あの名店の名物「水炊き」がついに専門店になって誕生! スープが強烈にうまい水炊き専門店『鼓次郎』

2017年04月03日
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あの名店の名物「水炊き」がついに専門店になって誕生! スープが強烈にうまい水炊き専門店『鼓次郎』
Summary
1.記憶に残るコラーゲンたっぷりの濃厚スープ!
2.あの久我山の名店『器楽亭』が作ったのは水炊き専門店
3.見えないひと手間が料理を変える

名店『器楽亭』から水炊き専門店が誕生

久我山の『器楽亭』は絶品料理と日本酒で食通たちを唸らせ続けてきた名店だ。居酒屋と銘打っているが、高級料亭並みの料理を供し連日満席状態が続いている。そんな『器楽亭』が田町に新店をオープン。それが水炊き専門店『水炊き鼓次郎』だ。

店主・浅倉鼓太郎さんの好物で『器楽亭』の裏メニューとして供されていた水炊きだが、いつしか常連たちの間で評判となり、とうとう前日までの予約メニューに。ところが一度食べると次回必ず予約されるようになり、ついに水炊きが主役の『水炊き鼓次郎』をオープンする運びとなったのである。浅倉さんはこの店を作るにあたり、「自分が行きたいと思えるかどうか、どこにでもある料理だが、どれだけおいしいと思ってもらえるか」の2点を重視したという。

店内はおひとりさまから大人数まで対応できるような造り。メニューには看板料理である「水炊き」の他、「本日のお浸し」や「胡麻カンパチ」といった一品料理が数品。スワロフスキー付き特製おかもちで料理を運ぶ、笑顔の素敵な女将・高橋里英さん(写真下・左)と、『器楽亭』ひとすじの藤岡誠治さん(同下・中央)、焼鳥ひとすじの髙橋創次さん(同下・右)の三人が中心となるチームワークのよさも人気に拍車をかけている。

火を止めて1分でコラーゲンの膜ができる濃厚スープに悶絶

早速、「水炊き」をいただいたが、こんなにおいしいスープに出逢えて幸せだと思わずにはいられない。

材料は鶏肉と水のみ。じっくりゆっくり10時間かけて白濁させていく。火を止めて少しおいただけでコラーゲンの膜が張るほど濃厚だ。気をつけているのは匂い。煮込みすぎると臭くなってしまうのでギリギリの線を狙っている。

各テーブルに置かれた「水炊きの食べ方」を実践する。まずはスープだけをひと口。鶏のうまみが記憶に残る。そして塩を少し入れてもうひと口。鍋にあるスープをすべて飲み干してしまいたい衝動にかられるが、ぐっと我慢。

鶏肉は、もちっと弾力がある総州「古白鶏」を使用。ひとつは塩、もうひとつは特製酢醤油でいただく。鶏肉は淡白だが濃厚スープが絡まるのだからむしろこのくらいがちょうどいい。

次はつくねを投入。煮すぎないように注意が必要だが、女将の高橋里英さんがちょいちょい見にきてくれて頃合いを教えてくれるのでご安心を。

それから野菜を入れる。シメには麺か雑炊を。迷うところだが麺にしてみよう。かなり細麺であるがこれがいい!

この麺とスープでラーメン屋を開いたら、瞬く間に行列店になるに違いない。

どこにでもある料理、なのに“おいしい”

一品料理もすばらしい。「ポテトサラダ」はジャガイモのゴロゴロ感がわかる程度に茹で、卵、ハム、キュウリ、タマネギを入れ、マヨネーズで和えてでき上がり。まさに家で作っているレシピである。しかし侮るなかれ、プロが作る究極の家庭料理なのだ。食材のバランス、味付け、食感、カリッカリで甘みの強いフライドオニオン、どれを取っても完璧! なのにいい意味でゆるさがある。おそらくマヨネーズも昆布も鰹節もどこにでも売っているものだと予想できる。なぜなら訊いても「いやぁ、そんなすごいものではないので」と言われるから。それなのに、どうしてこんなにおいしいのだろうか。「とにかく何回も試食して何回も作る。その繰り返しです。今も新しく作った料理はスタッフ全員で必ず味見して全員が納得するまで味を整えます」と料理担当の藤岡さん。作っては試行錯誤し、見えないところでひと手間もふた手間も加え、よりおいしく感じるように努力し続けているのである。

もうひとつは「その日の分だけしか作らない」こと。予約の状況を見て仕込んではいるが“売切れ御免”もあると言う。最高の味でなければ出さない。当たり前のことを当たり前に一生懸命やることが実はすごいことなのだと改めて感じさせてくれる。

「水炊き」を食べにきているのに絶対に頼んでしまうのが「唐揚げ」。サックサクでジューシー、ぷっくりとした鶏肉は絶品だ! しかしまたも「特別なことはしていません」と料理担当の髙橋さん。片栗粉をつけて揚げるだけと言う。ただし、揚げる練習は尋常ではないほどしたそうだ。「一瞬、音が変わるんですよ。それを聴いてから少しおいてザルに上げます。そこは感覚です」と達人ならではのセリフ。もはや大きさを見ればちょうどいいタイミングがわかるそうだ。

最後は余熱を使って火入れすれば中はほんのりピンク色。テーブルに運んで口に入れる時に一番良い状態になっている。たかが唐揚げ、されど唐揚げ、究極の唐揚げがここにある。

この味を知ったら「鍋は冬のもの」なんて言っていられない。このスープが一年中いただけるとは本当にありがたい話だ。これは予約が取れなくなるのも時間の問題であろう。

【メニュー】
水炊き (2人前)5,000円、追加1人前2,500円
ポテトサラダ 400円
鶏唐揚げ 500円
※価格は税別

水炊き鼓次郎

住所
〒105-0023 東京都港区芝浦1-14-17 布川ビル1F
電話番号
03-6435-4840
営業時間
17:00〜23:00(L.O.22:00)
定休日

上記は取材時点での情報です。現在は異なる場合があります。

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編集者/ライター/フードアクティビスト
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岩瀬大二
ワインナビゲーター/酒旅ライター/MC