【腕利き料理人が通ううまい店】これぞ職人技! 口福に満たされるスープたっぷりの熱々小籠包

【腕利き料理人が通ううまい店】世の食いしん坊たちを魅了する腕利き料理人こそ、選ばれし生粋の食いしん坊。好奇心を刺激しに、疲れた身体を癒しに通う店には、間違いない味と心意気がある。料理人から料理人へ、バトンを受け継いでとっておきの一軒を追う。

2018年06月06日
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【腕利き料理人が通ううまい店】これぞ職人技! 口福に満たされるスープたっぷりの熱々小籠包
Summary
1.フレンチとイタリアン双方の技で、食材を最高の状態に仕上げる『Due Ligne』瀬野景介シェフが通う店
2.お手頃なランチから本格点心まで。『ミシュランガイド東京 2018』にてビブグルマンの中華料理店
3.おいしいインパクトを最初のひと口で! 瀬野シェフが必ず食す、オススメ料理ベスト3を紹介!

連載 第5話:『Due Ligne(ドゥエ リーニュ)』オーナーシェフ 瀬野景介さんが通う店

料理人から料理人へ、バトンを受け継いでとっておきの一軒を追う連載【腕利き料理人が通ううまい店】。

曙橋『てんぷら荘司』の主人、荘司俊壹さんからバトンを受け継いだのは、四谷三丁目のフレンチ・イタリアンレストラン『Due Ligne』を営むオーナーシェフの瀬野景介さん。フレンチとイタリアンで修業した瀬野さんの味は、双方の技術とセンスが重なり、驚きのおいしさを醸し出す。「ひとりでも気軽に訪れてほしい」との想いから店内はラフなカウンタースタイルでリピーターも多い。今回はプライベートで通う店のひとつ、中華料理店を紹介してくださるという。鍛え抜いた舌を喜ばせる味とは。

ここからは、瀬野さん自らに語っていただきます!

早稲田通り沿い。通路を過ぎると清潔感のある明るい空間が現れる

JR中野駅から歩くと15分くらいあるでしょうか。早稲田通り沿いに『なかの中華!Sai』はあります。
入り口から通路を少し歩いた奥が店内フロア。外からは雰囲気が見えにくいのですが、中は明るくて居心地のよい空間です。カウンターの奥で切り盛りするのは、オーナーシェフの宮田俊介さん。

もう、8年、いや9年前になるかな。互いに自分の店もない頃、個人的に通っていた梅ヶ丘のビストロで偶然隣りの席になったのが出逢いでした。食に対してふたりとも変人だから、話し始めたら止まらなくて (笑)。自然と同志のような間柄に。それから僕が店をオープンし、宮田くんもオーナーシェフとなって、互いの店を行き来するようになりました。

食材の仕入れから、ひと皿の料理にいたるまで、すべて自分の五感で決めて責任をもって提供する。そのスタイルは自分とも共通しているように思います。だから信頼感をもって、身を委ねておいしさを味わえるし、彼の向上心や切磋琢磨している姿から刺激を受けます。

そんな『なかの中華!Sai』に来ると必ず食べたくなる、僕のベスト3の料理を紹介します!

第3位:「蒸し鶏の四川ソース(よだれ鶏)」 肉がしっとりとして、とにかくやわらかい

僕は鶏肉が好きで、こちらに来ると「蒸し鶏」料理は毎回食べます。味付けは四川ソースのほかに、ネギソースやバンバンジーもあって、どれもおいしい。この四川ソースは見た目からもわかるように辛さがガツッときながら上品にまとまっていて、カシューナッツとゴマの風味もよく、なんといっても皮と肉のしっとり感がたまりません。とにかくやわらかいんです。

▲鶏を丸ごとボイルして、手際よくさばく

鶏は鳥取の大山どりで、火入れがすばらしい。大きな中華包丁を使ってテキパキさばいていく姿は、つい見惚れちゃいます。
「皮が破れないように、皮面をまな板に接地しないのがポイント」と語る宮田シェフ。きれいに骨が除かれて、やわらかな身が盛りつけられます。

途中で黒酢をかけて味を変化。まろやかな酸味が加わることで辛みがおだやかになり、コクも出ます。ビールが進んじゃいますね。

第2位:「清蒸(チンジョン:魚の姿蒸し)」 熟成した身がほろっとほどける

『なかの中華!Sai』のスペシャリテのひとつ「清蒸」。魚に特化していきたいと語っていた宮田シェフの心意気を感じる一品です。今日の魚はシェフいち押しのヒュウガカサゴ、1週間熟成したそう。

▲魚の多くは長崎県五島列島から直送。うまみがいちばんのったところで調理する

「放血神経締めといって、活魚のエラを切って水の中で泳がせて完全に血を抜いたあと神経を抜き、氷を入れた海水で締めた魚です。手間がかかりますが、鮮度とうまみの保たれ方が違う。1週間ほど熟成することで身がやわらかくなり、うまみが増します」と宮田シェフ。

蒸しあがった身の透明感と白さ。くすみがなく、血抜きがしっかりされているのがひと目でわかります。ネギをたっぷり添えて、ジュッとかけたピーナッツ油が食欲を刺激! シェフの調理学校時代の同窓生だった奥さまの可奈さんが、食べやすくサーブしてくださいます。会話も生まれるし、うれしいサービスです。

可奈さんは紹興酒も詳しいので、魚に合ったものをお願いしたら「神気(シェンチー)」を出してくれました。酸味と渋みのバランスがよく、魚のおいしさを引き立てます。

ヒュウガカサゴの身はやわらかくキメが細かい。皮はとろっととろける感じで、魚醤ベースの合わせダレとマッチしています。蒸すときにしっかり塩をしていたけれど、素材の味を越えない絶妙の加減です。

「この皿で何を伝えたいか、ひと口目でしっかり感じとってほしいんです。インパクトを与えながらも、濃すぎない手前を常に考えています」と宮田シェフ。食べ手の心をつかむ味が、ここにあります。

これが第1位!「小龍包(ショウロンポウ)」 スープたっぷりでジューシー

点心は宮田シェフが力を入れているカテゴリー。なかでも小籠包はファンの多いメニューです。

もちろん僕もそのひとり。これを食べないと帰れません。

▲毎日仕込む皮は、水分量、伸ばし方が天候によって変わる

皮は毎日手作りしていて、リズミカルに、ていねいに折り込まれていく様はやはり職人技です。
「皮は水1g重さを変えるだけで状態が違うし、湿度によっても変わるので常に研究」と宮田シェフ。僕の作るパスタも同じで、粉と対話しながらその日にいちばんよい状態を見つけていきます。昨日はこうだった、今日はこうしよう、といった何気ない会話の中で、お互い次のヒントが見つかっていくのかもしれません。

蒸しあがった小籠包をレンゲにのせて皮に少し穴をあけ、まずはスープをひと口。うまみがパッと広がります。次はショウガをのせ、黒酢をかけて、熱そうだけど一気にいただきます!

皮はもっちり、肉汁がまた弾けて黒酢と調和し……間違いないおいしさ!
〆は台湾の烏龍茶「東方美人」ですっきり。今回は紹介しきれませんでしたが、「ニラと海鮮の餃子」もおすすめです。

オープン当初は、中華料理店なのにメニューにパテ・ド・カンパーニュがあって、遊び心に刺激を受けたものです。それがまたおいしくて。お互い根っからの食いしん坊、いいものは枠にとらわれず取り入れたい、その想いを根底に感じました。これからもよろしく。そして、また食べにきます。ごちそうさまでした!

【編集後記】
ビストロでの出逢いは、偶然というより必然だったのでしょう。互いに「食の変人」と楽しそうに話す姿に、彼らの作る味は間違いないと実感。「清蒸」は皿に残ったスープまでおいしく、ごはんにかけて食べたくなる味でした。


撮影:千々岩友美

【メニュー】
蒸し鶏の四川ソース(よだれ鶏) 950円
清蒸(チンジョン:魚の姿蒸し) 3,500円(約500g、4人分)~
熱々!肉汁たっぷり小龍包 1個210円
生ビール グラス 520円
紹興酒「神気」 グラス 650円~
東方美人(台湾烏龍茶) ポット 1,350円
※価格はすべて税込


※『dressing』プレミアム読者限定のご来店時特典あり※

『なかの中華!Sai』宮田さんに、ご来店時特典をご用意いただきました。
特典をゲットして、瀬野景介さんが絶賛する『なかの中華!Sai』の味を堪能しましょう!



※取材時にいただきましたご来店時特典は、2018年6月30日まで有効です。

ご来店時特典は…

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