築地の胃袋を支える名店! 築地ツウに聞いた、移転前に絶対行くべき場内の店まとめ

2016年08月29日
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 築地の胃袋を支える名店! 築地ツウに聞いた、移転前に絶対行くべき場内の店まとめ
Summary
1.築地のツウに聞いた! 築地市場内の名店4軒
2.市場で働く人たちを支えてきた「魚がし横丁」の絶品グルメ
3.歴史を知り、実際に市場内に行ってグルメを味わう価値とは何か

豊洲移転を間近に控える築地市場。実際は水産物、青果物を取り扱う公認の卸市場である。築地市場は、日本の市場の中心として、また主に水産の建値市場(価格決定機能を持つ市場)としての役割も担っているのだ。

仕入れに通う食のプロたちが、買い物や食事をする店が集まるのが、魚がし横丁。魚がし横丁には、飲食店と、物販店合わせて約140店舗があり、早朝から多くの客が訪れている。
そんな魚がし横丁には、市場内で働く人の胃袋を支えてきた名店がある。そこで、移転前に行っておきたい築地市場内の名店を訪ねてみた。

築地グルメと聞けば、寿司や海鮮丼のイメージが強い。しかしながら、築地で働く人は、一般客がこぞって行くような寿司や海鮮丼といった店に行くことはあまりないらしい。仕事として市場に来ているので、やはり早い、旨い、安いが揃ったお店がいいのだ。食のプロが集まる築地で、日本の胃袋を支える人たちを満足させてきた市場内のグルメを紹介しよう。

■黄金の親子丼が絶品!『鳥藤』の親子丼

築地で鳥といえば、創業明治40年の『鳥藤』。しかしながら、魚がし横丁に店を構えたのは、意外にも6年くらい前からだそうだ。
場外市場を中心に商いを行なってきた『鳥藤』も市場内で働く若い人たちのニーズに応え、魚がし横丁に出店。看板メニューの親子丼から、海外の客にも喜ばれるシンガポールチキンライスまで、鳥の専門店だからこそできるクオリティの高い鳥の丼が食べられる。

8時に店を訪ねると長靴をはいた市場で働くお兄さんたちが丼を一心不乱に食べていた。

濃い目のだしと卵の半熟具合が合わさって、ご飯の下までだしが染み込んでいてる濃厚な味わいの親子丼。だしと絡んだ鶏肉とご飯の相性は抜群だ。店主の正野輝久さんいわく、『鳥藤』の親子丼のこだわりは、火の入れ方にあるという。鶏の銘柄はシーズンごとに変わるが大山地鶏や銘柄鶏を使用している。卵で鶏肉を包むようにして火を通すことでふわっとした口当たりになるそうだ。また、肉の切り方も親子丼のうまさを引き出すポイント。繊維に沿って切られた肉は、噛みごたえがしっかりしている。鶏肉のプリッとした食感が楽しめるのは、鶏肉を知り尽くした『鳥藤』の細やかな技のおかげである。

メニュー 
・親子丼 800円(税込)

鳥めし 鳥藤場内店

住所
〒104-0045 東京都中央区築地5-2-1 築地卸売市場8号館
電話番号
03-3542-7016
営業時間
06:00~14:00
定休日
不定休日あり ※日曜日・祝日※築地市場に準ずる
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/egwgzpsa0000/
公式サイト
http://www.toritoh.com

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

■80年の歴史を持つ、市場の憩いの場『センリ軒』

『センリ軒』は、サンドイッチやコーヒーが楽しめる市場内のカフェのような存在。

長年、センリ軒で愛されるスペシャルセットは半熟玉子のシチューとトースト、サラダの組みあわせ。

半熟玉子を割れば、トロトロの黄身がシチューに溶け込み濃厚さが増す。焼きたてのトーストにはたっぷりのバターが染み込み、四つ切りにした細長いパンをシチューに浸して食べれば、クリーミーなコクが更に引き立つ。

寒い時期にすぐに体が温まるようにと、市場で働く人のことを思い先代がシチューを考案したそうだ。当時から現在まで続く看板メニューである。家庭的な甘口のシチューは、今もなお市場の人の心を掴んで離さない。

メニュー
スペシャルセットメニュー 1,100円
(半熟玉子入りシチュー半個、バタートースト、サラダ、珈琲または紅茶)

センリ軒

住所
〒104-0045 東京都中央区築地5-2-1 築地市場 8号館
電話番号
03-3541-2240
営業時間
4:00~12:30
定休日
定休日 日曜・祝日 不定休(築地市場に準ずる)
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/7akj9c4t0000/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

■珈琲『愛養』の八つ切りトーストのストーリー

長いカウンター席には常連が集い、穏やかな時間が流れる居心地がいい喫茶店『愛養』。日本橋の市場で始まったミルクホールの出張所『愛養軒』の名残である。愛養のトーストの歴史もここから始まっている。

昔は、バターとジャムのトーストを1枚ずつ食べる人が多かったが、今は1枚のみオーダーする人が多いらしい。そこで、定番のバターとジャムの相乗りのトーストができたそうだ。細かく切られた八つ切りの理由は、市場で働く人の手が汚れていても楊枝で刺して食べられるようにという配慮。名物の八つ切りトーストには、市場で働く人を想う意味が隠されていた。

トーストと半熟卵、ホットミルクコーヒーが定番のメニュー。サクサクのトーストにしっかりバターが染みこみ、半分は甘酸っぱいイチゴジャムがたっぷり塗られている。バターといちごの甘い香り…朝には嬉しい幸せの香りである。

卵はレトロな卵置きに乗ってくる。スプーンですくって食べると程よい半熟の黄身が現れる。このまま食べても、トーストに乗せて食べてもおいしい。昔は多くの市場の若い旦那衆が来ていたという珈琲『愛養』。移転はせず、築地の終わりと共に歴史に幕を閉じる。

メニュー
ミルクコーヒー 420円
トースト 220円
ゆで卵 60円
※価格全て税込

愛養

住所
〒104-0045 東京都中央区築地5-2-1 築地市場6号館
電話番号
03-3541-2140
営業時間
3:30~12:30
定休日
定休日 日曜・祝日 休市日
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/gjvw3mgb0000/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

■屋号が粋! 納得のボリューム『印度カレー中栄』の合掛けカレー

レトロな看板がなんとも懐かしい雰囲気の『印度カレー中栄』。大正元年に創業した当時は寿司屋だった。「寿司屋の時は、『中江(なかえ)』でした。そこから、大正元年にカレーを中心とした洋食屋に生まれ変わり現在の屋号『中栄(なかえい)』となりました。先代の中ほどに栄えなさいという意味も込められています。商売を続けるなら、大儲けを企むな!ということです」と店主の円地政広さん。円地さんは、中栄の四代目となる。

店内にはカレーの香りが漂い、市場で働く人がひっきりなしに店に入っていく。

人気は、印度カレーとハヤシライスの合い掛け。2つの味を楽しめる欲張りなカレーだが、味は本格的である。数十種類のスパイスを使用した香り豊かな印度カレー。豚肉を使用しており、肉のうまみ、野菜の甘みが凝縮されている。牛肉がしっかり入っているハヤシライスはコクのある甘口のルーだ。

細い千切りキャベツにルーを絡ませて食べると、スパイシーな香りとキャベツの甘み、シャキシャキした食感がくせになるうまさ。カレーに彩りを添えるだけでなく、カレーのあと味をさっぱりさせてくれる効果もある。常連が多いため毎日食べに来てくれる人を思い、市場内のお店としてはできる限り、650円というリーズナブルな価格でカレーを提供している。

高度経済成長期には、父親が子供を連れて市場に買い出しにくることが多かったそうだ。そこで、子供が好きなカレーをだす洋食屋として、多くの人に愛された中栄。豊洲と築地にできる『築地魚河岸(つきじうおがし)』への移転が決まっている。新たな場所でも、先代から受け継いだ印度カレーで多くの人の胃袋を満たしてくれるだろう。

メニュー 
・合掛けカレー 650円(税込)

印度カレー中栄

住所
〒104-0045 東京都中央区築地5-2-1 築地市場 1号館
電話番号
03-3541-8749
営業時間
5:00~14:00
定休日
定休日 日曜・祝日 不定休(築地市場に準ずる)
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/fzvw92v90000/

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

■今、実際に市場内に行って食べる価値とは

築地市場は開場から81年、日本の食文化を支えてきた場所だ。今年の11月に豊洲へ移転すれば、築地の様子もガラリと変わる。その前に、市場内の空気、香り、人の活気を感じながら、名店の味を体験してみてはいかがだろう。
(取材・文/矢野詩織)