェール』や『トロワグロ』など、フランスの名門星つきレストランで修業を重ねてきた実力の持ち主。国内でも『セララバアド』や『サーモン&トラウト』などで限定ディナーを開催すれば、即満席となるほどの人気を誇る。これまで食べたくでも簡単に体験できなかった噂のシェフの料理が、1年だけという期間限定だがここに来れば必ず食べられるという保証ができた。このチャンスを逃す手はない。

食べ終わるまで心踊る!遊び心つまった4つのアミューズ

コースは2種類用意されている。お酒を主体に楽しみたい人向けのライトコースと、前菜と肉料理が追加されたフルコースはお得なシェフおすすめコースとなっている。特に決まったメニューはないから、何が出てくるかはお楽しみ。

「はじめに出すアミューズは、シャンパーニュに合うものを意識して作りました」と話す吉野シェフの遊び心つまった本日のスナック。

「鴨の生ハム」なんて口にできる機会は少ないだろう。コク深い味わいは、舌にのせた瞬間とろんと表情を変える。パートブリックという小麦粉でできた薄い生地が、パリッとアクセントになっていて食感が楽しい。

まるでアートのような「生姜のチップス」。
「どこにあるの!?」と思わず聞きたくなるほどの菊の花びらで埋め尽くされた演出は、シェフからの小さなサプライズ。生姜、レモンピューレの酸味に、菊の花で苦みをプラスすることで爽やかな味わいに。シャンパーニュと一緒にいただくと、さらに清涼感が増す。暑さで火照った身体も一気に冷めるだろう。

芳ばしいハーブの香りいっぱい「エピセアのサブレ」。
エピセアとは、もみの木の新芽のこと。オレンジピューレとエピセアのピクルスがのっているから、酸味と甘みのバランスが良い。極小の蕾がかわいらしいウイキョウの花とともに、華やかな香りを楽しみたいスナックだ。

「黒米(くろまい)のチップス」。 
アンチョビバターにシソの粉や黒米を合わせることで和を感じるテイストに仕上がっている。生い茂る草の上に添えられたチップスには、ディルの花がちょこちょこと。ふわっと口のなかで消えていく、芳ばしいおせんべいのようなチップスは、樽香のきいたシャンパーニュと一緒に食べたくなる。目を惹く皿の数々に、お客を喜ばそうというシェフからの歓迎の気持ちが伝わってきた。

水彩画のように色鮮やかな魚料理と、漆黒が美しい肉料理

この日のメインはこちらの2種。まず、魚料理は「フランス産ブルーオマール グレープフルーツのマーマレード」。

花やハーブがいっぱいに散りばめられた、お花畑のようなお皿に心くすぐられた。ブルーオマールの繊細な甘みをひきだすよう、火入れは軽めに仕上げられている。グレープフルーツのマーマレードは、パリの高級百貨店『ギャラリー・ラファイエット』から取り寄せているオリジナルスパイス、タンドリーマサラで味付け。マンゴーソースやセロリオイルと共に、エスニックな雰囲気へと誘ってくれる。ルバーブのピクルスや柑橘類の酸味と、コールラビのジュース、たくさんのハーブの苦みと色合いが夏らしい1品だ。

肉料理「ランド産ピジョン クラシックショコラ」は、古典的なスタイルで登場。

しっとりと焼き上げられたフランス・ランド産の小鳩は、赤身なのにとても柔らかい。上に乗せられたアマゾン産のチョコレートチップスは、極薄でもパリパリ感を演出できるよう、パラチニットという飴細工に使用する砂糖を混ぜて作られたもの。カカオから全く雑味を感じないことに、何か秘訣がありそうだ。「このカカオじゃなかったら、ピジョンは使わなかった」と吉野シェフが明言するほどこだわったカカオとは、アマゾンの奥地で育ったクリオロ種95パーセントとほぼ純粋なものである。ペルーで大人気のレストラン『アストリッド・イ・ガストン』の元料理人、太田哲雄さんからいただいた希少なカカオとの出会いから生まれたメニューは、ここでしか食べることができない。

「お客様にお出しする食材にこだわり、必ず自分の目で確かめたい!」という吉野シェフ。食材探しは国内だけでなく海外へも足を運ぶ。どういう餌を食べさせて、どんな質の肉を生産したいのか。また、どのような環境で野菜や生き物を育てていきたいのか、生産者の方にヒアリングを綿密に行い、納得したものだけを使用。吉野マジックに欠かせない種類豊富なハーブと新鮮な野菜は、那須高原で育ててもらっている。選び抜いた食材に魔法をかける厨房では、笑顔を絶やさず無邪気に料理する。愛情を感じる料理ができていく秘訣は、どうやらここにもありそうだ。

未来ある料理人たちをプロデュース

「いま、料理人を目指す人が減ってきている。だからこそ、未来ある料理人たちをプロデュースしたい!」と話してくれたのは、オーナーの大瀧章雅さん。食に興味をもたない若者が増え、レストランの人手不足を感じているという。食文化が壊れてしまわぬよう、自ら若手料理人応援プロジェクトを立ち上げた。そのとき、渡り鳥のように有名レストランばかりで料理を披露していた吉野シェフと出会ったことから“新生エレネスク”プロジェクトの第1章がはじまった。

吉野シェフが料理人になろうと思ったのは、鎌倉にあるフレンチレストラン『サラマンジェ・ド・ヨシノ』のオーナーシェフとして活躍する兄の影響だという。「兄がなれるなら俺にもできる!」ただ負けず嫌いだった吉野シェフが夢を追いかけ10年経ったいま、培ってきた技術をシェフとして披露する場にたどり着いた。1年後には、吉野シェフはここにはいない。次はオーナーシェフとして自身の店を開くとのこと。

「どんな店にしたいか?」という問いに「ずっと高級店にいたので、普通に友達を呼べる、みなさんに気軽に楽しんでいただける価格帯にしたい。勤めて3日で初めて辞めたいと思ったほど複雑な調理が多かったパリ7区の『David Toutain(ダヴィッド・トゥタン)』のような料理を作りたい」と優しい口調で答えくれた。修業先のなかでも、料理構成が26品もあり、シェフはすごく厳しく大変だった。だが、必死で学びたかったことは、お店のテーマでもあるハーブの使い方。吉野シェフが作る料理は、ハーブがいっぱいの香り豊かなメニューばかりなのだ。この店に限らず、修業先では学びたいと思うことだけを追求しながら働いた。皿の上の魔術師と呼ばれる『ピエール・ガニェール』では、盛り付けの技術を。『トロワグロ』では、どの料理からも“酸味と甘み”を感じさせるというテーマをもったメニュー作りを。師事してきた有名シェフたちから学んだそれぞれの技を継承し、自分の料理に活かして今のスタイルが生まれた。吉野シェフが自身の店を持ったとき、弟子たちに何を残すのだろう。『エレネスク』で過ごす1年間で吉野シェフがどんな風に発展していくのか、楽しみでならない。また、次なるシェフはどんな料理をふるまってくれるのだろうか。期待と想像が膨らむばかりだ。

(文・取材/植木祐梨子)

【メニュー】
ライトコース:アミューズ4種、5皿の8,000円
フルコース:アミューズ4種、7皿の10,000円
※価格はすべて税抜

RNSQ by Katsuji Yoshino(エレネスク バイ カツジヨシノ)

住所
〒106-0045 東京都港区麻布十番3-3-9 COMS AZABUJYUBAN 2階
電話番号
03-6459-4629
営業時間
18:00〜22:30(L.O.)、ワインバー25:00まで
定休日
定休日 日、祝日の月曜日
公式サイト
http://rnsq74.com

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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Kyoko Maruyama
ライター/フードアナリスト
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ライター&編集 料理・酒・旅探求人