好奇心のすべてを、超え続ける! 最上級「秘密のイノベーティブレストラン」が、神楽坂にオープン

2017年12月08日
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好奇心のすべてを、超え続ける! 最上級「秘密のイノベーティブレストラン」が、神楽坂にオープン
Summary
1.神楽坂の住宅街の奥にオープンした、完全予約制のイノベーティブレストラン
2.シェフは、フランス『ル・プチ・ニース』スペイン『エル・ブジ』など名店で修業した実力派
3.スタイリッシュな空間ながら緊張は無用。五感を刺激する“予測不能”な料理とサービスは中毒性あり

住宅街の路地裏にひっそり開店した“秘密基地”。好奇心は、食事の前から掻き立てられる

2017年10月14日にオープンした『SECRETO(セクレト)』。スペイン語で「秘密」を意味する同店は、“好奇心のすべてを、超え続ける”をコンセプトに、訪れたお客を次々と魅了している。

場所は、牛込神楽坂の路地裏。住宅街の角を数回曲がると、一見見落としそうでありながら、ちょっと怪しげでいてモダンな佇まいのエントランスにたどり着く。一般的なレストランの立地とは大きく違うロケーションだ。ドアを開けるとウェイティングバーが現れ、女性スタッフに笑顔で迎えられる。コースが一斉に始まる19時まで、スパークリングワインをいただきながら、待つことしばし。バーの奥は厨房の様子が見える造りで、これからはじまる食事への期待感がじわじわと高まっていく。

時間になると、1組ずつ客席へ続く真っ暗な廊下に案内される。まるで異空間へ抜けるトンネルのような廊下を進み、突き当たり右の白いドアを開ければ、客席が登場。

ダークグレーにまとめられた部屋に余計な装飾はなく、照明も必要最低限。中央奥にステージのようなアイランドテーブルと、それを囲むようにカウンター式の客席がある。客席のテーブルには白いキューブ型の器と、カトラリーとして箸とピンセットが置かれている。「何が始まるんだろう?」という演出に、お客は冒頭からこの世界にすっかり引き込まれてしまうだろう。

「やりすぎかなと思ったんですけど(笑)。他の方がやっていないことをやりたくて。内装や店作りは考えに考えました。緊張しながら席についても、箸があることで少し緊張が和らぐでしょう? そしてピンセットがあると「どう使うの?」と皆さんわくわくされる。もちろんナイフとフォークも用意していますよ」と笑うオーナーの薮中章禎(あきよし)シェフ。

フランス『ル・プチ・ニース』やスペイン『ドス・パリージョス』『エル・ブジ』などで修業し、帰国後はラグジュアリーホテルである「マンダリン オリエンタル 東京」の『タパス モラキュラーバー』でスーシェフを務めていた実力者。もっとも影響を受けたレストランは『エル・ブジ』(世界中のグルメを虜にし「世界一予約がとれない」と賞賛された、分子ガストロノミーの先駆者フェラン・アドリア氏の店。2011年惜しまれつつ閉店)と伺って、なるほどと納得する。

能登の素材を使い、分子ガストロノミーと伝統フレンチが無理なく融合した料理

『セクレト』の料理はフレンチやスパニッシュ、和の要素がミックスされ、料理とパフォーマンスから成るスタイルから「フュージョン(融合)」と称されるが、それぞれの皿はシンプルでわかりやすく、「素材」がはっきり伝わる料理だ。素材はシェフの故郷、石川県・能登産の魚介類を意識して取り入れている。

コースは13品。そのなかから一部を紹介しよう。

アミューズの後に登場し、誰しも驚く皿「未来寿司」(写真上)。表面は泡で覆われているので、一見何かわからない。ひと口味わうと、さくさくした食感の米のクラッカーの上に、季節の鮮魚の昆布締めのタルタル。繊細でありながらしっかりとしたうまみが、一瞬で花開くように口の中に広がっていく。なお、表面の泡は大豆レシチンと、能登の塩、白ワインビネガーで作られている。

「これから始まる料理を、常識にとらわれず感じるまま自由に楽しんで!というメッセージをこめて『未来寿司』と名付けました」と薮中シェフ。

「パンプキン・エスプーマ・ベーコン」(写真上)。極上のなめらかさに仕上げたかぼちゃのムースを、液体窒素で表面だけを凍らせる。トッピングはベーコンのパウダー。口のなかでさっと溶ける食感が後を引く。

「甘鯛 サフラン」(写真上)。和食器に盛られているが、クラシックなフレンチらしいひと皿。

能登産の甘鯛を、鱗ごと香ばしく焼き上げ、フランス料理の伝統的なソース、ブール・ブランをサフラン風味に仕上げたソースと合わせる。

「包まれたりんご・フラワー」(写真上)。生のリンゴをすりおろし、一晩かけてゆっくり漉して抽出した透明な果汁を、外側だけぷるぷるのジュレに固める。ひと口で味わえば、中から香り高い果汁が溢れる。魚料理と肉料理の間のグラニテ代わりに口をさっぱりさせる。『エル・ブジ』等で培った分子ガストロノミーのテクニックが生かされる。

ステージのようなアイランドテーブルでは“化学実験ショー”も!?

もう一つ、特筆すべきなのが客席と厨房の間に置かれた、アイランドテーブルの存在。

薮中シェフや調理スタッフがここで料理やドリンクの仕上げをすることもあれば、料理の解説をすることも。

化学実験さながらのパフォーマンスは、お客が席を立って近くまで覗きに行ってもいい。「客席カウンターの目の前だと近すぎて、厨房からでは遠すぎるので、ちょうど客席と厨房の中間に位置をとりたかったんです」と薮中シェフ。

客席とテーブルを行ったりきたりしているうちに、すっかり緊張はとけ、シェフに質問したりお客同士で笑いあったり、不思議な親密感が生まれてくる。最後のデザートの「メレンゲ」の仕上げはお客も参加して楽しめ、あちこちで笑い声が起こるほどだ。

ビジュアルや食感がユニークな「驚きの皿」と、王道フレンチの「素直においしい皿」

ひと皿ひと皿が驚きに満ちており、「未来寿司」のような見た目も食感もユニークな小皿が登場したと思うと、どっしりした古典的なフレンチらしいメイン料理が現れるという、緩急のバランスが絶妙だ。

「コースの全体を見ると、イノベーティブ(革新的)な料理のように見えますが、ひと皿ひと皿の料理自体はミックスしません。伝統的なフレンチのような“素直においしいと思える料理”と、見た目や食感を楽しむ“驚きの皿”は意識して分けています」。

食べ手はところどころに登場するユニークな小皿に驚かされ、わくわくしながらも、素材を生かしたメイン料理の皿は、安心して存分に堪能できる。「料理がおいしいというのがいちばんの根本。おいしさがあってこその驚きですから」。

料理とドリンクのペアリングにも感動。日本酒とのマリアージュも楽しめる

料理を盛り上げてくれるのが、合わせて供されるドリンクの存在。ワインはフランス産が主体で、魚料理には南フランスの土着品種「ピクプール」の白、肉料理には「ローヌワイン」の赤がぴたりと合う。一方、フォワグラ料理に日本酒が添えられることもあり、その意外なマリアージュに驚かされる。「メイン料理であれば、ソースの濃さや風味に合うものを。日本酒なら料理の酸度も考えて合わせます」(薮中シェフ)。
アルコールが苦手な方向けに、ノンアルコールのドリンクも用意。こちらも青紫蘇のカクテルなど、料理と合わせたノンアルコールのカクテル仕立てで、お酒が飲めない人も十分に楽しめそうだ。

神楽坂の隠れ家『セクレト』の秘密は、シェフとスタッフの溢れんばかりのサービス精神で作られた、とてもユニークで楽しく、おいしい料理に満ちた空間だった。ここに一度でも訪れたら、大切な人をこっそり連れてきて、同じ体験をしてもらいたくなるに違いない。

撮影:平瀬夏彦


【メニュー】
コース 16,000円
クリスマス限定コース(12/22~12/25) 20,000円
(すべてドリンク、税、サービス料込み)
※ドリンクはノンアルコールドリンクに変更可能

SECRETO

住所
東京都新宿区二十騎町2-23 1F
電話番号
050-5487-0589
(お問合わせの際はぐるなびを見たというとスムーズです。)
営業時間
火~日
ディナー 19:00~22:00
定休日
月曜日
※他、2日間
ぐるなび
https://r.gnavi.co.jp/j9kgg8cj0000/

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